オフショット大公開! “飯テロラブコメ”を感動的な“ロマンティックコメディ”へと昇華させたグランドフィナーレ。『セレブ男子は手に負えません』(最終話)

人生崖っぷちのヒロインとわがままセレブ男子4人との“恋は思案の外”な展開を小気味良いストーリーテリングで最終話まで突き抜けた『セレブ男子は手に負えません』。第1話鑑賞後の印象として“飯テロラブコメディ”と書いた筆者だが、最終話を観終えた今、ブラームスを聴きながらロマンティックコメディを観た余韻に浸っている。

“恋は二度としない”と誓いを立てたヒロイン・ひかる(若月佑美)と、セレブ男子たちとの最悪の出会いから、コメディとラブストーリーの心地よい緩急が現実離れしたペントハウスのセレブな世界観へと引き込み、ひかるのまっすぐさと心のこもった料理がセレブ男子たちの心を解いていく過程が丁寧に描かれた、まさに上質な“飯テロ×ロマコメ作品”だった。今回はオフショットを交えて最終話レビューをお届けする。

©ABC・DLE

女性のことを一切信じられなくなった彰人(中尾暢樹)が、ひかるとの偽りのデートを経て本気で好きになっていく過程で、お互い煙たがりながらも惹きあっていくひかるとシオン(鈴木康介)。3人のトライアングルな関係は、ピアニストとして目覚めて、どんどんチャーミングになっていく律(本田響矢)と、シオンに対して友情と恋のはざまで揺れ動きながら自身の生きる道を模索していくルカ(井手上漠)の心情を映し出しながら、性格に“難”しかなかったセレブ男子たちが自己開示していく中盤以降の展開は、それぞれのキャラクターに感情移入できるほど最後まで魅力的に描かれた。

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印象的でドラマチックなピアノの旋律でスタートした最終話のオープニングシーン。律が大好きなブラームスのレコードをひかるに手渡しながら、ブラームスにとっての心の支えであり届かぬ想い人であったクララに重ねつつアメリカへと旅立った冒頭の大団円の後に、波乱の展開を思い起こさせる導入から最終話はスタート。

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「一緒にアフリカに来てほしい」と告げた彰人に対して、ひかるは返事を見つけることができない。一転して、二人で食事をしようと誘うシオンに対して浮き足立つひかる。しかし、ドレスアップして向かった先は立ち食いそば店で…。一方通行な恋心を抱く彰人と、二人の思いが行き違うシオン。そんな二人とのロマンティックなシーンを、シリアスとコミカルを織り交ぜながら描かれていく。そんな中、ひかるの胸にルカの言葉が突き刺さる。

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印象的だったのは、ルカがシオンに対して「後悔先に立たず…そうなる前に、ちゃんとね」と伝えるシーン。その時にルカが手に持っていた本は、根本和政監督によればサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』。その一節、“死んでから花を欲しがる奴なんているもんか。一人もいやしないよ”という言葉が思わずよぎった。ルカの言葉はシオンに対して、そして自分自身に向けての決意だと感じさせるシーンだったように思う。

©ABC・DLE

恋の行方だけでなく5人それぞれの結末が丁寧に描かれた最終話。ヒロインというポジションながらも4人のセレブ男子たちの内に秘めた心根と魅力を引き出していったのは、主演・若月佑美のしなやかなで力のある演技と感じたのは筆者だけではないはず。第1話から、笑いと感動、そして共感をも誘いながら、若月の言葉に乗せる“セリフの温度”が際立っていた本作。キラキラなセレブたちとの恋を演じる中で、若月佑美の名演もまたキラリと光る作品だったと改めて感じている。

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キラキラなセレブたちとの恋を演じた若月佑美のキラリと光る名演。“飯テロラブコメ”を感動的な“令和のロマンティックコメディ”へと昇華させた『セレブ男子は手に負えません』は、TVer・ABEMAで無料見逃し配信中。

<文・ニノマエヒビキ>

番組情報

セレブ男子は手に負えません
毎週(日) よる11:55~

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