衝撃と感動の最終回! 「何曜日に生まれたの」すいが公文に仕掛けたサプライズな大エンディング!
ドラマ『何曜日に生まれたの』『101回目のプロポーズ』、『高校教師』、『未成年』などセンセーショナルな作品を世に送り出してきた野島伸司が脚本を務めるオリジナルドラマ。高校時代の“ある出来事”をきっかけに、10年間ほぼ引きこもり生活を送っていた27歳の黒目すい(飯豊まりえ)が主人公の物語だ。
10月8日の放送で、ドラマはとうとう最終回を迎えた。第8話(前回)の終盤にて、サイン会会場で熱狂的なファン(山之内すず)にナイフで刺されたと思われていた公文竜炎(溝端淳平)。しかし、実はすいの父・丈治(陣内孝則)が咄嗟に公文をかばい、代わりに刺される事態となっていた。救急車で運ばれたが大事には至らず脅威の回復を見せる丈治に、公文は深い感謝の気持ちを覚える。お見舞いへ向かった公文は、病院ですいとばったり鉢合わせるのだ。
公文は、ファンの持つナイフを見た瞬間、かつて妹・蕾(白石聖)が起こした傷害事件がフラッシュバックし、身動きが取れなくなったとすいに話す。そして、「俺が刺されればよかったんだ。知らない人間を助けようとするなんてナンセンスだ」と公文は号泣。すいは「あなたも無事でよかった」と菩薩のように微笑み、彼をいたわる。
一連の二人のやり取りを見ていると、関係性が大きく変化したことを改めて感じずにはいられない。第1話では、引きこもりで人と上手にコミュニケーションを取れなかったすいが、売れっ子作家で切れ者の公文と堂々と渡り合っていけるようになるとは、誰が想像しただろうか。そればかりか、すいが公文の頑なだった心をほぐし、彼をトラウマから解き放っていく過程が、ドラマ後半では丁寧に描かれた。かつて傷を負ったことのある人間だからこそふるまえる、すいの行動と心情に成長を思わされ感動を覚える。
そして、二人の関係はそれだけでは終わらない。公文は丈治との連載が終わったため、すいや彼女の同級生たちとのつながりをすべて切ろうとしていた。しかし公文は偶然、瑞貴(若月佑美)と会い、その後すいと悠馬(井上祐貴)が付き合っていると耳にする。まるで裏取りをするかのように、かつてネタのためにすいのスマホに仕込んだ盗聴器で、公文はすいと悠馬の仲睦まじい会話を思わず聞いてしまう。疑似恋愛と称し自分の気持ちに蓋をしていた公文の心は、カップルの会話によりまた激しく揺さぶられる。
すいが車を止めようと立ちはだかる。驚き車を止めた公文だったが、すいの表情を見て、自分が“仕組まれていた”ことにここで気づく。公文のことを一途に想うすいは、彼のホントの気持ちを確かめるため、同級生たちに頼み「すいと悠馬は付き合っている」と間接的に公文に勘違いさせる一芝居を打ってもらっていたのだ。公文に正攻法は通用しないので、何も言い訳できない状況に追い込み、すいへの気持ちへたどり着かせる、という大技。すいの(ひいては野島氏の)筋書きや、あっぱれである。
ようやく互いの素直な気持ちを確かめ合ったすいと公文。このハッピーエンドに頬がゆるんでしまうのは、よくある男女の恋物語だったからではない。すいと公文は10年前からの縁があり、両者ともぬぐえないトラウマを抱えていた。その深すぎる傷は、お互いの助けによって乗り越えられ、自分を再生させた者同士の恋となる。そんな運命めいたふたりの物語だったから、このハッピーエンドにはひとかたならぬ思いを寄せてしまう。
本ドラマは、放送前「ラブストーリーなのか?ミステリーなのか?人間ドラマなのか?はたまた社会派なのか?」と謎めいた宣伝文句を掲げていた。最終話まで観終わってみると、なるほど、すべての要素が確実に入っていた。「ナンウマ?」と言い合うすいと公文の笑顔をこの先もまだまだ見たいと思ってしまうのは、どっぷりハマった証拠だろう。
<赤山恭子>
【放送情報】
「何曜日に生まれたの」
放送終了後、TVer・ABEMA で見逃し配信
TVerにて第1話~第3話まで無料配信中!