「10回やった料理と1000回やった料理では、自信の持ち方が違う」最強審査員軍団が語る「料理コンテスト」の魅力

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『ザ・プレミアム・モルツ presents CHEF-1グランプリ2023』

最強審査員軍団インタビュー

優勝賞金1000万円。次世代のスター料理人を発掘する『ザ・プレミアム・モルツ presents CHEF-1グランプリ2023』。今大会から料理ジャンル別エントリーで戦われる中、3回戦を終えていよいよ各料理ジャンルNo.1になったTOPシェフ8名が決定、準決勝へ進出することになった。

3回戦でのテーマは「エビ料理に革命を起こせ」。3回戦からは日本を代表するレジェンド級のシェフたちが揃う最強審査員軍団が審査を担当。挑戦者たちが作り上げた渾身のひと皿一皿に、厳しく目を光らせ、愛ある中にも辛口のコメントも次々に飛び出した。そこで審査員軍団へインタビュー。3回戦を終えての審査員軍団の総評は? さらにこの先続く準決勝、決勝へどんな戦いを期待するのか?

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「コンテストのシビアさが良く出ている大会」

Q.まずは3回戦の審査を終えての全体の印象をそれぞれお聞かせいただけますか?

神田 慣れない調理場で、しかもカメラを向けられての調理。それも含めてその場を制するメンタルも問われますし、コンテストのシビアさがよく出ていました。そして最後の最後の瞬間までこれでいいのか、もっとこうしたらよかったのではと思い続けるのが料理人だとも思います。でも、変な意味でなくまずいというものは一つもなく、それぞれが工夫とアイデアを持ち寄って作っていたので、僕もいい刺激になりました。

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関谷 一生懸命になっている姿というのはなにか心に響くものがあるなと思いました。コンクールに出てマイナスになることってたぶん一つもなくて、同世代の、特にジャンルの違う料理人と繋がり合うということはすごく大きい経験になります。審査員と出場シェフとの関係値もできると思いますし、技術的なことだけじゃなく「CHEF-1グランプリ」に参加したファミリーとして繋がれたらいいですね。

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田村 昨年も審査をしていて同様に思ったんですけど、本当にパワーをいただいて、自分もまだまだ頑張んなきゃいけないと思いますね。自分がこの立場だったらと置き換えて、作っているところを見ていました。料理を食べさせていただいて一つ思ったのは、キッチンを見ているときに気になったことが反映されている人もやはりいるなということ。衛生面であったり、所作や、顔つき、落ち着き具合とかです。落ち着いて、場慣れしている人というのは料理も安定しているなと感じました。

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堀江 今は料理のコンテスト番組自体が今ほとんどないですよね。その中で日本にこういう、ある程度の規模があって、夢のある企画があって、若い人がチャレンジしてくる大会番組がある。審査しながらそのエネルギーや新たな発想力を感じて、見ていて気持ちがいいし、僕自身元気になれます。昨年審査員を引き受けるにあたっては、僕自身がバリバリのプレイヤー(厨房で日々調理する立場)なので、引き受けて大丈夫だろうかとも思いました。でもキャリアも重ねてきて、イタリアに長く行ったことがある人間として、次世代に何かを伝えることができるのではないかという思いもあって引き受けています。

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革命なんてそう簡単に起こせるものじゃない

Q.今回3回戦の食材はエビ。そしてその料理で革命を起こせというのがテーマでしたが、そのテーマはいかがでしたか? ジャッジの難しさなどもありましたか?

神田 ジャンル別でなおかつ同じ食材で戦うとなると、エビはある意味正解ですね。どの料理にもある食材ですし、エビ自体の種類も多い。ただ、その先にある革命という言葉がね、みんな悩むところでしょう。でもコンテストってそういうもので、そのハードルをどうやって越えてくるのかが審査ポイントだから。逸脱するとダメと言われる…。あと、審査で今回僕たちがフォーカスしたのは、主役のエビがちゃんと前に出ているかということ。たとえば、アイデアは面白いのに、エビがマヨネーズに隠れてしまっていて残念だったり、とかね。

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田村 素材を活かすってなんなのかって僕もいつも思うですけど、テーマはもちろんエビなので、エビをいかにどう考えて調理しているかっていうこととおいしさが大前提。その上での革命なので。僕もそうですけど、いつも思っているのは常に考え続けるということです。中国料理について言うならば、古典料理がしっかり構築され過ぎてるからではあると思うんですけど、もっと素材からインスピレーションを得たり、自由な発想でやってもらえたらなと思いますね。

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堀江 革命なんてそう簡単に起こせるものじゃないですから(笑)。イタリア料理に関してだけ言うと、イタリアンの軸足の中で勝負している人と、ちょっとはみ出し加減な人っていうのをどうジャッジするかというのはなかなか基準が作りづらい。料理という目に見えない味で勝負しているので、100メートル競争のように目に見えて結果がわかるとはいきませんが、やはりある程度決まりごととかに軸足を残して、もう片方の足はどこまではみ出していけるか……。そこでどんなインパクトを与えてくれるかですね。

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関谷 コンクールにテーマはつきものですし、その運というのもあると思うんです。やはり得意なもの、得意なジャンルのテーマであればそれはそれで嬉しいし、そうでなくてもそれはそれでコンクールの楽しみかなと。レストランでも、自分が好きじゃない食材の料理も作りますし、自分の好きなものだけ作っていたら、それまでのシェフになってしまうので。出されたテーマの読み解き方もシェフの実力が問われるところだと思います。

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料理界全体がジャンルレスになっている

Q.審査をされていて、ここが勝敗を分けるポイントだな、このようなところで差がつくな、というようなところはありましたか?

堀江 やはり料理って年々進化します。特に今情報が早いですから、僕らが現地へ行って修業した90年代とは全く違います。一瞬でいろんな情報がわかってしまうし、今の若い子はみんな器用でどんどん吸収していく。そこで新たな発想力を持つのは、料理界全体がジャンルレスになっているところも関係していると思います。ただ、バックボーンは絶対に必要です。それがまったくないと料理にならない。自分のバックボーを活かして存分に戦う、そこが大事ですね。

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関谷 細かいところまで突き詰めて突き詰めて、完成度を求めた人がたぶん勝てるのかなと思います。僕自身も、こういう料理を作りたいなと思って、それを作る技術が足りないなと思うことはありますし、技術がなかったら理想には近づけない。それにはやっぱり日々積み重ねるしかないんですね。審査で挑戦者にグラム数のことを尋ねたりもしましたが、別にグラムとかセンチとかどうでもいいんです。どれだけ考えて試作で作り込んだのかなと知りたかった。例えば5グラムの差って、僕にとってはもう違う料理ですから。

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なぜ中国料理がフランスのモンブランまで行くのか

Q.ご自身のジャンルの料理人に期待されることなどはありますか?

田村 中国料理で言うと、今回準決勝に勝ち上がった當山さんは、面識はありませんでしたが、いろいろなコンテストで受賞されているので認識はしていました。初めて調理を含めて見ましたけど、技術力の高さは間違い無いですね。オマール海老のモンブラン仕立てという発想も面白い。ただ、それはいいけど、なぜ中国料理がフランスのモンブランまで行くのか、そこに彼なりの明確なストーリーがあればもっとよかったと思います。そういうところをさらに追求していくと中国料理ももっと広がるかな。

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神田 韓国・アジア料理で勝った十文字さんの料理は、イスラエルテイストでしたけど、盛り付けはフレンチでした。當山さんのものもフレンチ的な構築の中国料理でしたね。フレンチ的に立体的に構築した方がコンテストでは意外に勝ちやすいところがあるんですね。そうすると異種格闘技戦となったときに引き算をする和食はどうも弱い。そうした中で日本料理がどんなふうに力を発揮して勝ち上がってくれるのか、というのも実は楽しみにしています。

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10回やった料理と1000回やった料理に対する自信は違う

Q.最後に準決勝、決勝にすすむシェフたちに期待すること、そしてエールを一言ずついただけますか?

関谷 予選は自分では作らないようなアプローチや見せ方もあって、驚きました。準決勝、決勝でも、僕たち審査員も料理人ですけど、これ、どうやって作ったんだろう?とか、こんな味は食べたことないっていうようなところに期待しています。大人になると真剣にチャレンジする機会ってなかなかないので、死に物狂いじゃないですが、そんな姿が見られたらいいなと思います。

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田村 僕がこの世界に入ったとき「料理の鉄人」という番組があって、それに憧れてこの世界に入る仲間も多かったんです。ヒーローというか、憧れというか、「カッコいいな、料理人って」というのがあって。そこを目指してじゃないですが、後から「CHEF-1グランプリ」を振り返ったときに、自分をとことん追い詰めてやったなと思えるように、一瞬を大切に、人生をかけて、そして自由な発想でぜひ頑張っていただきたいですね。

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堀江 調理人はみんな時間がない。その中で、「CHEF-1グランプリ」のために睡眠時間削って、考えて、試作してとしなくちゃいけない、まあ酷いことさせるなと思います(笑)。でも、やっぱりそういう厳しい条件や難しいお題でプレッシャーがかかったからこそ生まれる進化っていうのもあるし、キラッと光るものも出てきます。この先の準決勝からは、いわゆるジャイアントキリングが起きる可能性だってあると思います。そういったことも含めて、異種格闘技として楽しみに見たいなと思います。

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神田 10回やった料理と1000回やった料理に対する自信って違います。練磨された料理の完成度ってあって、勝ち上がったシェフたちにはベースにそうしたものがあると思います。「CHEF-1グランプリ」に携わらせてもらうのは3年目なんですけど、確実に出場者の意識のレベルも上がっています。これはもうすごいことで、まだまだ日本には夢と希望と実力を持った若いシェフたちがいるんだなとうれしく思ってますし、料理人がもっともっと盛り上がってくれるとうれしいと思います。ぜひ、寝る間も惜しんで、悔いのないように頑張ってください。

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「ザ・プレミアム・モルツpresents CHEF-1グランプリ2023」
10月22日(日)よる6時~7時58分  ABCテレビ・テレビ朝日系列全国ネット
シェフNo.1を決める最終決戦!優勝賞金1000万円を手にするのは誰なのか?
MC:山里亮太 松下奈緒 国民代表審査員:GACKT
審査員:神田裕行 関谷健一朗 中村栄利
出演:今田耕司 森泉 森香澄 レイノ・バラック スペシャルサポーター:さや香 
ナレーション 下野紘
解説:田村亮介 堀江純一郎 
実況:上田剛彦(ABCテレビアナウンサー) リポーター:斎藤真美(ABCテレビアナウンサー)
ロケVTR出演:オズワルド

「ザ・プレミアム・モルツpresents CHEF-1グランプリ2023 準決勝」
10月20日(金)夜11時15分~0時15分(ABCテレビ・テレビ朝日系 ※一部地域を除く)
MC:山里亮太 斎藤真美(ABCテレビアナウンサー) スペシャルサポーター:さや香
審査員:神田裕行 関谷健一朗 田村亮介 堀江純一郎

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