日曜よる10時放送中!堀田真由×萩原利久 この秋一番のピュアラブストーリー「たとえあなたを忘れても」 「あなたは一度、私のことを忘れてる」美しいキスシーンには複雑な想いが交差して…
ドラマ『たとえあなたを忘れても』は、夢を失った女性と記憶を失った男性が気持ちを通じ合わせる、切なくも美しいヒューマンラブストーリー。『神様、もう少しだけ』、『ラスト・フレンズ』などで知られる浅野妙子が執筆する、オリジナル作品となっている。
主人公は、音大を中退しピアニストになる夢を叶えられなかった河野美璃(堀田真由)。キッチンカーの店主・青木空(萩原利久)にほのかに恋心を寄せている美璃は、彼に記憶障害があり、これまでに4回記憶を失っていることを知る。 空の幼馴染・藤川沙菜(岡田結実)も交えて、3人でごはんを食べに行くことになった美璃。そこで、空と沙菜が親しげに会話を交わすのを目の当たりにする。沙菜は空がアルコールに弱いこと、カニのアレルギーを持っていること、唐揚げが好きなことなどなど、美璃の知らない空の一面を次々と挙げ、さりげなく世話を焼く。うっすら感じる二人と美璃との壁…こうした苦い思いは誰しも経験があるものではないだろうか。
空が席を立ったとき、思わず美璃は「沙菜さんは彼とすごくいい雰囲気だし、いろいろあってもずっと変わらないんですよね」と言ってしまう。そんな美璃に、沙菜は「私だって今まで何度も寂しい思いをしてる。もう慣れただけ。あの子と付き合うには、覚悟がいるんよ」と、こともなげに返されるのだ。空と沙菜には”歴史”があり、それは美璃がまだ空とはぐくめていないものだ。羨ましいという気持ちが先行していた美璃だが、その言葉で、沙菜がどれだけつらい思いを乗り越えてきたのか想像できずにいた自分に気付く。
空との向き合い方は、空の母である理佐子(檀れい)とのやり取りからも美璃はまた自身の甘さを思い知る。母親だという事実を空に告げない理佐子のふるまいに、「いいんですか…?」と差し出がましくも聞いてしまう美璃。理佐子は、空に負担をかけないために言わない選択をしたいきさつを美璃にやさしく話す。理佐子の親子間だからこその苦しみと思いやり、覚悟を持った上で傍で支えているその態度に、美璃は言葉を失う。
理佐子・沙菜・空。彼らは、傷ついた過去の果てに今の適切な距離感を見つけた。空と知り合ったばかりで、かつ彼に対して恋愛感情を抱く美璃の胸中は複雑だ。空に負担をかけたくない、けれど空ともっと近づきたい、それでもまた忘れられてしまうかもしれない…ぐるぐると思い悩んでいることが、台詞を発さずとも堀田のピュアな演技から痛いほど伝わる。
ラストシーンでは、廃墟に何度目かのお出かけをする美璃と空の姿が映し出された。ピアノの前に座った二人、空は美璃にゆっくりと近づきキスをする。空は「美璃のこと、忘れへんよ」と愛おし気に言う。しかし、美璃は「どうしてわかるの?あなたは一度、私のことを忘れてる。二度目はないって…どうしてわかるの?」と思いをぶつけ、その目からはとめどなく涙があふれ出た。忘れてほしくない美璃と、忘れたくない空…互いを思い合う気持ちが交差する。今日と同じ明日がくる、とは限らないから今を見つめるしかない。二人の哀しくも熱い眼差しに、胸が焦がれた。
(文・赤山恭子)
毎週日曜よる10時
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