能登半島地震から9ヶ月…解体作業終了は「来年の10月」 復興進まぬ現場のリアルな声「遅い」「無理やな」

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元日に起きた能登半島地震から、早約9ヶ月……。9月の記録的豪雨の影響もあり、被災地の復興はなかなか進まない。防災の専門家が被災地を訪れると、そこには地震発生の直後と変わらぬ痛々しい光景が広がっており、現状に苦しむ人々のリアルな声を聞くことができた。

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能登にやってきたのは、地震発生直後にも現地を訪れていた危機管理アドバイザー・国崎信江氏。彼女は、9ヶ月経った現状に「ほとんど1月の被災直後のまま。放置されていると言っても過言じゃない」と呟いた。多くの建物が崩れて瓦礫が積み重なり、公費での解体作業が進んでいないのだ。輪島市によると、「解体申請された方の約9%しか(解体が)終わっていない」そうで、このペースだと解体終了は「来年の10月までかかってしまう」という。

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「岩手(=東日本大震災)とかは今回に比べたら(復興が)早かったじゃないですか」「やっぱり(こっちは)遅いんじゃないですか」と国崎氏に語るのは、愛知県からやってきた解体業者の男性だ。復興を目指す彼らの環境も良くない。彼らが共同で寝泊まりする元民家には、トイレやシャワーがないのだ。

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被災者の住環境問題も深刻である。原則的に、自宅の損壊状況が半壊以上と認定された被災者しか、仮設住宅に入居できないのだ。とある女性は、自宅が傾いて扉が開かない状態だが、それでも準半壊という認定のため、今も避難所で暮らしている。たとえ仮設住宅に入居できても、豪雨による浸水被害で二次避難を余儀なくされた被災者もおり、いずれにしても現状はかなり厳しい。

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この現状に避難所の男性管理者は、「今まで(能登に)残る・残らないでどうしようと悩んでいた人達が『無理やな』という答えを出しつつある」とポツリ。さらに彼は、「ただでさえ過疎化ですごいところなのに、それに拍車がかかって。数年経ったら誰もいなくなる可能性があるんじゃないか」と国崎氏に不安を吐露した。

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また、輪島市唯一の総合病院は、「災害拠点病院」ならではの問題を抱えている。災害に特化した医療を提供しなければならないために、通常の入院患者を全員転院させ、1日320万円の見込みが合った売上がゼロになったのだ。事務部長いわく、「たぶん今年度、このままいくと経常収支で、マイナス6~7億円くらいの赤字が出る」という。

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なお、国崎氏が取材したこれら能登半島の現状は、10月5日に放送された情報バラエティ番組『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』で明らかになった。同番組で国崎氏は、復興の遅れの原因を「国と県と市町村の連携不足」だと指摘し、「知事はもっと被災地に足を運んで向き合うべき!」と主張した。

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教えて!ニュースライブ 正義のミカタ
毎週(土)あさ9:30

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