ドラマ「●●ちゃん」第3話 ついに掴んだ”普通”の幸せと、その代償

©️ABCテレビ

9月10日に放送された第3話では、セックスが大好きで、セックスによって他者を理解しようとする史恵(増田)が、セックスが大嫌いな高橋(東啓介)からプロポーズを受け婚約。諦めていた普通が手に入ったことに浮かれた史恵は、会社にも報告し、みんなから祝福を受けまんざらでもない気持ちを味わう。

しかしその実、高橋とはセックスはおろか、キスをすることもないままだった。つまり、まったく普通ではない結婚生活にかじを切ろうとした史恵は、親友の貴子(秋山ゆずき)に現状を相談。すると、「い・ろ・じ・か・け♡は?」と勧められ、その気になった史恵は高橋に夜のお誘いを試みる。

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「素敵なランジェリーだね、セクシーだ。興奮するよ」とうまく誘惑に乗りそうな高橋だったが、結局「やめろよ!!」と激しく拒否。史恵のことは大好きだと前置きしつつも、高橋は、「性欲ぐらいは自分でコントロールして」と捨て台詞を吐くのだ。

まったく埋まらない溝を突き付けられ、あ然とする史恵。「愛している」や「君は僕のことを理解してくれたからこそ、こうやって婚約してくれたと思っていた」など、高橋は自己を防御しながらストレートな言葉の暴力を投げかけてくる。高橋のソロプレイに史恵は常に協力するのに、史恵の欲望には一切寄り添おうとしない高橋…。一方にだけ負担がかかり何とも言えずモヤモヤする感覚は、すべてのカップルが経験したことのある「あるある」なひずみではないだろうか。

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行き詰まった史恵はかつてのトラウマ再びで、言葉を出せなくなってしまう。病院に行くものの声が出ることはなく、八方塞がり状態。見切り発車で手に入れた“普通”の幸せは砂の城で、もろく音を立てて崩れていってしまった。普通と引き換えに手に入れた結婚の見掛け倒しについて、声が発せなくなることで史恵はようやく事の重大さに気づき立ち止まる。

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「セックスさえすれば話せるようになるだろう、思い込みだとしても。だけどそのセックスは普通の幸せをきっと壊してしまう」と、ある答えを導き出す史恵。第一章でずっと描き続けてきた「普通」への執着の深さが、第3話でも変わらず浮彫になった。両方を天秤にかけた彼女が、次週の第四話(“セックス”ちゃん最終話)で何らかの答えを出すのだろうが、何よりも自己を受け入れ愛すことを願わずにはいられない。 こうしたPOPなようでいて鋭いテーマを投げかけてくる『●●ちゃん』において、明るさパートの一端を担っているのが、毎話オープニングで入ってくる小沢一敬(スピードワゴン)のナレーションだ。独特のハスキーボイスで“●●ちゃん”たちの心情に寄り添ってくれる語り口は、ひとときの癒やしをこのドラマに与えてくれるよう。本編のピリリとくる内容と、非常にいいバランスとなっている。

ドラマ『●●ちゃん』は、ABCテレビで毎週日曜深夜0時55分から放送中。DMM TVにて同時独占配信。TVerにて見逃し配信あり。

(文・赤山恭子)

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