「うかうかできないと思います」『CHEF-1グランプリ2026』準決勝審査員インタビュー

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優勝賞金1000万円! 料理人No.1決定戦『CHEF-1グランプリ2026』。「日本料理」「フレンチ・イタリアン・スパニッシュ」「中国・アジア料理」「ジャンルレス・フードクリエイターその他」の4つのジャンル別に、1回戦を勝ちあがった各5名、計20名のシェフが集まり、準決勝を戦いました。審査したのは今回も、日本を代表するレジェンド級シェフたち。挑戦者たちの一皿ひと皿に、辛口のコメントとともに、厳しく目を光らせました。激しい戦いとなった準決勝直後、審査員にインタビュー。準決勝の総評とともに、決勝へ向けた期待や見どころを合わせて伺いました。

<準決勝審査員>

神田裕行(和食「日本料理かんだ」店主) 

田村亮介(中華「慈華(いつか)」店主)

堀江純一郎(イタリアン「リストランテ・イ・ルンガ」店主)

Q.まずは準決勝を終えての全体の印象をお願いします。

堀江 今回は大会のテーマが、過去2回の「革命を起こせ!」から「『新・定番』を生み出せ!」に変わって、挑戦者たちにもこれまでとは別の難しさがあったかと思います。お店や家庭、どこでも作りやすいことや、食材の選択とわかりやすさ、そして定番として続いていく可能性。その縛りの中で考えられたものは今までとまた一味違っていて、面白かったです。

神田 今回も将来のスターになりそうなシェフがたくさん集まりました。山下泰史さん(ジャンルレス・フードクリエイターその他)や花田洋平さん(中国・アジア料理)のようなベテランのラストイヤー対決、そこに食い込んでくる若手の新しい挑戦。全体的にレベルが高かったです。中でも、おにぎりがテーマということもあり、和食は今まで以上にレベルが高かった。定番とはいってもクリエイティビティはもちろん必要ですが、やり過ぎない和食らしさがきちんと表現されていました。

田村 「定番って何ですか?」と言われたときに、たぶん受け手の人が「これだよね」とイメージがつくところがないといけない。その中で、皆さん、自分の持っているスキルやアイデアを駆使されて、本当に今すぐ定番になりそうなイメージもあったし、シェフや料理人の模索も感じられました。最終的には、今回の「定番」というお題をシンプルに咀嚼して形にしたシェフたちが生き残ったかと思います。

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Q.「今の世代にしか出せない感性」や「少し嫉妬するような発想」などを感じさせる料理はありましたか? 神田 たとえば「日本料理」代表として勝ち残った楠修二さん。みんながいろんな要素を詰め込んで、もっと美味しくしよう、美味しくしようとしがちな中、引いていって、引いていって、最終的に米を美味しく感じさせるところにシンプルにフォーカスした。そういう考え方の挑戦者って今までいなかったと思います。パシッとピントが合っていました。これまでも準決勝、決勝に進出している実力者、花田さんや山下さんもいますが、今回はうかうかできないと思いますよ。

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Q.次の決勝という大舞台に向けて、おいしさはもちろんですが、それ以外にも勝敗を分けるかもしれない要素があるとしたらどんなことでしょうか?

堀江 神田さんも仰っていますが、お題に沿って、スパッと潔い料理になっているかどうか。先ほどの楠さんのおにぎりの要素は、いわば海苔のグルタミン酸と魚醤のイノシン酸の合体と食感だけなんです。でも、そこに「こんなことができるんだ!」という新発見と定番化できるシンプルさがあった。

神田 やはり何回も何回もリハーサルしている人には敵わない。もう作り飽きたよというぐらいまで作り込んでいないとブレちゃうんです。あと、料理はどんなに熱々で作っても、お客さんのところへ行くときに冷めていたら何の意味もない。僕たちが審査するそこまでの導線や、どうやったら美味しいと感じてもらえるか、そんなところも想像できないと勝てないと思いますよ。

Q.各ジャンルへの思い入れや、決勝に進出するシェフたちへのエールがあればお願いいたします。

田村 中国料理はこういう大会でなかなか勝ち上がれないというジンクスがあるので、ジャンルとして応援はしています。それはともかく、このあと決勝にも当然テーマがあります。カメレオンじゃないですけど、自分たちのジャンルは継承しつつも、いかにそのテーマに寄り添って、自分の色を変えていくかという考え方も大切だと思います。自分の信念を曲げないことと合わせながらどう両立していくかですね。
堀江 イタリアンはなかなか決勝に進めていなかったので、イタリア料理ここにあり、というのも見せてほしいです。こういうコンテストというのは、自分との戦いでもあり、周囲との戦いでもあり、お題によってゼロから1を生み出す苦しみがある。これはすごい負荷なんですけど、生み出せたときの達成感は大きいものです。一方で、負けてボコボコになることもあります。でも、そういう経験は他ではなかなかできないんです。そういうことを全部ひっくるめて、ぜひ自分の成長の場にしてほしいなと思います。

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Q.ラストイヤーで決勝に駒を進められた「中国・アジア料理」代表の花田シェフ。前回大会でも新しい肉じゃが「ラムじゃが」が衝撃でした。同じ中国料理のシェフとして田村さんはどう見られますか?

田村 彼は以前から、自分でも発信していたり、周りから話も聞いていたりしたので、食べたことはなくても技術力はよく知っていました。それがさらにこの1年、独立してオーナーとしてカウンターに立つようになった。見える景色もかなり変わったのでは、と思います。中国料理では、ある意味足していく料理が多い。その中で、彼のルーツである広東料理の表現として、旨みを足す部分はありながらも、うまくそぎ落として、上手に引き算をしている。おそらくこの1年、直接お客さんと接する中で、いろいろと揉まれてきたんだろうなと感じました。

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Q.イタリアンのシェフとして、29歳の若さで今回決勝に進出された岩名謙太シェフ。彼も新しいスターシェフの候補かと思います。彼の料理について、同ジャンルの堀江さんはどのように感じられましたか?

堀江 彼のおにぎり、形はもう南イタリアのライスコロッケ、アランチーニなんですが、中身は和風にしてあります。発想だけが上滑りせず、しっかり形に落とし込めていましたね。それは細かいディテールがしっかりしていたからこそで、試作をして、詰めて詰めてあそこに届いたんだと思います。正直レシピだけを見たときは「アランチーニか」と思ったんです。でも、想像を大きく超えていました。決勝ラウンドで、どういうお題が出るかわかりませんが、彼にはトスカーナで培った現地のベースがあります。それがあるから崩せるし、根っこと幹にしっかり現地のものがあるから枝葉で遊べるはずです。まだ若いので、戦いながら強くなっていってくれるといいなと思っています。

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Q.最後に、決勝では新チャンピオンが誕生します。チャンピオンには、これからの日本の料理界をどう変えていく存在であってほしいか教えてください。

田村 チャンピオンになると間違いなく人生も変わるだろうし、周りからの注目度も、プレッシャーも変わると思います。まずはそれに潰されず、楽しむぐらいの心のゆとりを持ってほしい。そして、僕らの仕事、料理を作るというのは常に一人では成立しないものです。誰かに何かを伝えたい、喜んでいただきたいということ気持ちを忘れずにいること。そういう人間力をつけながら、料理で世界中の人を幸せにできるんだぞということを見せていただきたいと思います。

堀江 僕らの世代と今の子たち、ネット世代では情報に圧倒的な違いがあります。僕たちはイタリアの情報を取ろうと思ったらイタリアに行くしかなかった。進化というのは先人が残したものを踏襲しながら、穏やかに進むものだと思っています。だから、歴史を知り、意味を理解しないと前進できない。ぜひ歴史を知った上で、日本の料理を前に進めていってもらいたいですね。

神田 かつて世界でメイド・イン・ジャパン、日本で作られたものに対する信頼が高い時代がありました。今、僕はメイド・バイ・ジャパニーズが世界一だと思っています。日本人が作ったフレンチでも、中国料理でも、もちろん日本料理でもですね。クリエイティビティがあって、技術力が高い。それは世界中の人が認めているところだと思います、日本人だからここまでやれるというところをどんどん頑張る。メイド・バイ・ジャパニーズの旗振り役にぜひなってもらえたらと思っています。

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番組情報

CHEF-1グランプリ2026
4月26日(日)よる6時30分~7時50分

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