「お茶ラーメン」をこれからどう広げていこうかな? “口中調味”という新しい手法で準優勝 丸山千里シェフ
「CHEF-1グランプリ2023」で準優勝したのは、フードクリエイター部門から勝ち進んできた丸山千里シェフだった。企業の商品開発などを手がける料理人で、フードクリエイターとして培ってきた独特な感性で大会に数多くの革命を起こしてきた。
決勝第二試合で丸山シェフが用意した「カニと柑橘のお茶ラーメン」は放送後にも大きな反響を呼んだ。醤油、味噌、塩ラーメンに次ぐ新ジャンルというお茶ラーメンで前回準優勝の山下シェフに勝ったのは周囲からも“ジャイアントキリング”と言われ話題にもなった。
「CHEF-1グランプリ2024」のエントリーは現在受付中。今年再挑戦するのかどうか、またこれから出場を検討する人へのアドバイスや大会に向けての心構えなどを聞いた
自己紹介代わりのひと品ができました!
――「CHEF-1グランプリ2023」に出場して準優勝されたわけですが、それによってどんな変化がありましたか?
丸山 大きく変わったことは2つあります。1つ目は周囲からの評価、反応がすごく変わりました。私の応募動機でもあったのが、「フードクリエーターの肩書の説明にある、飲食店に立たない料理人ってどういうこと?」とよく聞かれていたことでした。それが、テレビを通して丁寧に取材をして紹介いただいたことで、「あ、こういうことをやっていたんだね!」「そんなふうに企業さんと食品やレシピの開発をしていたんだね!」と理解が深まったと感じます。今まで一緒に仕事をしてきた方とか、私の仕事が料理をすることだと何となく知っていた方も、「あの『CHEF-1グランプリ』で評価された人なんだよ」と、人に紹介しやすくなったと聞いています。
――実際、一緒に仕事をする人やお仕事の依頼も増えたのですか?
丸山 そうですね。今まで全く知らなかった方から、InstagramとかXのDMでお仕事の依頼が入ったりします。私は鹿児島の出身ですが、地元のテレビや新聞社さんに取り上げていただいたり、九州でお声がけをいただくことも増えました。八女茶の産地である福岡県の八女市や、宮崎県の西都市で農家さんを束ねている団体から、それぞれイベントとメニュー開発、地域のものを使ったレシピ開発などの依頼をいただいています。お声がけいただけるのはすごくうれしいので、どれもしっかりやっていきたいと思います。
――もう一つの大きな変化は何ですか?
丸山 何より番組の中であの“お茶ラーメン”を生み出せたことが、自分の料理経験として、すごく大切なターニングポイントになりました。自分1人で商品開発をしていても、なかなかあそこまでは出せなかったなと思います。戦いの途中はけっこう苦しくて、プレッシャーとか、他のシェフに恥じないものを出さなきゃみたいな気持ちがあり、そういうのが集まって、ああいうものが生み出せました。自己紹介代わりのひと品ができたなと感じています。今、お茶ラーメンをどう広げていこうか考えていて、いろんな人に相談するのですが、すごく親切に自分事のように喜んで協力してくれる人がいます。自分の生み出したコンテンツを軸に、人とのチーム感が高まっているような印象です。
――そのひと品を生み出せたことで、料理人としての意識にも変化がありましたか?
丸山 私は飲食店での修業を挫折してしまったから、今の働き方になってしまった……という、後めたさとか少し悔しい気持ちをずっと持っていたんです。でも、この大会を通して、自分の強みを認識できたし、考える機会にもなりました。たとえば、肉を焼く技術では山下シェフに勝てるわけがないですし、それぞれのシェフには強いところがあるので全部で勝てるわけではありません。ただ、料理を論理的に考えて組み立てていくところ、お題に対してメニューを考える力だけは他のシェフにも負けないところだなと感じることができたし、自信を持つことができるようになりました。
「口中調味」は戦いに見合った自分の武器
――確かに丸山さんの料理は審査員の方々も驚かせていた印象があります。
丸山 あんなにすごい審査員の方々に自分を認識してもらえたのは、「CHEF-1グランプリ」がなければ絶対になかったので、本当に貴重な機会でした。あの審査員の方々に食べてもらえるというのが、モチベーションでもあり、また次も出たいなという気持ちになっています。審査員の方々とは、大会のあとも、SNSを通してやり取りしたり、noteで書いた記事を読んでくださったりしています。成長を見守ってくれる存在に豪華メンバーが加わって、自分の人生にこんなことがあるんだ!って驚いています。
――決勝第二試合での「カニと柑橘のお茶ラーメン」にしても3回戦の「口中調味トムヤムクン」にしても、あのようなレシピをどのようにして思いつくのでしょうか?
丸山 実は、3回戦の「口中調味トムヤムクン」と準決勝の「和牛とバニラの出会い」、それと決勝第二試合の「カニと柑橘のお茶ラーメン」では、自分の考えも少し変わっています。最初の2つに関しては、「革命ってなんだろう?」という定義付けをしっかりするところに時間を使っていて、審査員の方々の特性も踏まえて細かい作戦を立てています。たとえば、フレンチっぽいもので突き詰めても私よりフレンチに詳しい人なのだからびっくりしないだろうとか、一流の料理人なので食べたら何が入っているか口の中で分析できちゃうだろう、だからバレない調味料にしようとか。その上で、口中調味は2年くらい自分のテーマとして研究していたことだったので、戦いに見合った自分の武器を取り出したというところです。(後編につづく)
「CHEF-1グランプリ2024」は現在エントリー受付中!!
エントリー課題は「ハンバーガー・サンドイッチに革命を起こせ!」
40歳未満であれば日本全国どこからでも参戦可能!詳しくは公式ホームページまで!