『探偵！ナイトスクープ』を観て育った、というお守りがあった　大東駿介

2025.03.27

関西を中心に、35年以上に渡り愛され続けてきたバラエティ番組『探偵！ナイトスクープ』。同番組に着想を得たスペシャルドラマ『あの夜をすくいに』（ABCテレビ）が、3月28日（金）に放送される。本作は、ある家族の複雑に入り組んだ一夜を描くヒューマンドラマで、主演に村川絵梨、夫役に大東駿介、幼馴染役に細川岳でおくる『探偵！ナイトスクープ』から始まるオリジナルストーリーだ。

関西初の名物番組が題材となったことでも話題となったが、本作の魅力について大東駿介にインタビュー。大阪出身で番組を観て育ったからこそ、「『探偵！ナイトスクープ』の遺伝子が流れている」という大東。前編の『探偵！ナイトスクープ』の魅力についての話に続いて、本作の見どころについて話を訊いた。

あらすじ
小学生のころ「夜の学校に行ってみたい」という依頼で『探偵！ナイトスクープ』に出演した幼馴染二人が大人になり、現在は離婚にあと一歩踏み切れない悩める夫婦が描かれる。小学生の一人娘はそんな両親から逃げるように、友人と夜の学校に家出する。娘の捜索のため、学校に忍び込んだ夫婦はそこで長年行方知らずだったある人物とまさかの再会。忘れていた過去、娘の悩み、掘り起こしたタイムカプセル。夜の学校でそれぞれと向き合うことで家族の問題は『探偵！ナイトスクープ』のように「チャチャチャン♪」と解決を迎えるのか・・・。

――今回、『探偵！ナイトスクープ』に影響を受けたドラマとしてオファーがあった時、どんな心境でしたか。

「『探偵！ナイトスクープ』に応募して、採用された子どもたちが大人になった時の話」という時点で「やりたい！」と思いました。そして、しっかりと脚本を読ませていただくと、完成度が高く言葉選びが本当に秀逸な台本で、『探偵！ナイトスクープ』という番組をとても大切にしてることが伝わってきました。番組にちゃんと愛をもって、大切に扱ってることを感じながらも、番組に寄り過ぎずドラマとして成立している、絶妙な台本やなという印象でした。本を読んだ瞬間に、「この人の本で絶対もう1回やりたい！」と思ったぐらいです。会話劇ってすごく難しいと思うんですけど、登場人物の背景が見える上に、その人がしっかりと躍動している会話劇になっていて、本当に素晴らしい本だなと。

――会話劇だからこそ、実際に演じてみて難しかったところはありますか？

難しかったところがないぐらい、ほんとに染み込むような脚本でした。しいてあげるとすれば、会話が多く放送の尺に収まらないぐらいの長さだったので、現場でちょっと短くしていくことになって。そうすると、関西人の会話の妙みたいなものがちょっと薄くなっちゃうんですよね。最初の本がすごく面白かったからこそ、もったいないなと。だから、撮影の当日まで、監督と「セリフどうしましょうか」「もっといい方法ないですかね」と話し合いながら、現場でセリフを変更したりもしました。セリフが変わると普通は演じるのが難しくなるのですが、やっぱり元々の台本がすっと体に浸透するような完成度だから、結構な長ゼリフを変更しても、みんなすんなり言えるんですよね。脚本の完成度の高さ、丁寧に演出してもらえたこと、役者もスタッフもみんなの中に『探偵！ナイトスクープ』を観て育った、というお守りがあったことが大きかったと思いますね。

――指針として『探偵！ナイトスクープ』があるから、みんなで同じ方向にむかえると。

そうなんです。監督も苦渋の決断で、「ここを切らなきゃいけない」ということもあったんですけど、やっぱり『探偵！ナイトスクープ』の看板を借りている以上は、「このセリフは削らない方がいいんじゃないか」「そこの思いはちゃんと残しといた方がいいんじゃないか」とか、色々と話をさせてもらいましたね。このドラマは『探偵！ナイトスクープ』があってできているものだということを絶対に忘れちゃいけない、という共通認識を持って取り組めました。みんな、身体の中に『探偵！ナイトスクープ』の遺伝子が流れているからこそ、できたドラマだと思います。

――みんな『探偵！ナイトスクープ』を観て育ったからこそできたドラマなんですね。

なかなかないと思うんです。これだけ関西で愛され続けている番組って。子供の頃から『探偵！ナイトスクープ』を観て育って、僕みたいに上京した人間もあのテーマソング（円広志「ハートスランプ二人ぼっち」）を聞けば子供の頃に戻れる。だからこそ、同じような想いを持っている人のためにもこのドラマをやろうという気持ちが自分の中にはすごくありました。

――ちなみに、本作は関西弁で描かれています。大阪出身の大東さんですが、ご家庭では関西弁を話されないんですよね？お子様たちは、関西弁で話すお父さんをどんなふうに見てるのでしょう？

最初、子どもたちに関西弁で喋った時はちょっと怯えてましたね（笑）。別人みたいに見えるんでしょうね。もう慣れてきましたけど、最近は関西弁で育てたらよかったなとちょっと思っています。

関西弁ならではの独特なグルーヴ感があるじゃないですか。自然とオチを最後に持ってくる文法だとも思うんです。日常でも話のネタに使えるなと思ったら、どうやって話せば面白くなるか逆算してエピソードを組み立てたり。そういう関西弁ならではの良さが、今の仕事に生きているところもあるから、選択肢としてプレゼントしてあげたらよかったなって思ったりもします。

――ありがとうございます。それでは最後に、改めて読者のみなさんにメッセージをお願いします！

『あの夜をすくいに』はドラマですが、『探偵！ナイトスクープ』の香りが常に漂ってる作品になっています。金曜日の夜、『探偵！ナイトスクープ』のオンエアのあとに放送されるので、そのままの気持ちでもう一つの依頼としてぜひ観ていただけたら嬉しいです。家族の誰かが、友達の友達が依頼人として出てきたような。その「もしも」の話を映像化しているような作品になっているので、身体の中に流れるみなさんの『探偵！ナイトスクープ』の遺伝子を持って、楽しんでいただけたらと思います！