ABCテレビの夕方のニュース『newsおかえり』で過去に放送された特集企画と、YouTube公式チャンネル『ABCテレビニュース』の特集動画から選りすぐりの作品をお届けする番組『newsおかえり＆YouTube傑作選』。4月21日（月）は「55年の時を経て…人間洗濯機の“奇跡”」と「3Dプリンターで作る！万博のトイレ」の2本を放送した。

「55年の時を経て…人間洗濯機の“奇跡”」（『newsおかえり』2025年4月7日放送）では、万博で注目を集める「人間洗濯機」にまつわる奇跡のドラマを紹介した。

1970年の「大阪万博」で人々を熱狂させた人間洗濯機。家庭用の風呂がまだまだ普及していなかった時代、湯船に浸かるだけで汚れが落ちる“未来のお風呂”は注目を集め、大勢の見物客が押し寄せた。そんな人間洗濯機が2025年、「大阪・関西万博」で復活。最新の技術で進化を遂げた「ミライ人間洗濯機」として出展され、話題を呼んでいる。

2つの万博をつなぐ人間洗濯機に特別な思いを抱いているのが、大阪在住の奥原さゆりさん（75）。実は奥原さん、55年前の万博で見物客に人間洗濯機の説明をするコンパニオンだったのだ。

そんな奥原さんを誇らしく思い、憧れたのが孫の中西まほさん（21）。2025年の万博開催が決まったとき、「私も万博で働きたい」とすぐさま応募してアテンダントに。担当に決まったのは、なんとミライ人間洗濯機だった。

55年の時を経て、当時の祖母と同じ年頃になった孫が同じ舞台に立つことに。まさに奇跡のような巡り合わせだ。“ばあば”が大切に残していた55年前の制服を着てほほ笑むまほさんと、「あの小さかったまほが…」と感慨深げな奥原さん。2つの世代の夢が万博でつながれた。

一方、大阪万博を「ときどき夢に見る」ほど鮮明に覚えているのは、京都に住む山谷英二さん（84）。1970年当時、三洋電機（現パナソニック）の社員だった山谷さんは、人間洗濯機の開発者だ。

会社からの依頼で人間洗濯機に着手したのは28歳のころ。洗剤を使わず、超音波で洗う画期的なアイデアで開発を進めるも、超音波だけでは汚れが落ちず、小さなマッサージボールを水中で動かして洗浄効果を高める方法を採用。2年をかけて完成にこぎつけた。

万博会期中は1日も休まず会場に通い、人間洗濯機を見守った山谷さんは、いつしか「商品化したい」と思うように。だが、その夢が実現することはなかった。

ところが4年前、気泡で汚れを落とすシャワーヘッド「ミラブル」のテレビCMを見て仰天。「これやったら人間洗濯機はできる」とミラブルを開発した「株式会社サイエンス」に連絡したところ、会長の青山恭明さんから熱烈な歓迎を受け、ミライ人間洗濯機の開発メンバーに加わったという。

1970年の万博当時は小学生だった青山会長。今でも忘れられないほどの衝撃を受けたという人間洗濯機の開発者からのコンタクトに胸が躍ったとか。完成したミライ人間洗濯機に「大満足」と目を細める山谷さん。55年越しに実現した夢は、また未来の誰かを動かすかもしれない。

「3Dプリンターで作る！万博のトイレ」（『newsおかえり』2025年2月12日放送）では、開幕前の大阪・関西万博の会場で進められていた、デザインを立体的にプリントアウトする「3Dプリンター」を使ったトイレ施設の建設工事を取材した。

ホースの先からホイップクリームのように絞り出されるやわらかい土が、はみ出さないよう正確に塗り重ねられる…。そんな作業が進んでいたのは、大屋根リングのすぐそばで建設中のトイレ施設。峡谷の岩肌を思わせる、自然な形の土壁が印象的だ。

3Dプリンターといえば、あっという間にできるイメージがあるが、材料作りや作業後の機材の清掃などに手間や時間がかかるそう。それでも、人の手で作るよりは圧倒的に速いようで、特にデザインが複雑な場合、作業する人に指示を正確に伝え、再現してもらうには膨大な手間やコストを要するという。

さらに、解体後はそのまま砕いて土に還せる素材を使用し、「環境にやさしく、デザイン性も高く、低コスト」な次世代の建築を目指すこのトイレ施設。工事にいたるまでには苦労の連続だったそうで、素材やデザインなどを検証中、無残に崩れてしまった失敗作もあったとか。さらに別のトイレ施設の取材では、素材が固まる間に生じる歪みから、仕上がりがデータ通りになりにくいという報告も。

まだまだ過渡期にある3Dプリンター技術。今回の挑戦は、未来に向けたよりよい知見になりそうだ。