男性が一生見る機会のない、女性のプライベートゾーン。この表情をさらけ出した田中美麗に、スタンディングオベーションを!>『こういうのがいい』第4話
毎週日曜深夜に関西エリアで放送中、TVerとDMM TVで見逃し配信中のドラマ「こういうのがいい」の第4話。エピソード『これってつまり?』では、「フリフレ関係(=セフレとも恋人とも違う、お互いを束縛しない、自由な男女の関係)」にある村田元気(西山潤)と江口友香(田中美麗)が、それぞれに職場の異性に誘われて、食事に向かう。
村田の相手は上司の今下伊好(岸明日香)。高級寿司店のカウンターでお酒が進んだ伊好は、少しトロンとした目になり村田をロックオン。伊好をタクシーに乗せて見送ると、村田の「あんな目でみられたらやばいよなあ」という心の声が聞こえてくる。伊好は明らかに村田を誘っている。お手合わせしたいのはやまやまだが、もしも伊好と男女の仲になってしまったら、「恋人」にならないわけにはいかないだろう。今は恋人を作りたくないが、伊好は魅力的で悩ましい……という村田の葛藤を表す「やばい」だと思われる。
一方の友香は、アルバイト先の後輩・伊藤(青山凌大)とカジュアルなビストロへ。かなり酔いが回った伊藤から、村田のことを「彼氏なんすか?」と質問されて、伊藤が自分に好意を寄せていることを友香は認識する。
後日、村田と友香は「もしも自分に恋人ができたらどう思うか?」と話し合う。お互いに束縛も嫉妬もないので、その事自体に問題は全くない。ただ、彼らはこう見えてモラリストなので、どちらかに恋人ができたらフリフレ関係は休業だという共通認識を持っている。その夜2人が激しくカラダを求め合ったのは、このフリフレ関係が永遠ではないと気付いたからかもしれない。
本ドラマではいまのところ、毎話セックスシーンが必ず1回はあり、毎回趣向を凝らしている。今回のポイントは、行為の最中の2人のキスを粒立たせたこと。見つめ合い、音を立て、長く、官能的に。あら? もしかして2人の間に恋愛感情が芽生えたのかな? という気配を感じるが、事後の2人はスポドリを飲みながら「今はまだ恋人はほしくない」と語り合う。そして友香から「恋人って何だと思う?」と聞かれた村田は、「心の支え?」「何となくだけど、恋は欲求って感じがする」「特別扱いをしたいというか、されたいというか…」と考えながら整理していく。2人は自分たちの間にその欲求はなく、性欲、友情、信頼で結ばれていることを確認する。
続く『痛みに負けるな』は、「生理」という言葉を一度も使わずに、友香が生理痛に苦しむ様子と、村田と伊藤の対応の違いを描くエピソードだ。友香が働くファミレスに行った村田は、いつも元気な友香にまったく生気がないことを訝しがる。が、「どうした?」と声をかけたりはせず、その後も特にメッセージなどは送らない。
自宅で痛みに悶えている友香に、伊藤からの長文LINEが届く。これは、前エピソードの村田のセリフにある、好きな人の「心の支え」になりたいという恋心の表れだ。しかし友香にとっては、伊藤の心配も励ましもただの押しつけで、痛みの緩和にまるで役に立たないどころか、イライラを増幅させるものでしかない。思わず「うるせえええええええええ」という返信を打ち込んで(すぐに「ありがと〜」に打ち直して返信)いるときの、友香の鬼、はたまた野犬のような形相は、男性が一生見る機会のない、女性のプライベートゾーン。この表情をさらけ出した田中美麗に、スタンディングオベーションを贈りたい。
昔の彼女の記憶をたどり、おそらく友香が生理痛だと気付いていた村田は、友香から届いた変な絵のスタンプ3連打に、何かを察して「りょ!」と変な絵のスタンプで返す。もしも2人が恋人だったら、村田は友香を「どうしたの?」「大丈夫?」と心配し、友香を余計にイライラさせていただろう。だが、恋人ではないので、友香のアクションがあるまでそっとしておいても問題ないし、それが友香にとっては一番ラクな距離感だった。やはり今の村田と友香に必要なのは、恋人ではなくフリフレなのだろう。
〈文・須永貴子〉