“日本初”元女性暴力団員、10年絶縁の息子2人に「会って謝りたい」 寝かしつけて薬物売買した過去も…
関東最大の指定暴力団「住吉会」系の元組員だった女性には、犯罪だけでなく、結婚・出産・離婚といった過去もあった。更生した彼女は、10年も絶縁状態の息子たちに「会って謝りたい」という。そんな元女ヤクザを取材班が追うと、衝撃的な事態になった……。
住吉会系の元女ヤクザとは、西村まこ氏だ。彼女は、刑務所に「ヤクザの脱退届」を提出したことから、日本で初めて当局から女性暴力団員と認定を受けたとされる。現在57歳の西村氏は、元暴力団組員らの更生支援に携わるNPO団体の一員として、第二の人生を送っている。
実は西村氏は、かつてとある組長の男と恋に落ち、結婚と出産を経験。裏世界から足を洗ったが、ヤクザの過去や刺青が原因で就職が上手くいかず、子どもたちが寝静まってから覚せい剤の袋詰め作業をすることがあったという。当時について彼女は、「(子どもたちに)申し訳ないです。悪かったですね。もっといい方法があったんじゃないかと……」と回顧した。
その後、夫婦は度重なるケンカから離婚。長男を西村氏、次男を元夫が引き取ったが、ここでも問題が起きた。長男は、西村氏の過去に嫌悪感を抱き、彼女も感情的になって「『向こう(元夫)についていけばいいじゃないか』って感じのことを言ってしまった」という。それ以来、西村氏は息子たちと絶縁状態だ。それでも、彼女の息子たちへの愛は変わらない。西村氏は、いまだに思い出の品を片付けられず、我が子に対して「会って、自分の今までの行動を謝りたいです。和解して元のように仲良くなりたい」と思っている。
やがて、西村氏は住所を調べて、現在21歳の次男の自宅を訪れることに。まずは取材班だけが訪問すると、次男は「小学6年のときに親子の縁は切っている」と、親子の再会を拒否。しかし、西村氏に謝罪の意思があると知ると、「話の趣旨はわかったので、しばらく考えさせてほしい」と取材班に伝えた。そんなとき、車で待機中の西村氏が次男の元へ! 彼女は、自分勝手だと百も承知のうえで、一目会いたい気持ちを抑えきれなかったのだ。西村氏を見た次男は、案の定すぐさま扉を閉めたため、結局この日に親子が再会することはなかった。
西村氏の愛情と激情のせめぎ合いは、長男宅の訪問でも起きた。「お母さんやて。ちょっと開けて!」と取材班を通さず乗り込んだ彼女は、拒否感をあらわにした長男から、「馬鹿野郎」「恥知らず」などと追い返された。この長男の物言いに、西村氏は「なんで? 会えんの? 出てこいよ! おい、出てこいって!」と感情的に……。結局彼女は、成す術なく長男宅を後にするしかなく、「言葉遣いがあの日は悪かった」「もうちょっと言い方を考えればよかった」と反省した。
今もなお、息子たちから西村氏への連絡はない。それでも西村氏は、彼らと再会できることを夢見て、今日も必死に更生支援へ励む。「毎日心配しています。早く逢いたいです。そして、昔のことを謝りたいです。仲良く暮らせたら嬉しいです。お母さんのこと、許してね」と手紙に綴った思いが、いつの日にか息子たちへ届くと信じながら……。
なお、西村氏にテレビカメラが密着した報道ドキュメンタリー番組『追跡スペシャル「女ヤクザ」母なる懺悔録』は、9月22日に放送された。ABCのYouTube公式チャンネル(ABCテレビニュース)にて見逃し配信中だ。