2回とも完璧に仕上げないといけないのは「M-1」と一緒 「フレンチ」「中国料理」「日本料理」「ジャンルレス」のガチンコ対決を見て欲しい
40歳未満の若手料理人No.1を競い合う真剣料理バトル「ザ・プレミアム・モルツ presents CHEF-1グランプリ2024」。4回目となった今大会は、全国各地から昨年を上回る506名の応募があった。「フレンチ」「中国&アジア料理」「日本料理」「イタリアン&スパニッシュ」 「フードクリエイター」「ジャンルレス・その他」6つのジャンルでNo.1を決める戦いがあり、準決勝には6名のシェフが進出。決勝ではさらに4名に絞られ、最終決戦で王者が決定する。果たして、優勝賞金1000万円を手にするのは誰なのか!?
準決勝の審査員を務めた、日本を代表する料理人の皆さんに決勝へ進む4名が決まった戦いの直後に話を聞いた。
(写真左から 神田裕行 関谷健一朗 田村亮介)
【準決勝・審査員】
和食「日本料理かんだ」 / 神田裕行
後進の手本となるシェフに与えられる「メンターシェフアワード」にミシュランから日本人として初めて選出。17年連続三つ星「日本料理かんだ」店主
フレンチ「ガストロノミー・ジョエル・ロブション」 / 関谷健一朗
17年連続ミシュラン三つ星「ガストロノミー・ジョエル・ロブション」総料理長。ジョエル・ロブション氏も名を連ねる、フランス発の本格レストランガイド『ゴ・エ・ミヨ 2024』にて「今年のシェフ賞」を受賞
中華「慈華(いつか)」 / 田村亮介
台湾での修業経験もあり、「慈華」オープンから1年も経たずにミシュラン一つ星の評価を得る
(17年連続三つ星「日本料理かんだ」店主・神田裕行が全国の料理人に出場を勧めるワケ インタビュー前編はこちらからどうぞ)
Q.準決勝のテーマ「オムライスに革命を起こせ」についてどんなことを感じましたか? 革命は起きていましたか?
(神田)やはり「革命」というテーマが無いと番組としての魅力に欠けるのではないか。また、料理に詳しくない人にも見てもらうためには「みんなが知っている料理に革命を起こす」というハードル設定も必要だろう。
実際、普通に「オムライス」を作ってこられても、見た目がみんな同じになってしまう。あとはどれだけ美味しいかを僕らが評価したとしても、視聴者へ伝わりづらい。例えば、花田シェフのオモライスも「革命」というテーマが無ければ生まれていない。そういう面では、最初の年は「革命」「革命」と口酸っぱく言われて苦労したが、今思えば、だからこそ面白い料理が生まれるんだろうなと思う。
Q.自分自身の中で「料理の革命」はどういうものか?
(神田)オムライスならオムライスを想起させるものがあって、イメージであれ、味であれ、見た目であれ、何か原型を残しつつ全く違うものにするのが革命。全部を変えてしまうと革命ではなく、いわば「国が変わっちゃう」ことになる。同じ国の中で起こすから革命。違う国のことになっちゃうと革命じゃない。
(関谷)どこかに大元となるベースのテーマ要素が思い浮かべられないと難しい。今回で言えば、どこかオムライスを連想させるものは絶対的に必要。卵とごはんを使ったからオムライス、とするとわけが分からなくなる。
(関谷)個人的には準決勝で1位だったオムライスには革命を感じた。食べたことのない表現方法だった。片手で立ったまま食べられるようにしてあるところも考えられている。もしかしたらスタジオで食べるより外で立って食べるのが美味しく感じる料理の一つかもしれない。ポロポロしてなくて粘度がしっかりしていたのが良い。一体感が出ていた。これこれ、と思った。
(田村)全く別のものにするのは革命ではなくなる。片足、つま先ぐらいはキープしておいて、その時代において違う角度からものを見ることだと思う。そのバランス感覚は難しい。今日で言うと日本料理も革命だったが、僕の中では細かいところで山下シェフが卵を過熱する良さを出しながら違う食材で卵のような食感を出したというのが革命だなと思った。またソースの素材についても、すごいこと考えるなと思った。火入れは微妙なところのせめぎ合いなので、5秒か1秒かで変わる。わずか数度、数秒の違い。
Q.決勝に進む4名が決まった。今後、決勝の勝敗を分けるカギは?
(神田)優勝するためには、決勝の場であと2回戦いがある。「M-1」もそうだが、両方とも完璧に仕上げてこないといけない。多くの場合はどちらかが完璧でどちらかが緩い。両方とも完璧に仕上げてきたシェフが優勝する。だから、きちんと試作すること。作ると改良点が見える。
(関谷)諦めないこと。お題が出た瞬間からが勝負。みんな与えられた時間は同じ。1秒たりとも無駄には出来ない。諦めないことで精度・完成度が変わる。ミリ単位で大きさが変わる感覚。実際、私が賞を取った料理はミリ単位で微調整をした。それが重要だったと感じている。そこまで突き詰めるとだんだん見えてくるものがあり、それを最後まで突き詰めて試行錯誤するのが大事。もちろん口で言うのは簡単で、コンテストのために試作していると「これぐらいでいいかな」という瞬間が来る。しかし「もっと上に行けるんじゃないか」という思いを持つことができると、「絶対これならいける!」と考えた次の日に「やっぱり、あそこを変えようかな」という気持ちが出てくる。その繰り返し。「CHEF-1グランプリ」は時間制限がある大会なので、こっちの調理法の方が短縮できるとか、短縮したことによって美味しさの表現がちょっと下がったりしたらその落としどころをどうするのかなど。1分1秒単位で仕事の組み立てをしていかないと勝てない。
Q.決勝のみどころは?
(神田)今回は何といっても「フレンチ」「中国料理」「日本料理」「ジャンルレス」のガチンコ対決。シェフの成長ぶりだったり、戦いぶりを見て欲しい。例えば山下シェフならセンス、木村シェフは日本料理らしさ、花田シェフは高い技術、フレンチの吉岡シェフは初の参加なので何をしてくるか分からないダークホースと、それぞれ特徴がある。シェフのバックグラウンドにあるストーリーと、キャラクターが注目だと思う。
(関谷)個人的にはリベンジする人、新参加の人、コンクール慣れしている人、という対比が興味深い。シェフは一人ずつキャラクターが立っているのでそれを見て欲しいし、作る側への期待でもあるが、家で作ってみたいなと思える料理が出てくると良い。
(田村)料理は気軽にできるものだが、「CHEF-1グランプリ」に出ている人は人生をかけて24時間寝ても覚めても料理のことを考えて、新たな料理を生み出そうとしている大変さがある。一方で、みんなに食べてもらうことで味わえる喜びもある。そういった要素が加わって作った料理が審査員の心に響くと良いなと思う。サービス業の究極「人から人への伝え方」で本気で戦っている様子を見て欲しい。
「ザ・プレミアム・モルツpresents CHEF-1グランプリ2024 決勝」
7月14日(日)夜6時30分からABCテレビ・テレビ朝日系列で全国ネット放送
「ザ・プレミアム・モルツ presents CHEF-1グランプリ2024 ~決勝直前!オムライスに革命SP~」
テレビ朝日系列:7月7日(日)午後1時55分~3時20分(一部地域を除く)
ABCテレビ:7月6日(土)午後2時30分~4時
出演者 山里亮太、令和ロマン、鬼越トマホーク
準決勝進出シェフ6名(木村僚佑、花田洋平、吉岡翔太、小西豊、丸山千里、山下泰史)
「ザ・プレミアム・モルツ presents CHEF-1グランプリ2024 ~決勝直前!日本のベスト4シェフ最強料理SP~」
7月12日(金)よる11時15分~0時15分 ABCテレビ・テレビ朝日系列全国ネット(一部地域を除く)
出演者 山里亮太、令和ロマン、さや香、マヂカルラブリー、オズワルド
決勝進出シェフ4名(木村僚佑、花田洋平、吉岡翔太、山下泰史)