京都・笠置町の廃旅館に隠された謎 かつて栄えた場所の不運の歴史…失われし一大産業とは?

京都府南部の自然豊かな笠置町には、スタジオジブリの映画『千と千尋の神隠し』に登場するような、立派な温泉旅館がかつて存在した。この旅館が廃業した理由は、町の不運な歴史が関係している。タレントの河合郁人とABCテレビの古川昌希アナウンサーが調査すると、この町の失われた一大産業であり、日本最古の“アレ”が判明した!
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『千と千尋の神隠し』に登場するような温泉旅館とは、木津川沿いにある廃業した笠置館のこと。現地にやってきた河合と古川アナは、「めちゃくちゃ歴史がありそう!」「近くで見ると一層立派だよ!」「“千と千尋の旅館”っぽいわ」「最高じゃない!」「わっスゲ〜な」「格式を感じる!」などとビックリ。


調査を開始した河合と古川アナは、笠置館の近くで複数の巨石を発見。さらには、大雨によるダムの放流を知らせるアナウンスを耳にし、笠置館が廃業した理由を、「災害が影響したんじゃないか」と予想した。

京都のミニツアー・まいまい京都のスタッフ・関根理沙さんいわく、笠置館の廃業に災害は関係あるが、「直接的な原因ではない」とのこと。直接的な原因には、「『当時の笠置といえばコレ!』というような、日本を代表するような産業が、ある災害でなくなった」ことが大きく関わっているのだとか。そこで河合と古川アナは、“日本を代表する笠置ならではの産業”が何か突き止めるべく、ヒントがある笠置駅方面へ向かった。

やがて河合と古川アナは、笠置の特産品を揃えるショップにたどり着いた。そこには、干し芋、干しシイタケ、ハチミツ、サイダー、和菓子などがあり、2人は答えを絞れず困り顔に。結局彼らは、決め手がないまま店を出て駅へ……ではなく、河合がずっと気になっていた広大な河川敷公園・キャンプ場へ向かった。

そこで河合と古川アナは、河川敷公園・キャンプ場がかつて笠置浜という港だったことを知った。公園内の石碑によると、笠置浜はその昔大阪と京都を繋ぐ物流の中心的な港だったらしい。

そのため河合と古川アナは、「かつて笠置にあった日本を代表する産業とは、京都・大阪を木津川で繋ぐ水運」と推測。「船に乗ってこの場所に来て温泉で楽しんでいらっしゃった方々が、水害によって残念ながら水運が使えなくなって(笠置館は)営業停止をやむなくした」と考えをまとめた。
河合と古川アナの推理は、100満点中……わずか3点! 笠置町がかつて舟運で発達したのは事実だが、衰退理由は、車や鉄道が発達したからだ。


関根さんが河合と古川アナに見つけてほしかったヒントは、笠置駅にあるのぼり旗だ。そこに記されていたのは、「日本の商用天然炭酸水・発祥の地」。日本を代表する笠置ならではの産業とは、天然炭酸水のことだったのだ。実は、河合と古川アナが訪れたショップのサイダーにも、「1880年に発売されたものが最初である」と記載されていたが、2人は気付けなかった。


炭酸水の歴史は、木津川上流で温泉が人々に発見された江戸時代までさかのぼる。その当時から湧いていた炭酸泉は、明治時代になると、「あれは胃腸の病気にいいらしい」と話題に。笠置町の人々が、この炭酸泉を瓶に入れて売ったところ、見事大ヒット! 炭酸水によって、笠置の温泉街は非常に賑わった。

しかし、昭和28年に発生した集中豪雨によって状況は一変。木津川が氾濫し、土砂や流木が原因で、温泉を汲み上げるパイプが破損した。関根さんによると、「そうなると温泉も出ない、炭酸水もとれない。だんだん笠置温泉から客足が遠のいて、笠置館もついには閉館になってしまった」という。
なお、笠置町の歴史ミステリーは、情報番組『newsおかえり』(毎週月曜~金曜午後3時40分、ABCテレビ)内の「古川×河合のなんでやねん!?」6月24日放送回で紹介された。
