Aぇ! group佐野晶哉の第一印象は全くの別人だった!? 『離婚後夜』監督陣が語る、俳優・佐野晶哉の魅力

終盤を迎えた佐野晶哉主演ドラマ『離婚後夜』で監督を務めたのは、是枝裕和監督率いる映像制作者集団「分福」に所属する気鋭の佐藤快磨さん、川和田恵真さん、多賀公英さん。全10話の地上波連続ドラマは初めてという3人に、主演を務めた佐野さんの魅力を中心に語っていただきました。

©️ABCテレビ

――それぞれ、地上波連続ドラマ初監督作品となりました。

多賀 脚本の準備段階からこの3人で打ち合わせをしながら打ち解けて、ロケハンの頃にはもう仲良くなっていましたね。

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川和田 ええ。多賀さんは今までとても個性的な作品を撮影されていて、私たちにはない映像的な視点と話したときの癒してくれる雰囲気にすごく助けられました。佐藤さんとは、作品企画をご一緒したことがあって、その時から信頼できる監督だという思いがありました。今作でも最後まで引っ張ってくれて。

佐藤 引っ張ってないです(笑)。撮影現場ってちょっとしたことで意外な一面が見えてしまうので、実は当初、少し不安もあったのですが、脚本全体や3人それぞれが担当している話について意見交換をしながら、支え合ってクランクアップできたと思います。

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――今作で主人公・伊織役を務めた佐野晶哉さんの印象は?

多賀 佐野さんと初めてお会いしたのは顔合わせと本読みの日でした。 第一印象がすごく落ち着いていて物静かで…

川和田 その日のうちに、伊織の厳しい家庭環境やキャラの説明をさせていただいたのですが、本読みの時に伊織の背景を汲んだすごくクールなトーンで役を作ってくださったんです。

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佐藤 今振り返ると、あの日の佐野さんを現場では見たことがなくて(笑)。とても明るくて人懐っこいですし、ラフだけどマジメさもあって。

多賀 初日の後に、そんな佐野さんの魅力を伊織に詰め込みたいと3人で話しました。

佐藤 その本読みの日に佐野さんから“キャラ説明に子犬感って書いてあるんですけど”という質問があって。今思えば、最初僕の中では子犬感はない方向かなって思っていたんですが、そこから子犬感と不器用さをもつ伊織が見えてきたと思います。佐野さんから不意に飛び出した“子犬感”が最後まで大切なキーワードのひとつになりましたね。

――佐野さんからの刺激を受けつつ、徐々に伊織役ができていった?

佐藤 そうですね。印象的だったのは第2話の夜の橋の上で香帆(久保田紗友)に気持ちを告げるシーン。伊織が目に涙を溜めていて…伊織って自分の素直な気持ちを誰かに伝えるときの“怖さ”を乗り越えて言葉に出すんだなっていうのを佐野さんのお芝居から感じ取ることができた。そのときに“不器用な真っすぐさ”が伊織の大切な要素だと感じたんです。

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川和田 そのシーンを受けて、私が担当した第3話では、伊織が香帆に「好きです」と伝えるシーンが印象深いです。原作ではクールな雰囲気で描かれているのですが、ドラマでは“急にそのボリュームで!?”っていうくらいの声の大きさで。佐野さんの子犬感と、不器用だけど真っすぐに思いを伝えるという伊織の軸がつかめた瞬間でした。

多賀 個人的には川和田さんが担当した第6話で水族館デートに行く前に、鏡の前で洋服を選んでいる伊織がすごく好きです。あの鏡越しに見せたまるで少年のような表情が、すっごくチャーミングで。このシーンでしか見ることのできない表情でしたね…なんで僕の担当話で見せてくれなかったんだろう(笑)。

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――現場での佐野さんはいかがでしたか?

川和田 第一印象とは全く違って(笑)、屈託なくお話される印象で。撮影時は暑い日も続いていて、フルーツやドリンクも差し入れしてくださいました。

多賀 撮影現場で“タンブラーを推奨しよう”という話になったときには、スタッフ・キャストにタンブラーをプレゼントしてくださって。キャストのみなさんとは、お弁当を一緒に食べながら作品以外の話題でも盛り上がったりして、距離を縮めてくださったなと感謝しています。

佐藤 佐野さんはスケジュールがどれだけハードでも、明るく最後まで現場を座長として引っ張ってくれて。すごくいいチーム感が醸成されました。あ、佐野さんにいただいたタンブラーは一生使い続けます。

川和田・多賀 (大きくうなずく)

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(後半へ続く)

ドラマ「離婚後夜」は、ABCテレビで毎週日曜深夜0時10分、テレビ朝日では毎週土曜深夜2時30分放送。放送終了後、TVerで見逃し配信。

Profile

是枝裕和、西川美和らが所属する「株式会社 分福」所属。

佐藤快磨●さとう・たくま 映画『ガンバレとかうるせぇ』がぴあフィルムフェスティバルPFFアワード2014で映画ファン賞と観客賞を受賞、第19回釜山国際映画祭のコンペティション部門ノミネート。『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』、『歩けない僕らは』、『泣く子はいねぇが』など。

川和田恵真●かわわだ・えま 大学在学中に制作した映画『circle』が、東京学生映画祭で準グランプリを受賞。2022年、脚本・監督を担当した映画『マイスモールランド』では、ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門招待、アムネスティ国際映画賞特別表彰など数々の映画賞を受賞。

多賀公英●たが・こうえい 2019年に脚本、監督、編集を担当したWeb Movie 『ティーンズ・エンパワメント・プロジェクト』がTCC新人賞を受賞。2021年には短編映画『ナムネス』がShort Shorts Film Festival & Asia 2021 『Cinematic Tokyo』プログラムノミネート。

(取材・文/ニノマエヒビキ)

番組情報

離婚後夜
ABCテレビ 10月13日(日)スタート毎週日曜深夜0時10分 /テレビ朝日(関東)10月12日(土)スタート毎週土曜深夜2時30分

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