“味見をした後で時間を空けないとダメ” “味を見過ぎると「あれ?」となる” 「CHEF-1グランプリ2024」2回戦・広島会場 審査員インタビュー

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料理人No.1決定戦「ザ・プレミアム・モルツpresents CHEF-1グランプリ2024」2回戦が開催された。札幌、東京、大阪、広島、福岡の全国5会場で開かれる2回戦。中国・四国エリアの戦いは、広島の広島酔心調理製菓専門学校が舞台だった。書類審査の1回戦を勝ち抜いた103名のシェフの中から広島会場には15名のシェフが参加。
 

「ハンバーガー・サンドイッチに革命を起こせ」という課題に対してシェフたちはどのような答えを出したのか?
広島会場審査員の、広島酔心調理製菓専門学校の黒木俊三先生、2000 年にオーナーシェフとしてフレンチレストラン「ル・トリスケル」をオープン、2023年のG7広島サミットでは料理担当シェフを務め、その功績を認められフランスの勲章「農事功労章シュバリエ」を受賞した勇崎元浩(ゆうざき・もとひろ)シェフ、そして広島を拠点に、グルメ雑誌や観光情報誌など、グルメや食にまつわる雑誌の制作や地域と食をつなぐプロジェクトにも携わる地元出版社「ザメディアジョン」編集部の斎原唯さんに話を聞いた。

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Q.審査を終えての感想は?

黒木:アイデアは人それぞれ個性にあふれていた。フレンチ、イタリアン、日本料理などのジャンル別での戦いだが、日本料理の中にも「あれ?これは日本料理の味ではないな」という技術をとり入れているものもあった。味に関しては個性豊かで美味しいものと、少し味が足らないものがあると感じた。味を見過ぎていると思う。味見をした後で時間を空けないと味覚がずれてしまうことがある。料理コンテストではよくあること。私の学校でも味付けをした人に時間がたってから再度味見をさせると「あれ?」ということはよくある。

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勇崎:調理をした15人全員の完成度が高かった。私は別の料理コンペティションでも審査員として入っていることもあり色々な料理に触れているが、「CHEF-1グランプリ」はレベルが高いと思う。完成度が高く発想力もあったという印象。今の子たちはこう考えるのかと思った。味の評価は各人で分かれると思うが、「美味しいものを作るのだ」という気持ちが大事。一日中立ち仕事という料理人も多いと思うがその中で大会のお題に沿って考えてきただけでもすごいこと。感心させられた。
 

斎原:大会を通じてのテーマが「料理に革命を起こせ」ということだが、参加者それぞれの解釈で表現されていてアイデア力がすばらしい。SDGsの観点から挑戦しているシェフもいて、例えば野菜をいっぱいとってほしい思いを詰め込んだ料理など、美味しいだけでなく健康的な面からもアプローチしている人がいた。プラスアルファの要素を意識しているのは素晴らしいと感じた。

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Q.印象的な一品は?

勇崎:味は良かったが、勝ち進んだ時に美しさが通用するかどうか心配に感じたのは、フランス料理の定番の組み合わせを使っていた料理。彼は分かったうえで勝負をかけている。私はずっとテレビ放送の「CHEF-1グランプリ」を観ているが(今まで優勝がない)中国地方のシェフに優勝してもらいたいので、勝てるシェフに進んで欲しい。
 

黒木:良いアイデアだが「これはハンバーガー・サンドイッチなのか?」という疑問符が付く料理はあった。上に勝ち進んで太刀打ちできるかどうか。アイデアは良いので表現を少し変えると良いのかもしれない。

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勇崎:野菜を多く取り入れた人も良かった。ダイナミックな料理を作るシェフや能力の高いシェフなど粒ぞろいの戦いだった。
 

Q.中四国のシェフに今まで優勝が無いのは、何が足りない?

勇崎:過去の大会から番組を観ているがファイナリストシェフの作る料理を見ていて思うのは感性がすごいということ。品があって美しさがある。美しい料理はただ美しいということだけでなく本当に美味しいものということでもある。食べる際には、温度帯のことが良く取沙汰されるが口に入る温度はのどごしに大きく関係する。つまり、細部へのこだわりが必要だと思う。テーマに「革命を起こせ」とあるが、単に食材を変えるだけでは勝てない。洋食を超えた「今の料理」が作れないといけない。「何?これがハンバーガー?」と思わせたシェフが印象に残るのではないか。

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Q.革命が起きていた料理は?

勇崎:何をもって革命とするか難しい。まだまだ改良の余地はあったと思うが、野菜で勝負をかけてきた人はすごいと感じた。豪快な料理だが美しさがもっと欲しいと思う一皿もあった。洗練されていることが大事。
 

黒木:アイデアは非常にいいが、調理の途中過程を知らない人は料理を出されたときに「テーマに沿っているのだろうか?」と疑問を持つだろうという一皿もあった。
 

勇崎:とはいえ、「何で?」「分からないなぁ」ぐらいの感想を持たせないと「革命」は起きない。レシピがあって、それを超えてこそオリジナリティが出る。基本レシピで満足していてはダメだろう。
 

斎原:アイデアが面白いと思った料理は完成度や味のバランスという点で少し気になった。革命というインパクトと“美味しい“の両立を突き詰めていってほしいなと思う。
 

Q.次ステージへ進むシェフへのアドバイスを

勇崎:自分史上に革命を起こしてほしい。今の世の中は、日本中、世界中が大変なことになっている。作った料理で人が幸せになるということはすごいこと。料理を単に作るのではなく世界中の人を救うんだという心境で臨んで欲しい。

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黒木:誰に食べてもらうかを考えることが大事。自分が愛する人間に美味しいと首を縦に振ってもらうことをイメージして、これでもか、これでもかという演出がいる。
 

斎原:出場するシェフはみんな創意工夫して臨んでいる。他人の料理を見て影響を受ける人もいるだろう。参加した料理人同士が高め合ってもらえると良いと思う。
 

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