高2で脳梗塞を患い選手断念…石橋(栃木)記録員として輝く吉田光来、涙ながら仲間に「感謝しかない」

8月7日から開幕した「夏の甲子園(第106回全国高等学校野球選手権大会)」には、病気やケガなどで仲間のサポートに回った球児たちがいる。その1人である石橋(栃木)3年生・吉田光来は、脳梗塞から復活した元選手の記録員。最後の最後まで誰よりも声を出して勝利を諦めなかった彼に、目頭が熱くなる。

【動画】脳梗塞を乗り越え、選手から記録員に転身。石橋(栃木)吉田記録員が仲間に力を与えた! 青森山田4番スラッガーが三振した瞬間

夏の甲子園初出場の石橋を支えるのは、記録員の吉田光来。石橋が初戦を突破できたのは、選手たちの活躍はもちろん、吉田記録員の徹底したデータ分析のおかげでもある。彼は、もともと選手。1年前に脳梗塞を患って左半身が不自由になり、一時期は歩くことすらままならなかった。しかし、吉田記録員は過酷なリハビリを乗り越え、バッティングピッチャーができるまでに回復した。

吉田記録員が頑張れたのは、「自分にとって一番居心地がいい場所」であるチームに帰ってきたいという気持ちがあったからだ。「21人目の選手として、みんなと一緒に戦いたい」という彼を、仲間たちは喜んで迎え入れた。キャプテンで3年生の田口皐月いわく、その時は「照れくさくて、意外と普段通り『おう』ぐらいの返事だったんですけど、内心はめっちゃ嬉しかった」とのこと。さらに田口主将は、「吉田がいなかったら、この甲子園(出場)はなかった」と断言する。

チーム一丸となった石橋は、8月16日の3回戦第3試合で、強豪・青森山田(青森)に挑んだ。5回表、「カウントを取りに来るストレートを狙っていこう」という吉田記録員のアドバイスで、同学年の若月優人選手は見事センター前にヒット! その後、吉田記録員の声で石橋は勢いづくが、夏の甲子園出場12回を誇る青森山田の壁は高かった。吉田記録員は、得点ボードになかなか1の数字を書けず、逆に青森山田はどんどん得点し、最終的に石橋は0対5で敗北した。

誰よりも夏の甲子園に行きたくて、誰よりも声を出し、21人目の選手として仲間とともに戦った吉田記録員。そんな彼の瞳には涙が浮かんだ……。「絶対に戻ってくるという気持ちで苦しいリハビリを乗り越えてきたので、(チームのみんなが)甲子園の舞台に連れてきてくれて感謝しかない」と語る吉田記録員に、田口主将も号泣。「光来自身が、この夏が来るまで本当に一番苦しい思いをしたっていうのは、ずっと見ていてわかった」「一緒に戦ってくれてありがとう」と田口主将は吉田記録員に感謝し、2人は涙ながらに抱き合った。

なお、石橋野球部の熱い思いや彼らの試合のハイライトは、8月16日に放送された「熱闘甲子園」で紹介された。

※吉田選手の「吉」は正式には「下の横棒が長い方の吉」

番組情報

熱闘甲子園
8月7日(水)〜決勝戦まで放送 ※変更の場合あり ※雨天等で全試合中止時は放送休止

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