増え続ける児童虐待事件…児相のシステムに問題あり? 最悪の事態を防ぐ術は?

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神戸西区で起きた児童虐待事件……。事件を起こした親たちだけでなく、児童相談所にも責任があったのか? 日本の現状の課題が詳しく紹介された情報バラエティ番組『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』を無料配信中

6月22日に兵庫県神戸市西区で6歳児の遺体が見つかった事件に対し、「児童相談所がもっと早く動いていれば子供を救えたのでは?」という声がSNS上であがっている。こうした児童虐待事件の責任は、親を除けば児童相談所だけにあるのだろうか?

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兵庫県で起きた児童虐待事件に胸を痛めた人は多いだろう。この事件は、保育園が子供の体のあざを発見して区役所に連絡した4月までさかのぼる。のちに、児童相談所の職員は子供を要保護児童として対応する判断をし、容疑者である子供の母親からもSOSがあったが、最終的には祖母(容疑者の母親)の拒否によって子供は保護されなかったという。

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少子高齢化の時代にもかかわらず、こうした児童虐待に関する児童相談所への相談件数は右肩上がりだ。2021年度には、過去最多の20万7660件に達した。この問題を政府は、2023年度からの4年間で児童相談所職員を2000人増員することで対策しようとしている。

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大阪の児童相談所に35年間勤務した児童虐待防止協会の理事長・津崎哲郎氏は、「増員は現場にとってはありがたいかもしれないが、全く追い付かないスピードで児童虐待は増加している」とコメント。さらに、「仮に職員を増やしたところで、それで上手くいくか……」と、根本的な問題解決にならないと語った。児童相談所の職員が適切な判断をできるようになるには、津崎氏によると「最低でも5年くらいはかかる」という。

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児童相談所の職員は地方公務員なため、自治体によって一定期間で異動させられるケースが多い。2021年度の児童福祉司の勤続年数を調査した結果によると、3年以下が50%以上を占めた。問題は、「異動だらけなために人が育たない」だけでない。「精神疾患による休職率が民間事業の5~7倍」「1ヶ月の時間外・休日労働が100時間を超える職員もいる」「1人あたり100件超の案件を抱えることもある」といった児童福祉士の実態も関係している。

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こうした児童虐待の問題において、アメリカでは裁判所が中立の立場で介入するが、日本では児童相談所に「丸投げ状態」と言っても過言ではない。2022年の法改正によって「虐待児童の一時保護に司法審査を導入」することになったが、それでも、家庭への介入、虐待した親の改善、隔離の解除判断など、児童相談所の負担は大きすぎる。

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津崎氏は、「児童虐待を見かけたらすぐに児童相談所虐待対応ダイヤル『189(いちはやく)』に通報してほしい」という。さらに、「この通報が行政を動かして児童相談所のシステム改善につながる」と語った。これらの解説は、動画配信サービスTVerで配信中の情報バラエティ番組『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』7月1日放送回で詳しく行われている。

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