日曜よる10時放送中! 堀田真由×萩原利久 この秋一番のピュアラブストーリー「たとえあなたを忘れても」想いが通じ合ったかのように思えた美璃と空。切なすぎる展開にSNSでも話題沸騰!
ドラマ『たとえあなたを忘れても』は、夢を失った女性と記憶を失った男性が気持ちを通じ合わせる、切なくも美しいヒューマンラブストーリー。『神様、もう少しだけ』、『ラスト・フレンズ』などで知られる浅野妙子が執筆する、オリジナル作品となっている。
主人公は、音大を中退しピアニストになる夢を叶えられなかった河野美璃(堀田真由)。東京の実家にいるのがいたたまれず、従兄弟の遠山保(風間俊介)が働く神戸で一人暮らしをしている。音楽教室のピアノ講師として生計を立てているものの、生徒が次々と辞めていき生活はひっ迫。旧友・衛藤まりあ(森香澄)の紹介で音楽出版社の面接を受けるが、不採用通知を受け取ってしまう。
落ち込む美璃に声をかけてきたのが、よく通る道でキッチンカーの店主として働く青木空(萩原利久)だった。空は、美璃が普段は高くて買えない700円のフレッシュメロンジュースを「飲む?好きでしょ。今日の残りやし」とやさしい関西弁で差し出す。その温かな気遣いに心をほぐされた美璃は、思わず「私って役に立たない人間だなあ」と愚痴を言ってしまう。空は、自分が撮った使われなくなった廃墟ホテルの写真を見せ「なんかいいと思わん?キレイやから撮った。何の役に立っているか、わからへんやん」と押しつけがましくなく元気づけるのだ。
美璃と空の一連のやり取りを見るだけで、このドラマはテンポ早く画替わりで見せていく類ではなく、俳優たちの確かな演技を基盤に、神戸という街の澄み渡る空気感ごと大事に届けている作品だとわかる。それは日曜日の夜にドラマを見ている視聴者に、少しの安らぎを与えてくれるようだ。
美璃を演じる堀田は本作が地上波連続ドラマ初主演。堀田といえば、13代目『ゼクシィ』CMガールとしての可憐な印象も強いが、先日公開された主演映画『バカ塗りの娘』では津軽塗職人として生きることを決める芯の強い女性を好演。はかなげなムードとひたむきさを共存させることができる唯一無二の俳優といえる。心地よい声と少しの目線の配り方や表情で気持ちを伝えられるあたり、美璃に本当にぴったりだ。
一方、相手役の空を演じる萩原は、ドラマから映画へと展開した話題作『美しい彼』シリーズの主演でも知られる。兼ねてより若手俳優の中でも実力派と名高く、2019年の出演映画『十二人の死にたい子どもたち』の堤幸彦監督からは「難易度の高い芝居を見事に演じてくれた有望な若手」とコメントされるほどお墨付き。ちなみに堀田とは4度目の共演となり、高い演技力から織りなされるコンビネーションの妙にも注目したい。
その後の第1話では、「廃墟ホテルにいつか行ってみたい」という美璃の言葉を受け、空が自身のキッチンカーを運転して連れて行く。空に気持ちを預けることで、落ち込んでいた美璃の表情がどんどん明るくなっていく。音大時代の奨学金の返済があり、生活苦すれすれで生きている美璃だったが、空のキッチンカーでジュースを買ったりしてコミュニケーションを重ねていく。彼と過ごす時間が何者でもない自分を肯定し癒やしてくれる、新しい自分に出会えるひとときということが、台詞はなくとも二人の空気感から醸し出される。美しい一瞬を切り取る絵画のような場面に、思わずため息が漏れてしまう。
しかし、ある日事態は急変。美璃との待ち合わせに空が来ず、そのまま音信不通になってしまうのだ。「なぜ?」とやり切れない気持ちを抱える美璃だったが、出先で見覚えのあるキッチンカーを発見。空に話しかけるが初対面のように他人行儀にされる。そんな美璃に、空と一緒に働いている藤川沙菜(岡田結実)から「空は、あなたのこと、忘れてます。全然、覚えてないんです。そういう病気なんですよ。あなたも空のこと、忘れたほうがいいと思います。」と冷たく言い放たれる。衝撃を受ける美璃が、第2話以降でどのような行動を取るのか…。美璃と空の間に起こるであろうこれからのあらゆることが、どうか晴れやかな方向に進むようにと祈りたくなる。日曜日の夜は、そんなふたりの鼓動を感じ続けたい。
(文・赤山恭子)
【放送情報】
毎週日曜よる10時
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