「●●ちゃん」第2章「高学歴ちゃん」東大卒の貴子が出会った「顔よし・頭よし・リード慣れ」の“運命の相手”に…
『●●ちゃん』は、アラサー女性の性の悩みと本音を赤裸々に描いた新感覚のドラマシリーズ。タイトルの『●●』に入るテーマのヒロイン別に、オムニバス形式で物語が構成される。第一章は増田有華が主人公を演じる“セックス”ちゃん、第二章は秋山ゆずきによる“高学歴”ちゃん、第三章は大久保桜子による“不倫”ちゃんとなっている。
9月24日に放送された第5話からは、第二章の高学歴ちゃんがスタート。東京大学卒業という華やかな学歴が逆コンプレックスとなり、仕事にも私生活にもいまいち実りがない宮田貴子(秋山)。寄ってくる男からも学歴のスペックでしか見られず、そんな自分と周囲にほとほとうんざりしていた。
同僚の史恵(増田)から「趣味や習い事の出会いで相手を探すのは?」というアドバイスをもらい、貴子はSNSの広告で見つけた起業塾にうさんくささを感じつつも申し込む。そのグループワークにて、貴子はMIT卒の超エリート男・佐々木爽介(山下航平)を発見。自分が気を遣わずして同レベルで会話ができる佐々木に、ほのかに好感を持つのだ。
佐々木のスゴ技は、貴子を“普通の女性”として扱えることだった。東大卒というブランドに引け目も感じず、貴子を常連の居酒屋に連れて行き、「貴子ちゃん」とちゃんづけで呼ぶ…などなど、佐々木は好意をボディブローのように浴びせ、貴子は思わず心を持っていかれる。もののようにしか見られていなかったこれまでの自分を哀れみ、そしてそのことから卒業できた証のように、貴子の目からは感動のあまりはらはらと涙がこぼれ落ちた。
そして、当然のように貴子は佐々木と一夜を共にする。行為でイったことのない貴子は、彼ともイクことこそできなかったが、それすらどうでもよくなるほど佐々木にぞっこんに。ベッドでは佐々木から共同出資の話も持ちかけられ、公私ともにパートナーだと有頂天になる。
不戦勝続きの恋愛市場で、佐々木のような顔よし・頭よし・リード慣れしている男に自然に迫られれば、誰でも貴子のようにホイホイ気を許してしまうかもしれない。これまで頑張ってきた自分がようやく報われるときがきた、といわんばかりの貴子の浮かれっぷりは、アラサー女性でなくても、長く暗い一人の時間を過ごしたことのある人間なら“あるある”と強くうなずいてしまうはず。
その後、貴子は史恵に佐々木のことを報告する。脳内お花畑状態の貴子に、受付の真湖(大久保)は「それ共同出資詐欺じゃないですか?MIT卒も証明してもらえました?」と、何とも冷静に言い放つ。共同出資詐欺ではお金・仕事・恋愛がすべて絡むので冷静さを失うとも、真湖は解説。何とも世知辛く的を射るご指摘に、視聴者も「あああ…」と頭を抱えたのではないだろうか。痛いところをつかれた貴子は、真湖を「あのコ、高卒でしょ」とけん制するが、それでも芽生えた不安な気持ちはぬぐえず微妙な表情を浮かべる。
自分の存在を学歴で相手に判断されることが一番嫌だったはずの貴子が、ここへきて高学歴の相手に目がくらみ、耳の痛いアドバイスをしてくれる真湖を「高卒だ」と学歴で判断するとは、何と皮肉なことだろう。自分の言動がすべてブーメランのように返ってくることこそ、人生における一番の反省要因だとこのドラマはまた教えてくれている。第6話の予告では、不穏な空気が蔓延っていたかのように見えたが、貴子が自分のコンプレックスからどう抜け出していくのか…気になるところだ。
ドラマ『●●ちゃん』は、ABCテレビで毎週日曜深夜0時55分から放送中。DMM TVにて同時独占配信。TVerにて見逃し配信あり。
(文・赤山恭子)