公園にベンチはつきものだが、神戸・湊川にはなぜか“座りづらいベンチ”が設置されている公園があるという。くつろぐためにあるはずのベンチがなぜ座りづらいのか？　タレントの河合郁人と、ABCテレビのアナウンサー・古川昌希がベンチの謎に迫った。

【動画】河合郁人が見せた過去一鋭い観察眼!?　自信に満ちた表情が絶望に変わった瞬間

今回の謎が“座りづらいベンチ”と聞き、2人は「壊れている」「めっちゃ汚い」「トゲトゲしている」など、それただ老朽化してるだけだろ！とツッコミたくなるようなありきたりな予想を立てつつ、件のベンチがあるという公園へと向かう。

住宅街の中にあるごくごく普通の、子どもが遊んでいそうな公園へとたどり着いた一行は、通常のベンチもある中、ベンチのように置かれた細長い巨大な石を発見した。腰掛けるのにちょうど良さそうに見えるものの、上部は平らではなく、試しに座ってみるとやはり座りづらさを感じる。どうやらこの石はベンチとして作られたものではなく、元は別の目的で作られたもののようだ。

古川アナはこの石について「土地の歴史に関係ある遺構」だと直感。川池公園という名前から、もともとこの場所は川が流れていた先の池だったのではと推測した。ここで神戸の歴史に詳しい姫路獨協大学の道谷卓先生に方向性を確認すると、川から流れ着いたものではなかったが、湊川地区の歴史に深く関係していることがわかった。

道谷先生によると、川池公園の西隣りにある会下山町にいくつかある公園のどこかにも同じものがあるそうだ。この2つの石が、もともとどのように使われていたかがわかれば100点ということになった。

河合はこのとき、道谷先生の「横たわった」という発言を聞き逃していなかった。横たわったということは、もともと2つの石は縦に置かれており、その形から「門」だったのではないかと名推理を展開する。

会下山町に行くと、2人は案内看板を見つけた。そこには明治時代に約1500種類以上の植物を命名した植物学者である牧野富太郎の研究所跡と書かれており、近くに公園があることも判明。さっそく向かってみると、その研究所跡が「会下山小公園」という公園になっていた。そしてそこには川池公園と同じように“座りづらいベンチ”のような石が横たわっていた。

ここにも説明看板があり、牧野富太郎は研究生活初期から経済的に困窮していたことや、借金がかさんだことが原因で植物標本を売却せざるを得なかったこと、神戸の有力者・池長孟の援助で研究所を設立した歴史などが綴られていた。

こうした背景を踏まえてもう一度石を観察した2人は、門柱にしてはデコボコしすぎだと疑い始めた。そこで河合は、この先にまだ見ぬヒントがあるかもしれないとして、公園の奥のほうまで見に行くことを提案する。「なんもないって」と渋る古川アナが折れる形で会下山小公園をさらに上に進むと、河合の予想通り「会下山公園」という別の名の公園に行き着いた。

そこには東郷平八郎の題字による「海員萬霊塔」という海員の戦没者を慰霊する石碑が立っていた。河合はさらにその先にも足利尊氏と戦った楠木正成が湊川の戦いで本陣を置いた場所を記す「大楠公湊川陣之遺蹟」と記された石碑を発見。いつになく観察力を発揮する。

これらの石碑をよく見ると、その脇には共に同じようにコンクリートでできた土台のようなものがあった。これを見た2人は、いずれの石碑ももともと土台のほうに立っていたが、災害などなんらかの原因で倒れてしまい、それを再建したものが今の石碑だと推理。“座りづらいベンチ”の2つの石こそ、土台に立っていたかつての「海員の慰霊」「大楠公」の石碑だと予想した。

過去一とも言えそうな鋭い観察眼を見せ、かつてないほど自信に満ちた表情で推理を口にした河合＆古川アナだったが、道谷先生の評価はいつも通りの0点。正解は牧野富太郎の定宿「会下山館」の門柱だった。まさかの最初に予想していた「牧野富太郎」「門柱」という答えに、2人は「あ～～～！」と頭を抱える。

道谷先生お決まりの「くまなく見た？」というツッコミの通り、牧野富太郎の歴史を説明した看板の裏にも説明があり、そこには“会下山館の門柱”とバッチリ記述されていた。門柱のひとつは研究所のあった会下山小公園に、そしてもうひとつは会下山館の近くである川池公園に設置されることになったということだった。

スタジオでは、弁護士でミステリー作家の五十嵐律人さんが「0点の推理をあれだけそれっぽく言えるのも才能」と辛辣にコメントし爆笑が起こった情報番組『newsおかえり』の人気コーナー「古川×河合のなんでやねん!?」4月30日放送回は、動画配信サービスTVerにて無料配信中だ。なお『news おかえり』は、毎週月曜～金曜午後3時40分よりABCテレビで放送中。