ドラマ「●●ちゃん」“普通”と“年齢”の壁 リアルなアラサーの心情を描く

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『●●ちゃん』は、アラサー女性の性の悩みと本音を赤裸々に描いた新感覚のドラマシリーズ。タイトルの『●●』に入るテーマのヒロイン別に、オムニバス形式で物語が構成される。第一章は増田有華が主人公を演じる“セックス”ちゃん、第二章は秋山ゆずきによる“高学歴”ちゃん、第三章は大久保桜子による“不倫”ちゃん。第一章では、第1話から普通でないことに悩む主人公の葛藤が描かれたが、第2話でも引き続きテーマは“普通”と“年齢”の壁。リアルなアラサーの心情が突き付けられた。

9月3日に放送された第2話では、セックスが大好きで、セックスによって他者を理解しようとする史恵(増田)が、新たなセフレ候補・高橋(東啓介)とネットを通して会う場面からスタート。期待に胸を膨らます史恵に、高橋は「セックス嫌い」だと告白し、さらには自慰行為に協力してほしいと淡々と言う。思ってもみない展開に唖然とする史恵だったが、高橋に言われるがまま、数学の参考書を音読することに。

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彼を拒否するわけでなく興味本位もあり受け入れた史恵は、高橋に「ここまで付き合ってくれる人はそうはいない。会う前に言えなくてごめん。本当にうれしかった」と感謝の言葉をかけられる。高橋の本音を聞いた史恵は、「この人もまた、世の中の普通に苦しんでいる人なのか」と共感。思わず自分がなぜセックス好きになったのか、トラウマがあった過去について吐露するのだ。

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一見変わった二人の出会いや性癖&性格だが、蓋を開けると相手とコミュニケーションを取るために、どれだけもがき悩んでいたのかという葛藤がよくわかる。もしも史恵が、高橋がこれまで出会ってきた多くの女性と同様、拒否してホテルを飛び出していたら互いに深くわかり合うこともなかっただろう。何事も否定せずにトライしてみる、そんな大切さも感じる一幕だった。

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その後、史恵と高橋は何度もデートを重ねる。カフェでお茶して話をしたり、高橋の友人たちに会ったり、ホテルではそれぞれの自慰行為を手伝うなど、二人ならではの時間の過ごし方で仲を深めていく。ついに高橋は「僕たち結婚しない?」と史恵に提案。「お互いもういい年だし、焦らないわけじゃないでしょう?世間体だって気になるでしょ」とたたみかけるのだ。その発言のすべてがグサグサと刺さる史恵は、思案した後に「うん、わかった、しましょうか、結婚!」と返答する。

第1話では捨てたはずの「普通の」付き合いだったが、第2話では「普通の」幸せを選び取ることに史恵は決める。その変化の差とは、自分と同じように普通に生きることへの生きづらさを抱えた高橋が相手だったから、というのもあるだろうし、年齢と世間体というふたつにもう悩みたくない、もう誰からもうるさく言われたくない、逃げたい、という深層心理が大きかったに違いない。もはや死語だが「行き遅れた」と思ったことのある人なら、誰でも史恵の気持ちが痛いほどわかるだろうし、ある種、恋や愛とは別軸にある自分のための結婚の価値についても考えさせられた。

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今後、史恵は果たして高橋と生涯を共にする覚悟ができるのだろうか。相手と向き合い、深く踏み込もうとすれば傷つくことは回避できない。しかし、その一歩さえ動かない人生なんて、とても平坦でつまらぬものになる。目の前に広げられた選択肢から、自分の気持ちとの折り合いをつけ正解を見つける難しさ、そんなことを感じた趣深い2話となった。

ドラマ『●●ちゃん』は、ABCテレビで毎週日曜深夜0時55分から放送中。DMM TVにて同時独占配信。TVerにて見逃し配信あり。

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