スパコン「富岳」が見せる“津波シミュレーション”南海トラフ地震から命を守る最新研究に肉薄!

2011年3月11日、死者・行方不明者が2万2000人余りに上った東日本大震災。13年前のあの日、多くの命を奪ったのが津波でした。近い将来、発生するとされる南海トラフ巨大地震に備えた、命を守る最新の研究と津波対策を取材しました。

©ABCテレビ
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宮城県東松原市。東日本大震災で1110人が亡くなったこの街には10メートル超の津波が押し寄せました。2008年に作成されたハザードマップの想定はマグニチュード8.2。津波は市内を横断する運河でせき止められるとされていましたが、実際に発生した地震はマグニチュード9。想定外の津波が運河を乗り越え、安全とされていた場所をも飲み込んだのです。

そんな東日本大震災と同レベルの地震が想定されているのが南海トラフ巨大地震。内閣府のシミュレーションでは、和歌山で最大20メートル、大阪で最大5メートル、神戸で4メートルの津波が想定されています。

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津波の威力とはどれほどのものなのか?東京・中央大学にある実験施設で記者が津波を疑似体験しました。まずは高さ約30センチの津波。膝下ほどの高さですが、体重75キロの記者が数メートルも後ろに押されてしまいます。

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続いては高さ約50センチ。20センチ高くなっただけで水の力に耐えきれず、記者はあっという間に流されてしまいました。理工学部の有川太郎教授は、この程度の水位であっても「津波の先端部のように勢いをもって来られてしまうと、ひとたまりもない可能性がある」と警鐘を鳴らします。

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神戸市にある理化学研究所の計算科学研究センターでは、世界屈指のスーパーコンピュータ「富岳」を駆使したシミュレーションで、視覚的に津波の被害がイメージできる「ダイナミックハザードマップ」の研究が進められています。

【動画】1秒間に約44京回という「富岳」の並外れた計算力で、詳細なシミュレーションが可能に

南海トラフ巨大地震による津波を想定した神戸港周辺のダイナミックハザードマップでは、地震発生から1時間半後に津波が到達。湾岸域にかなりの高さで入り込み、わずか10分ほどでJR三ノ宮駅周辺まで浸水する様子が詳細に表されています。

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神戸市は、市街地に津波が侵入するのを防ぐための「1000年に1度の津波対策」として、沿岸部およそ60キロにわたって防潮堤を整備。地震発生時、メリケンパークなど防潮堤の外側にある場所は、地震から1時間半後に津波が来る可能性があるため、地震直後に防潮堤の内側に移動することが大原則です。

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しかし、「それだけで十分とは限らない」と語るのはダイナミックハザードマップ研究チームのリーダー・大石哲さん。大石さんが指摘する、東日本大震災で多くの命を奪った“想定外”からの教訓とは?

津波被害の最新研究は『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜 午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。動画をABCテレビニュースの公式チャンネルで公開中!

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