12時間芸人舞台裏大密着記!!『第46回ABCお笑いグランプリ2025』準決勝 登録者数191万人YouTuberぐんぴぃ 「12時間も大阪にいて本番は4分って・・・」
『第46回ABCお笑いグランプリ2025』準決勝が6月17日に大阪のABC朝日放送に隣接するABCホールで開催された。総エントリー数542組中、準決勝に進出したのは42組。そこから6月29日(日)にABC朝日放送から生放送される決勝に進出できるのは、たったの12組。
今年も、長い長いハードスケジュールの1日に完全密着して、出番前後や待ち時間で、出場芸人さんたちに大会への想いだけではなく、どのように大阪で移動したかなど突撃取材を依頼してインタビューしていく。

今年も去年に引き続き、大阪での準決勝開催。準決勝前日である16日夜11時。東京・浜松町にあるABCテレビ東京オフィスの前に23人の芸人が集まった。




満席だった去年に比べ、かなりゆとりがあり、車内も過ごしやすそうだ。東京スタッフに見送られ夜行バスは出発した。
【去年】

【今年】

朝7時、大阪・福島にあるABC朝日放送に東京バス組が到着。

朝9時、密着開始。まずはABCにある地下の控室を覗きに行く。ほぼもぬけの殻状態の為、コント組のリハーサルが行われているABCホールへと向かう。昼1時からの準決勝では観客が座る席に芸人が座り、各芸人のリハーサルを真剣に観ている。ちょうどピン芸人のソマオ・ミートボールさんのリハーサル中。照明や音響など細かいやり取りが真剣にされていく。朝早くから緊張が漂っている。

©️ABCテレビ
朝9時45分。地下の控室を覗いてみると、YouTuberとしても大人気の春とヒコーキ・ぐんぴぃさんを発見。まずは1人目のインタビュー。

――朝早くからお疲れ様です。大阪で開催される大会ですので、東京芸人の皆様は朝早くからのリハーサルは本当に大変ですよね。
ぐんぴぃ『ずるいっすよ! 東京芸人だけ夜行バス移動だなんて! と言っても、僕は新幹線で前乗りしていますが(笑)。これには理由がありまして、去年、ぎょねこのオジマ君が新幹線で前乗りして、当日に余裕を見せていたのに影響を受けたんです。彼らは初出場だったし、夜行バスに乗っていいはずなのに、夜行バスで行く楽しさは要らないと判断したんです。結果、初出場なのに決勝進出しましたから。オジマ君は芸人で一番賢いんです。彼の冷徹さクールさは、もっと褒められて欲しいですよ』
突然のタレコミ… それくらい東京芸人が朝早くから大阪に移動するというのは過酷な事なのだろう。
ぐんぴぃ『「何で大阪で開催なの!?」とは思いますけど、元々、大阪芸人だけの大会ですし、「絶対にABCを獲らなきゃ!」という大阪芸人の熱量には敵わないと思います。それでも、お笑いは大阪王国みたいな空気感を少しでも変えたいですから。牙城を崩したいです。でも、12時間も大阪にいて本番は4分ってコスパ悪いですね(笑)』
興味深い切実な話を聴けた。さて、ふと控室を見渡してみると、小道具を一生懸命制作中だったぎょねこ・オジマさんを見かける。ぐんぴぃさんから聞いた真実を聴く為に早速、2人目のインタビュー。

――突然すみません。先程、ぐんぴぃさんにお話を伺ったら、オジマさんが去年初出場にも関わらず、夜行バスに乗らなくて新幹線で大阪移動して、余裕を持てたので決勝進出できたと言っておられました。あの冷徹さクールさは、もっと褒められてもいいと聴いたのですが。
オジマ『(怪訝そうな顔で)まず、僕にも言わせて下さい。去年、ぐんぴぃさんも新幹線で来ていますし、新幹線移動の人はたくさんいました。むちゃくちゃ言いがかりですよ! 新幹線問題は既に色々な芸人さんが気にしていて、僕もフランスピアノのなかがわ(りょう)さんから「知らない街で夜に真っ暗になるのは怖いよね」とも言われていたんです。実際に僕も去年1時間しか寝られなくて…。だから、誰も東京から大阪の移動は成功していないんですよ。東京芸人は誰も100%状態では無い稀有な賞レースなんです! でも、話を聴いてもらえて良かったです。僕が冷徹な意味がわからないですから! ぐんぴぃさんからの濡れ衣を晴らせました!』

東京芸人の間でもひとり歩きしている東京芸人夜行バスor新幹線移動問題。目の前では、話に上がったフランスピアノのなかがわさんが芸歴1年目でひとりが社会人である事から宣材写真での顔出しをしていない謎の若手コンビであるミヤゼユリハマのふたりと真剣討論をしている。もちろん話題は東京芸人夜行バスor新幹線移動問題。

――あまりにも白熱していたので、ついついお声がけをしてしまいました。
なかがわ『これは距離というより時間の問題なんです。僕は新幹線始発で来ましたが、元々夜型で朝まで寝れないので、今日もほとんど寝れていないんです。一応、ご飯を食べた後の夜10時に寝ようとチャレンジしましたが、駄目でしたね。まぁ、夜行バスよりは良いですけど。僕は環境が変わると眠れなくて、これはセンシティブスリーパーと呼ばれているらしいです』
まぁや『私もです!』
なかがわ『センシティブスリーパーズだ!』

安長『僕は普段ADをしていて徹夜で一睡もしてない状態で夜行バスに乗ったんですが、アイマスクして首クッションも用意して全装備で乗り込みました。僕を知らない人からしたら、宣材でも顔を隠して、夜行バスでも顔を隠してる奴と思われたはずです。でも、8時間しっかりと寝られました』
なかがわ『売れてる人って、めちゃくちゃ忙しくても、どこでも寝られる人だと思うので、君は天才だよ! スターだよ!』
安長『今年人数が少なかったので、ひとり2席も使えたのは大きかったです』

なかがわ『去年は夜行バス満席だから新幹線の方が良いという噂が流れて、今年は夜行バスが少なかったわけだから、来年は夜行バス増えるよ。各年の噂で変わっていくから』
安長『それで言うと、ソマオさんが良い使い方をしていたんです。 ネタで使う大道具だけをバスに乗せて、御自身は新幹線に乗られていたんです。運ばせ屋です! 天才です!』
この後も、あまりにも東京芸人夜行バスor新幹線移動問題の話が尽きず、どんどん白熱していくので、流石に止めて、謎多き芸歴1年目若手コンビのミヤゼユリハマにシンプルインタビューをすることに。

――移動の話題は一旦置いときまして、まずは初出場で初準決勝進出はいかがですか?
安長『僕らは学生お笑い出身なので、学生お笑い時代の先輩方に逢えて本当に嬉しいです!』
まぁや『私はまだ現役の学生なので、信じられないです』
安長『僕は卒業したらお笑いを辞めるつもりだったのですが、去年の秋に事務所に所属する事になり、今年準決勝にも行けました』
まぁや『安長さんはお笑いを辞めたくても辞められなかった悲しいモンスターなんです…。今回準決勝に勝ち上がれて、悲しいモンスターじゃなくなって良かったです。呪縛が解かれた呪縛霊ですね』
ようやく移動問題から解き放たれたかと思いきや、モンスターや霊というまさしく謎の展開になったが、東京の学生お笑い諸君からしても、「ABCお笑いグランプリ」が如何に憧れの聖地かという事がわかった。ちなみに今回の取材では、ふたりの顔出しOKを頂けた。
もうそろそろ、東京芸人夜行バスor新幹線移動問題から離れたいところだが、この人にインタビューしない事には済まないだろうと、ソマオさんの元へ。

――お聴きしたい事がどうしてもありまして。色々な芸人の方にインタビューする中で、ソマオさんがバスに御自身は乗らず大道具だけ載せて東京から大阪へ移動させる斬新な手法を生み出したと聴いたのですが。
ソマオ『いやいや、それはあの小道具がどうしてもかさばるというか。ちょうど僕は2日間休みでして、元々、大阪所属だったので知り合いの家に新幹線で向かってメンタルを整えていたんです。夜行バスは体力を削られると聴いていて…。ABCの方々、改善をお願い致します! 新幹線は優勝賞金100万円が手に入ると信じて投資ということで。でも、たくさんの小道具をバス乗り場まで運んでくれたのはマネージャーの方ですし、色々な方に御迷惑をおかけしました』
――こちらとしては素晴らしいアイデアを発明されたという意味でハッピーなインタビューを申し込んだのですが、何か謝罪会見みたいになってますね。
ソマオ『苦肉の策になっただけなんです…。まずは準決勝を勝たないと東京に帰れないですよ。負けたら僕もバスで帰りますけど、勝ったら引き続き大阪に泊まって新幹線で帰りたいです! それか決勝に行けたら、料金はABC持ちで郵送をお願い致します!』
斬新な発想を褒め称えに行ったつもりが、謝罪に追い込む形になって大変申し訳なかったものの、何だかんだ楽しく順調にインタビューは進んでいっている。が、ずっとインタビュー中にひとりの男性の視線を感じていた。その男性は、控室にあるホワイトボードに何回も『生』と書いては、ホワイトボード消しで颯爽と消して、周りの芸人たちに何やら力説している。その男性の名は、えびしゃのサエキさん。

――今は何をされているんですか?
サエキ『ネタでホワイトボードを使うのですが、持ってきたホワイトボード消しがABCのホワイトボードと合わなくて消えにくかったんですよ。これはまずいなと…。だから、リハーサル終わり、すぐにレンタル自転車で文房具屋さんを3軒も回りました』

――よくこの短時間で、そこまで頭が回って、すぐに切り替えて動けましたね。
サエキ『切り替わっては無いですよ。パニックです。今だってベストでは無いですから。それに知らない土地で探し物を探すって良くないですか? パニックやトラブルを楽しむしかないですから。良いスタートダッシュを切れましたし、ベストパフォーマンスが出来そうです』
――それは良かったです。いや、実はずっとサエキさんの視線が気になってまして…。
サエキ『みんながインタビューを受けているのが凄く気になっていて、何かを起こしてやろうと。まんまと食らいついてくれましたね』
謝罪する人がいれば、策士な人もいるように、この場には様々な人がいる。
次回 R-1チャンピオン友田オレがABCお笑いグランプリに挑む理由とは!?密着記PART2に続く

『第46回ABCお笑いグランプリ2025』 決勝戦は6月29日(日)ごご2時30分からABCテレビで生放送。ABEMAでも全国ライブ配信される。
(取材・文/鈴木淳史)
(企画・撮影/喜多ゆかり)
