「奇跡の60代」女優・筒井真理子　いつまでも変わらぬ美しさの秘訣「ベッドの横に・・・」

2024.05.12

百戦錬磨の結婚詐欺師が、真剣に婚活を始めたことから本気の恋に落ちていくラブストーリー『ミス・ターゲット』。女優・松本まりかがデビュー25年目にして全国ネットの地上波ゴールデン・プライム帯（夜７～11時）連続ドラマに初主演している “日10”ドラマです。

主人公の朝倉すみれは、結婚詐欺のプロながら、普通の恋愛経験はゼロというキャラクター。そんなすみれに詐欺のイロハを伝授した師匠で、表向きはスナックのママ・馬淵弥生役を演じているのが、「淵に立つ」（16年）、「波紋」（23年）などの映画で数々の主演女優賞を受賞している名女優・筒井真理子です。今回のインタビュー前編では、弥生役との向き合い方や松本との共演の感想、好きなお酒、変わらぬ美の秘訣などを聞きました。

——『ミス・ターゲット』は、『ハケンアニメ！』で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞した政池洋佑さんのオリジナル脚本作。脚本を読まれたときは、どのように思われましたか。

とても面白くて、テンポも良くて、「この先どうなるのかな!?」と思いながらサッと楽しく読んでしまいました。私が演じる馬淵弥生は、大好きな親友が亡くなったことから、彼女の娘であるすみれを自分の子どものように育ててきた女性。弥生はすみれに結婚詐欺のテクニックを教えてきたんですけど、実は半分、後悔してるんですよね。「もっと普通の幸せを教えてあげたかった」って。ただ、最初はそういう弥生の背景が見えないほうが、きっと面白い。ちょっとずつ伝わっていくように、監督と塩梅を話しながら演じています。

——すみれ役の松本まりかさんとの共演は？

『トクメイ！警視庁特別会計係』（23年／カンテレ・フジテレビ系）の第7話に出演したときにご一緒しました。そのときは掛け合いがなくて、廊下ですれ違う程度。それでも彼女の一生懸命さが伝わってきたのが印象的でしたね。今回もまりかちゃんは、本当に一生懸命でストレート。だからこそ、お芝居でも心の動きがすごく伝わってくるんですよね。例えば、すみれの気持ちがふっと翳ったとき、それがちゃんとこちらに飛び込んできます。

——これまでの撮影で、特に「飛び込んできた」シーンは？

出会った宗春（上杉柊平）が、刑事の息子だと分かったとき。弥生のスナックに帰って、ただ立っているだけだったんですけど、「あ、何かあったな」ってわかるんですよ。全身で役の感情を醸し出しているので、私も受け止めやすい。それって、役者として一番大事なことだと思うんです。そういうことをちゃんとできるところが素敵だなと思いますし、私はとっても好きですね。

——「座長」としての松本さんはいかがですか？

座長って、周りの方に指示を出していくテキパキとした方と、「この人のために何かしてあげたい」と思っちゃうタイプの方がいると思うんです。まりかちゃんは「してあげたくなっちゃうタイプ」。もちろん彼女も周りに気を配る方なので、とてもあったかい現場になっています。

——すみれの妹分の結婚詐欺師・玉木萌役の鈴木愛理さんとも共演シーンが多いと思います。

そうですね。愛理ちゃんはすごくオープンマインドで、子どもの頃に人見知りだったとはとても思えない（笑）。そして、瞬発力があるんですよ。だからすみれと萌とのスナックのシーンは、けっこうアドリブが続いて面白いです。ただ、完パケ（完成したドラマ）を見たらほとんどカットされていて、愛理ちゃんが開口一番言うんですよ。「切られてましたね、あそこ」って（笑）。カットされても、3人が伸び伸びやっている空気は伝わると思います。

——ほかに共演者で印象的な方は？

今のところ、ほとんどまりかちゃんと愛理ちゃんとのシーンなんですよね（笑）。ただ、沢村一樹さん（村松竜太郎役）とは少しだけ同じシーンがあったので、メイクルームでお話をしました。そうしたら、作品について、すごくいろいろ考えていらして。みんなで良い作品を作ろうという感じが伝わってきてうれしかったですし、本当に頼れる方だなと思いました。

——第1話に「世の中には１人でしか出会えない幸せもあるし、２人でしか出会えない幸せもある。どっちも尊い」という弥生のせりふがありました。ご自身が感じる「１人でしか出会えない幸せ」と「２人でしか出会えない幸せ」は？

「1人でしか出会えない幸せ」は、よくわかるんです。独身なので（笑）。自分のしたいときにしたいことをして、マイペースに、だらだらできるっていうのが幸せですね。「２人でしか出会えない幸せ」は、これから見つけられるといいなという感じです。「ホッとできるんだろうなぁ」とか思いますけど……そこは弥生と一緒ですね。すみれに結婚を勧めておきながら、自分はどうやっていいのかわからないところがあるので。

——すみれは、弥生のスナックでハイボールをよく飲んでいます。筒井さんの好きなお酒は？

お酒は基本的に、大好きです（笑）。白ワインも赤ワインも好きだし、中華料理と一緒に飲む紹興酒も、キリっとしておいしい。たくさんは飲めないんですけど、料理に合わせて、楽しみながら飲んでますね。……あ〜、おいしいもの食べたくなってきちゃった（笑）。あと、クランクアップしたときに、「終わったー！」と思いながらビールを飲む瞬間も幸せです。いただいた花束を見ながら、クッとね。

——お酒、強そうです（笑）。

昔はよく飲みましたけど、最近はもうそんなに。特に撮影の前は気をつけないといけないので。

——では、明日のことを考えずに飲めるときは、特に幸せ？

もう〜本当に幸せですよね。おいしいものを食べたり、飲んだりできる瞬間が幸せです。

——いつまでも変わらぬ美しさで「奇跡の60代」と呼ばれることも多いです。美と健康の秘訣は？

食べ物には気をつけてますね。玄米などの自然食を食べるようにしていて、よく噛んで食べることも意識しています。お肌に良いのは、夜、寝ている間の保湿です。ベッドの横に霧吹きに入れた化粧水とチューブ状のクリームを置いておいて、たまに目が覚めたときに付けるんですよ。そして、また眠る（笑）。そうすると、空気が乾いている冬でも全然肌が乾燥しないんです。ぜひやってみてください。

取材・文／泊貴洋

【第４話あらすじ】

朝倉すみれ（松本まりか）は、村松宗春（上杉柊平）からの突然の告白にも、「あなたを好きじゃない」と自分に言い聞かせるように断りの言葉を告げる。傷心の宗春。その前に、パリ帰りの元カノ・由衣（田中真琴）が現れ…。一方、竜太郎（沢村一樹）はミス・ターゲットの有力情報を入手。すみれは、自分への捜査が本格化しているとも知らず婚活に邁進し、金持ちのＣＥＯ相手の“職場恋愛”からの“交際ゼロ日婚”を目指す…。