アラクオ世代の本音と建前が鮮烈! 激しく求め合う甘いラブシーンを切なく描き出す“ヌーディーでモノクロなモノローグシーン”の真意とは?/『around1/4』(第6話)
「私のこと、気持ち良くして」。
激しく求め合う熱いはずのキスがどこか冷たくて切ない――。そんな冒頭シーンが印象的だった『アラクオ』第6話。ある理由からセックスができない康祐(佐藤大樹)と、愛情を受け入れたい早苗(美山加恋)が、図らずもお互いを傷つけあってしまう…。
「ごめん、俺、早苗が思うような人間じゃないから」。 理由はどうあれ、お互いの想いが行き違い、相手を傷つけてしまう経験をした読者の方もいるのではないだろうか? 特に20代、アラクオ世代の頃に。
恋愛を真剣に突き詰めていくと、本音と建前のはざまに思い悩み人生観や生きづらさと向き合わざるを得なくなっていく。康祐はひとつ年下の一真(曽田陵介)から見れば「執着がない分、自由で経験豊富で女の扱いもうまい」男性に映っているが、本性はそうではない。ふざけた勢いで早苗とホテルには行くけど、酒に酔った勢いでセックスはできない。
そんな康祐の本性は、これまでにドラマで描かれてきたモノローグシーンで見せる表情と、つぶやく本音にありありと表れている。
康祐のことを「自由で経験豊富だからモテる」と評した一真もまた、いまだ美容師アシスタントながら、仲間や彼女・美和(福室莉音)の前では一人前のスタイリストだとうそぶいては、その本音と建前の惑いを深めていた。そんな中でカットモデルのあかり(里々佳)への想いを強くし、みずから食事に誘う。
「浮気って、どこからが浮気なんだろう…」
そんな本音を払拭するように、激しく美和を求めキスを重ねるが、熱いはずのキスはどこか冷たくて切ない――。
本作ではカフェバー『NONKI』やサパークラブ『クロマニヨン』、夜景の美しい夜道など、にぎやかであったり、色鮮やかであったりするシーンが多い。それ故に、にぎやかな人前での振る舞いと、モノクロで表現される服もアクセサリーもすべて取り払った姿が暗喩的で、その“コントラスト”が話を重ねるごとに色濃くなっていく。
不倫の恋を止められない明日美(工藤遥)、そして、破滅的な瞬(阿久津仁愛)に感情を揺さぶられ続ける直己(松岡広大)も本音と建前の間にできたひずみへと陥っていく“予感”がちりばめられていた第6話。観終わった後に、5人それぞれが見せる建前の裏にある本音の表情に魅せられ、観ているこちら側がつい自省してみたくなった。 『around1/4(アラウンドクォーター)』は、毎週日曜よる11時55分のドラマL枠(テレビ朝日は毎週土曜深夜2時30分)で放送中。原作は、世界累計4300万DLを突破した漫画アプリ「comico」で連載された作家・緒之の同名WEBTOON作品。
<ニノマエヒビキ>
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