「奇跡の60代」女優・筒井真理子 「知られたくない過去・・・」

変幻自在の結婚詐欺師が、婚活を機に本気の恋に落ちていくラブストーリー『ミス・ターゲット』。松本まりかが主人公の結婚詐欺師・朝倉すみれに扮し、上杉柊平、鈴木愛理、川西賢志郎、八嶋智人、沢村一樹らが共演している“日10”ドラマです。

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本作に登場するスナックのママで、すみれに結婚詐欺のテクニックを叩き込んだ師匠でもある馬淵弥生を演じるのは、筒井真理子。早稲田大学入学後に劇団「第三舞台」の看板女優として活躍し、近年は「淵に立つ」「波紋」といった映画で数々の主演女優賞に輝いている彼女は、NHK連続テレビ小説「虎に翼」への出演でも話題です。4月から『ミス・ターゲット』に登場すると、「弥生ママめっちゃカッコイイ!」「流石の貫禄」「真理子さまに結婚詐欺を仕掛けられたらすぐに引っかかってしまうだろうし、むしろ積極的に引っかかりたい」といった声でSNSが盛り上がりました。インタビュー後編では、「役へ飛ぶ」というその演技への姿勢や、今だから言える「知られたくない過去」「知られたい過去」などに迫ります。

——馬淵弥生は、主人公のすみれを子どもの頃から知る人物です。筒井さんご自身は、どんなお子さんでしたか。

4人兄姉の末っ子で、姉たちは厳しく育てられたんですけど、私はノーストレスで明るく育ちました。子供の頃は、本当におバカでしたよ。オープンマインドで人見知りしないし、よく家に遊びに来た大人たちに遊んでもらっていて。家庭教師の先生も遊んでくれてましたからね。「ちょっとまずいんじゃない?」っていうぐらい脳天気でした(笑)。

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——ダークな役柄を演じられることも多いので、意外です。

本当はストレートで、子どもの頃からほとんど陰がなかったと思います。だから以前、DV(ドメスティック・バイオレンス)をする母親役を演じたときに、全く想像がつかなくて。自分の子どもをなぜ殴ったりするのか理解するために、いっぱい本を読んだんです。そうすると、DVをするお母さんは、自分も親に虐待されていた人が多くて、抱きしめられた経験がなかったりする。役者という職業を選んでから、自分の想像力では追いつかない人がいることが痛いほどわかったので、演じるときは自分と違う考え方や経験をいっぱいかき集めて……飛ぶっていうのかな。今回でいえば、弥生のところに飛んで行く感覚があって、すごく楽しいです。

——飛んで、役と自分を重ね合わせるんですね。

人間が一生で経験できることって、自分の経験だけじゃないですか。だから自分と違う考え方をする人を探って、「あ、これか!」と思えた瞬間が楽しい。「アハ体験」みたいな感じなんだと思います。

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——アハ体験?

人間の1番の快楽なんですって。茂木健一郎さんがおっしゃるには、ですけど(笑)。

(注:「アハ体験」とは、何かのきっかけで、理解できなかったことが突然理解できたり、インスピレーションがひらめいたりする体験のこと)

——アハ体験の快楽は、様々な人物になりきる詐欺師につながるところもありそうです。

そうですね。でも、すみれちゃんは心のどこかに詐欺行為への良心の呵責があって、いつもちょっと疲れてスナックに帰ってくるんです。だから弥生は、「本音を言っていいんだよ」という温かい雰囲気で迎えたい。そんなふうにシーンを演じるのも楽しいです。

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——弥生はすみれの「過去」を知る存在です。筒井さんが「知られたくない過去」や「知ってほしい過去」はありますか。

「知ってほしい過去」は、高校3年生のときにフルマラソンをして、700人以上の女子のなかで3番になったこと。私が通っていた甲府一高(山梨県立甲府第一高等学校)の伝統で、男子は105㎞、女子は42.195㎞を走るんですよ。私のときの女子の1位は私の友達で、遥か先を走ってゴールしました。その後を、日体大(日本体育大学)を目指していた同級生と私と後輩の3人で走って。日体大に行きたい子は内申書に書く順位が大事になるから、「2位で入って!」と私が言って。そうしたら後輩が「先輩、先にどうぞ」と言ってくれたので、私は3位に(笑)。

——そんなドラマが……。

あともう一つ、自慢していいですか(笑)。私は子供の頃から絵が得意で、絵画コンクールでいつも金賞をもらってたんですよ。幼い頃からみんなが驚くような大人の線を描いていて、今でもなぜその道に進まなかったのかと思います。

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——逆に「知られたくない過去」は?

それはいっぱいあるんですけど……(笑)。例えば、高校時代に校則違反をして、パーマをかけたんですよ。そうしたら「カタブツ」と言われている女性の先生にすごく怒られて。その直後、雑誌を見てボブカットにしたくなったので、後ろ髪を大きく刈り上げたんですよ。そうしたら先生が喜んで、「私が注意したら、筒井さんはちゃんと髪を切ってきました」と全校生徒の前で褒められました(笑)。

——そのとき筒井さんはどんな反応を?

否定せず、「良い子」みたいな顔をしてました(笑)。それは「先生ごめんなさい」という意味で、知られたくない過去です。あと、クイズ番組に出演すると「インテリ女優」とか言われるんですけど、小学校の頃からまったく宿題をしない子だったので、漢字の知識がポコッと抜けているところがあるんですよ。だから、本当はクイズ番組で漢字を覚えました。それも今だから言える過去です(笑)。

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——最後に『ミス・ターゲット』の視聴者にメッセージをお願いします。

まずは、松本まりかちゃんの魅力を存分に味わっていただきたいです。スナックチームとしては、「社会の片隅で、こうやって生きている人たちもいるんだ」と思ってもらえたらうれしいですね。いつも女子会のように賑やかですけど、なぜそんなにはしゃいで、肩寄せ合って生きているのか。そうでないと生きていけない切なさや哀しさが、回を追うごとに滲んでくると思うので、そこもぜひ注目していただきたいです。日曜の夜、次の月曜日の活力にしていただければと思います。

——筒井さんのファンには、どういうところを見てほしいですか。

弥生の愛情の深さや切なさを、少しずつみなさんにお見せできるといいなと思います。DVのお母さんのような役も良いんですけど、『ミス・ターゲット』は楽しくて仕方ないですね。弥生として見ると、すみれと萌が、本当にかわいくて。まりかちゃんや愛理ちゃんみたいな共演者と一緒にいられることが幸せだし、ありがたいなと思っています。

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筒井真理子インタビュー前編↓

「奇跡の60代」筒井真理子 いつまでも変わらぬ美しさの秘訣「ベッドの横に」・・・

取材・文/泊 貴洋

【第5話あらすじ】

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村松宗春(上杉柊平)と稲垣由衣(田中真琴)の幸せを願う朝倉すみれ(松本まりか)は、未練を断ち切るため、宗春から借りていた長靴や持ち帰っていた和菓子の包装紙を『和月堂』に返しに行く。すると、そこには闇金業者の轟武蔵(八嶋智人)の姿が…。あろうことか、借金の連帯保証人になっていた宗春は、轟からいきなり2000万円の返済を要求されてしまう!

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ドラマ「ミス・ターゲット」は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜よる10時放送中。放送終了後、TVer、ABEMAで見逃し配信。

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