葵わかな 学業と仕事の狭間で揺れ動くことが多かった学生時代
恋の終わりを描く切ない群像ラブストーリー「すべての恋が終わるとしても」(ABCテレビ・テレビ朝日系列 毎週日曜夜10:15)が10月12日(日)からスタート。高校の同級生で卒業式の日に付き合い始めた由宇(葵わかな)と真央(神尾楓珠)は、大学進学を機に遠距離になり、次第にすれ違っていく……。変わりゆく環境で生きる2人を中心に、男女8人の人間関係が丁寧に描かれる。
今回は、主人公の羽沢由宇を演じる葵さんにご自身の10代のころの思いや運命の出会いについて教えてもらいました。

――8人の群像劇が描かれていますが、脚本を読んだ感想を教えてください。
終わりがテーマになっているのがポイントだと思いました。実る恋はこれまで演じさせていただきましたが、終わってしまう恋に重きを置いたドラマというのは経験がないですし、あまり見たことがなかったので新鮮でした。やはり別れがテーマだと明るいシーンより、寂しいとか切ないという割とネガティブな感情を持つシーンが多いんですよ。でもそういう方向から見た恋愛もステキだと思いました。あとたくさんのキャラクターが出てくるオムニバスドラマというのも面白いです。自分と関係のないところで話が進んでいるのですが、どこかでつながっていて……というのはロマンですよね。
――実際に第1話をご覧になっていかがでしたか?
第1話は、私が演じる由宇と神尾さん演じる真央が高校で出会って付き合い、大学卒業間際で別れるまでを描かれています。年月的には長いのですがテンポもよく、2人の人生を変える出会いをビビッドで印象的に描いているのですが、感情はニュアンスグレーな部分があって、そのギャップがすごく魅力的に映りました。時間が流れる作品は結構難しく、撮影も社会人を演じた次の日に高校生を演じたりと目まぐるしく変わるので、1シーンごとに監督と話し合いながら作りました。その細かい変化でキャラクターの成長や心の機微が伝わればと思っています。

――由宇は真央の影響で絵を描き始めたりと10代らしく周りに影響を受けやすい女の子ですが、共感できた部分は多かったですか?
私も高校時代から仕事をしていたこともあって、学業と仕事の狭間で揺れ動くことが多かったです。それこそ進学という大きな節目はもちろんのこと、学校行事や新たな作品との出合いなどの節目一つひとつに悩んでちゃんとつまずいていました(笑)。そういう意味では由宇の気持ちは手に取るように分かりました。
子どもの頃から俳優になりたいと思っていたのですが、その気持ちを強くしていったのは、やはり出合う作品や人との出会いでした。お芝居って楽しいのかも、もうちょっとやってみたいかも、もう少し上手くなりたい……など気持ちが少しずつ変化していったのを覚えています。ただその変化が本当に少しずつで(笑)。「私は○○のような俳優になる!」というような明確な意思を持って突き進んだ訳でないので、本当に日々、学生生活を楽しみたいという思いやお芝居をたくさんしたいという気持ちに揺れ動いていました。
――葵さんが学生時代に出会って運命を感じた人やモノはありますか?
出合えてよかったと思うのは、重松清さんの「きみの友だち」という本です。小学生の時に読んだのですが、私に友だち関係や人間関係の基本を教えてくれて、自分の未来を明るく照らしてくれました。当時、お仕事を始めていて両立の難しさに悩んだり、自分がどこにいるのか何をするべきなのか見失っていたり、周りと何が違うんだろうと考えてしまっているときで、そんな私を優しく包み込んでくれる内容だったんですよ。この本を読んで、心から救われて世界がもっと温かなものかもしれないという気持ちになりました。この本と出会えたのは運命でしたね。

――どうやって出合ったのですか?
親に勧められました。テーマが中学生や友情だったので私に向いていると思って勧めてくれて。当時は児童書をメインに読んでいたので、この本が私の1冊目の小説。それもすごく印象的で、これ以降、本も好きになっていきました。やっぱり出合いって大切だと思います。
――素敵な人やモノと出会うために心がけていることはありますか?
常に出会うための準備はしていなきゃとは思っています。そのためにはいつでも間口は広くトビラを開け続けることを意識しています。子どものころは出会いがたくさんあるのですが、年を重ねるとどうしても減ってくるので、その分、出会いには敏感でいたいというか。同じように作品との出合いも大切にしていきたいです。
――今作の見どころを教えてください。
8人の男女が出てきますが、それぞれ性格も置かれている状況も全然違うので、いろいろな世代の方に感情移入していただけるキャラクターが見つかるような気がします。きっと皆さんがどこかで経験したり感じたりしたことがあることが描かれていると思うので、思いを馳せながらキャラクター達の行く末も見守っていただけたらと思います。

明日12日スタートするドラマ『すべての恋が終わるとしても』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜よる10時15分放送。放送終了後、TVerで見逃し配信。U-NEXT、Prime Videoでは全話配信。
取材・文/玉置晴子
