『第47回ABCお笑いグランプリ』準決勝 12時間芸人舞台裏大密着記!!PART1 岸田國士戯曲賞を受賞!ダウ90000・蓮見翔が吼える 「この言葉、絶対俺に言っていますよね!?」
『第47回ABCお笑いグランプリ』準決勝が6月16日に大阪のABC朝日放送に隣接するABCホールで開催された。総エントリー数583組中、準決勝に進出が出来たのは40組。そこから7月26日(日)にABC朝日放送から生放送される決勝に進出が出来るのは、たったの12組。

今年も東京から去年一昨年同様に前日15日夜には夜行バスが用意されて、16日朝7時15分に大阪のABC朝日放送に到着。そして、朝8時からコント組はリハを行ない、昼12時から準決勝が始まり、夕方4時に全組終了。夕方6時に決勝進出組が発表される。さて、一体、お笑いグランプリ準決勝の裏はどうなっているのか。この長い長い1日に密着して、出番前後や待ち時間、芸人のみなさんに大会への想いを聴いたり、空き時間をどのように過ごしているかも紹介していきたい。

まずは15日夜11時。東京・浜松町にあるABCテレビ東京オフィスの前に16人の芸人が集まる。去年から東京からバスに乗る人数が減り、今年も減り続けている。その理由については後程触れていく。

朝8時半過ぎ、まずはABCにある地下の控室を覗いてみる。バスで向かう人数が減った上に、コントとピン芸のリハがある芸人以外は、東西芸人共に来ていないため、控室は過去2年以上にまばら。すぐにABCホールでのリハを観に向かうと、観客席に座った芸人たちがリハ中の芸人を観ている。そこには特に笑顔はなく、緊張感ある真剣な雰囲気の中、淡々とリハが進んでいく。


改めて控室に戻ってみると、センチネルのトミサット、ただならぬ刀のビエラ・J・ダニエルという国際色豊かなふたりが何やら論争をしている。ABC内あちこちに貼られている今年のポスターキャッチフレーズは、『お笑い論争、いっさい不要。』ということで、論争には敏感にいきたいので、すぐさま話を聴きに行く。

トミサット『我々ふたりともソマオ・ミートボールさんにココアを御馳走してもらいまして、自分の分をここに置いていたんです。そしたら、それを後輩のダニエルが呑んでいたんです!』
ダニエル『いやいや僕が置いたんです!』
トミサット『違う! あそこにあるココアがお前のだよ! 俺は人と乳製品をシェアできないから! 俺は、あんなに呑んでない! 弁償して欲しい!』


予想以上に謎の論争…。つまりは『ココア論争、いっさい不要。』ということで、完全に話題を変えて、バスで来たことについて質問をすることに。ところがふと気づくと、『踊るか死ぬか』という謎のメッセージがデザインされたTシャツを着た男がいつの間にやら割り込んでいる。その男、エグい速さの“ろまん”だ。様々な意味で今大会のダークホースになる男。
――夜行バスでの移動は大変だったんじゃないですか?
ろまん『マジでそうです。正直ヤバかったです。パーキング一発目でカツカレーととろろそばを食べている人もいましたしね。ただ、席にゆとりはありましたし、楽しかったですよ』
トミサット『完全に生態系が変わっていて、今は空前の新幹線ブームが起きています。以前のバスはギチギチでしたけど、みんな身銭を切って新幹線に乗っていますね。去年、僕は決勝進出したから帰りは新幹線だったし、すぐに帰らずに一泊も出来た。何よりも決勝に進出したことで、大阪の人に知ってもらえたのが大きかったな』
その後は、スクープ情報を意識してか、ろまんが話しまくってくれるが、どれも或る意味スクープ情報過ぎて全く使えず、シンプルにワチャワチャした楽しい時間。ろまんという男が静かなる凶暴性を持つことだけはわかった愉快な一発目のインタビュー。

朝9時30分過ぎ。次のインタビュー相手を探して、控室に滞在していると、イヤホンをしたヤングガールが鏡の前で動きまくってストイックに稽古している。出場芸人40組が表記されたエントリシートのプロフィールを観てみると、芸歴2年目のフリーピン女性芸人である21歳のオカヤマだと判明。稽古の隙を狙って話を聴いてみる。

オカヤマ『地元は岡山県で大阪の大学に通う4回生です。楽屋Aという地下ライブハウスには所属しています。今年初めて動画審査にエントリーしたら、自分がやりたいネタで通してもらえました。元々お笑いファンなので、今日は劇場やテレビで観ていた芸人さんと御一緒出来ていることに実感なさすぎて緊張していないですね』
中学生の頃から放送部に所属していて、以前はアナウンサー志望であったことや、現在もメディアでバイトしていたり、来春からはメディアで働くことも教えてくれる。ちなみに働き出しても、アマチュアとして芸人活動は続けたいとも話してくれる。地元岡山名産きびだんごを先輩芸人たちに挨拶を兼ねて配り歩いていたのも印象的であったが、わざわざお母さんが岡山から来阪して近くのホテルで生配信を観ているという話も印象的過ぎた。来年以降の活躍も期待しています。

控室から廊下へと出るとリハを終えて戻ってきたダウ90000の8人が廊下で一心不乱に稽古をしている。稽古を終えた蓮見翔に突撃する。第70回岸田國士戯曲賞を受賞して、演劇が流行っていないという強烈な言葉で今や超が付くほどの時の人。

――岸田戯曲賞まで受賞して、地位と名誉と富とまで言うと言い過ぎかもですが、何故まだABCお笑いグランプリにこだわるんですか?
蓮見『お笑いがやりたいんですよ。この1年、露出も増えてバタバタですけど、出ない方がモヤモヤしますから。それに優勝をしてみたいんですよ。岸田を置いとくと、優勝的なことは1回も無いですし、それに岸田はお笑いじゃないので。お笑いはやらないといけないですから』
岸田を獲って演劇を流行らせて、ABCを獲ってお笑いを流行らせて欲しいという想いをぶつけようとしたら、蓮見さんが突然ポスターのある言葉に噛みついてきた。
蓮見『“伝統も流行も関係ない”という言葉は、絶対俺に言っていますよね?! 流行は関係ありますよ。流行気にせずネタをやれるほど安定していないですよ、こっちは。あれは当事者じゃない人が書いていますよ!』

この男、まだまだ狂犬である。そんな中、後ろの階段をダウ女子メンバーが通りすがっていき、無邪気な声で蓮見に呼びかける。
『パン食べたいのある?!』
どうやらコンビニに行くので、蓮見に声をかけた模様。とは言え、さっきまでの狂犬ドーベルマンムードから、いきなり愛犬トイプードルムードへと早変わり。のどかというか呑気というか。

蓮見『あの人たちを率いて決勝に行くのは難しいんですよ! 取材中に絶対に話しかけたらダメですよ(笑)。まぁ、今回は他のメンバーもドラマに出ていたり、明らかに時間が無くて準備不足を感じています。でもABCはK-1(岸田戯曲賞)の3倍以上の賞金をもらえますし、この二冠は誰も達成していないですから、優勝をしたいです』
【PART2近日公開 全国区に躍り出たイチゴ「ダメだよ、強盗なんかしたら!」 強盗を企てる相方に…】
『第46回ABCお笑いグランプリ2026』 決勝戦は7月26日(日)ごご2時30分からABCテレビで生放送。ABEMAでも全国ライブ配信される。
(取材・文/鈴木淳史)
(企画・撮影/喜多ゆかり)



