栗山千明 ギスギス親子関係に「今、そんなこと言う?」

4月期スタートのドラマ『エラー』(ABCテレビ・テレビ朝日系列 毎週日曜夜10時15分)は、とある女性を死なせてしまった中田ユメ(畑芽育)と、その女性の一人娘で真実を知らない大迫未央(志田未来)が奇妙な友情を育む物語を描く作品。栗山千明さんは、地元で有名な学習塾の社長として成功を収めているが、娘のユメとの親子仲は最悪という母親を演じている。
――栗山さんは、主人公ユメ(畑芽育)の母親・中田千尋を演じています。千尋は、どういう人物だと思われますか。
一癖ある登場人物が多いですけれど、千尋もまさしくそのタイプ。娘であるユメと、絶妙な距離感にいる人ですね。ユメとの親子関係も物語が進むにつれて見えてきますが、母親として娘を受け入れたいのにそれがうまくできずに、逃げてしまっている。その上、ちょっと辛く当たってしまう不器用なところもある。でも、愛していないというわけではないんですよね。
塾の経営で成功している女性なので、行動力、判断力、積極性はすごく持っているのだけれど、それがあるからこそ、ユメとの関係がこじれていく中で強く当たってしまうのかな。自立している女性だけれど、家族間では、向き合えていないのかもしれません。
――再婚相手との間にできた娘との暮らしを重んじて、元夫との子であるユメと弟の太郎(坂元愛登)との親子関係がギスギスしてしまう……という関係性です。
でも家族……、特に親子って、言わなくてもいいことを言ってしまうものじゃないですか。久しぶりに会ったのに「風呂入ってないんじゃないの? なんか臭いわよ」なんて無遠慮にズケズケ言ってしまうシーンがあるのですが、そういうところが「やっぱり親子だな」と思えました。千尋親子に限らず、「このシチュエーションでこんなことを言うんだ」、「こんなことするんだ」という絶妙なやり取りが多いドラマかも。そこがまた、作品の面白さに繋がっている気がします。
――栗山さんは娘・ユメ役の畑芽育さんとのシーンが多かったと思いますが、畑さんの印象を教えてください。
お芝居の力もあるし、立ち振る舞いも素晴らしい。可愛いのに、中身はカッコいい方ですね。キャピキャピしていてもおかしくない年齢なのに全体をしっかり見ていて、母親役の私の方が「しっかりしなきゃ」と思えます。でも、キャストやスタッフさんにプロフィール帳を配る無邪気なところもある方です(笑)。

――ギャップがありますね。千尋は視聴者から「イヤな母親」と捉えられる役だと思いますが、どのような心持ちで撮影現場に入られていますか。
毎日、緊張しています。楽しいシーンというのがないので(笑)。それに先を読むのが難しいストーリーなので、台本で書かれているものが、実際にお芝居するとどうなるのか考えると、余計に緊張しちゃうんです。でもそれくらいの方が、千尋のピリピリ感が出るんじゃないかと前向きに捉えてはいるんですけど。
――千尋とユメの親子関係の変化が見られるのは、何話になりますか。
まずは、6話でしょうか。それまで冷戦していた二人が、ガッツリ言い合うことになります。世間体もあるのかもしれないけれど、ユメのしたことを知って、親としてユメを諭すというシーン……。そこは一番緊張しました。
――この『エラー』というドラマの面白さというのは、どういうところにあると思われますか。
私個人でいうと、最初は、好奇心みたいなものががありました。ユメと未央が関わる出来事は、誰が遭遇してもおかしくないものじゃないですか。だから不謹慎かもしれないけれど、被害者・加害者の方々がどういう気持ちでいらっしゃるかがまず、すごく気になりました。
実際に脚本読んだ後は、当事者たちには被害者・加害者というだけでなく、悲しさや責任を感じつつも、日常がそこには必ずあるとわかった。シリアスだけではないんですよね。そんな中で突拍子もないようなことが起きたり、想像もできないような発言をしたりするのがすごく人間らしいというか、そのラフさが逆にリアルに思えました。
『エラー』は音楽を含めて、映画みたいな雰囲気で素敵に仕上がっています。特にユメがイカをサバくところ! 私だけかな……、そう思ったの(笑)。脚本には「イカをサバく」とだけ書かれていたけれど、映像になるとおしゃれでカッコいいんですよ。エモさがあるというか。想像していない面白さとカッコよさが相まって、すごく独特な世界感……、例えるのが難しいジャンルのドラマになっている気がしました。
(後編につづく)

ドラマ『エラー』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜夜10時15分放送。放送終了後、TVerで見逃し配信。
取材・文/坂本ゆかり
ヘアメイク/長島由香(MARVEE)
スタイリスト/椎名倉平



