「コンクールはエントリーしないと始まらない」GACKTが「正直びっくりした」と評し、すき焼きに革命を起こした優勝シェフが今思うこと

昨年10月「CHEF-1グランプリ2023」で国民代表審査員GACKTに「正直これはボクはびっくりしました。すき焼きなんですけど、新しいんですよね」と言わしめた優勝シェフ・根本郁弥(東京都 フレンチ ガストロノミー “ジョエル・ロブション”)。優勝してからしばらく経ち、落ち着きを取り戻したであろうタイミングで優勝の舞台裏について話を聞いた。前・後編の後編をお届けします。

©️CHEF-1グランプリ2024

意外と日常の失敗からアイデアは生まれる

――2023年の大会を通じたテーマ「料理に革命を起こせ」についてはどう感じましたか?

根本 既存の料理に革命を起こすっていうのは、実にみんな頭を悩ませた点だと思います。そこですごく試行錯誤をして、型を破ろうとするわけです。そのために料理の歴史や、その料理がなぜできたのかを調べたり……。いろいろ模索して新しい発見をする、クリエイトされるというのはすごくいいことだと思います。お題については、ある程度振り幅があって、その中で個性を出せるテーマだと、みんな楽しみながら、面白い料理を出せるのかなとも思います。

「人間の記憶で一番残るものって●●なんですよね」(前編記事はこちら)

――「CHEF-1グランプリ」が他のコンクールと少し違うのは、アイデアが非常に大事というところかと思います。根本さんの料理のアイデアというのは、いつどうやって生まれるものなのですか?

根本 意外と日常の失敗とかですね。たとえば、火を入れ過ぎたのだけど、「意外とこの方が美味しいかも」みたいなことがヒントになったり。日々やっていることの延長線上で閃いたりします。もちろん、料理は試作を重ねてだんだんと完成度や精度が上がっていきます。途中でもがいたり苦しんだりしても、いい料理ができると感動したり、自分の中で満足できる。それで審査員のシェフに「いいアイデアだね」と言われたら最高ですね。

――「CHEF-1グランプリ」には調理時間の制約もかなりあります。他の大会よりも調理時間は短めかなと思いますが、その点はどう受け止めていますか?

根本 そうですね。その制限時間内で、どう短縮したら美味しくできるかというのはすごく考えました。今回で言うと、たとえば、短時間でエビのソースを作るというのはやはりすごく難しいんです。そこで桜エビなどの小さく味がしっかりしているものをそのまま炒めて潰してやるととても味が出るだとか。僕は頭の中で料理を作ることがけっこう多くて、そうした脳内調理がアイデアに繋がっていきます。

©️CHEF-1グランプリ2024

自分の武器をどれだけ研ぐかが大事なこと

――今年また新たに「CHEF-1グランプリ」へ挑戦するシェフたちにアドバイスをするとすれば?

根本 自分の武器をどれだけ研いで研いで、鋭く尖った武器にするかが大事なのかなと思います。その人の個性が出ている料理じゃないと審査したときも気付いてもらえない、「この人の料理なんだ!」と思えるぐらいのインパクトがいる。記憶に残る、そういう料理を出せるくらいまで個性を尖らせることですね。一緒に戦ったジャンル別ナンバーワンのシェフたちは、みんなちゃんとした武器を持っていました。そして当然ですが、まずはエントリーすること

――エントリーすることによってすべては始まるわけですね。

根本 コンクールとかって、エントリーしないと何も始まらない。一歩踏み出して、自分を試して、料理人として自分をみんなに知ってもらう。将来活躍したいと思っている人はぜひ出て、自分の名を売っていってもらいたいなと思います。あと、実践的なアドバイスを一つすると、ルールブックをよく読むことも大事です。先ほどの時短の話もそうです。たとえば「CHEF-1グランプリ」では調理時間が短い代わりに、ケチャップとか既製のソースが使えたりします。この要素は必要だけど、わざわざ作るほどではないなとか。そこで使えるものは使ってアレンジしたり、時間を作ったりして、要は何に重きを置くかで完成度も違ってくるはずです。

©CHEF-1グランプリ2024

――チャンピオンになられての自負、そしてこれからの新しい一歩、目標は?

根本 僕は最初横浜で3年間働いて、その後『ガストロノミー“ジョエル・ロブション”』に移りました。入社してから、先輩や上司の方から色々な技術を教えてもらい、10年間ほど働く中で、僕の中の引き出しや知識も増やしていただいた。そして色々な教えが積み重なって、現在の関谷シェフのもとで一つにまとまりました。今回の大会では何より、そうして積み上げてきたものが正しかったと、証明できたという感慨があります。その上で、それに奢らず、これからもチャンピオンの名に恥じないような料理を作っていきたいなと思っています。

――さらなる将来的展望もありますか?

根本 関谷シェフのもとで、まだ超えられていないこと、吸収しきれていないことが多々あるので、まだこの『ガストロノミー“ジョエル・ロブション”』で働きたいと思っています。ただ、今回の「CHEF-1グランプリ」で優勝したことにより、様々なお仕事のお声がかかることもあると思います。それに向けて、いつ誰からお声がかかってもいいように、自分の中の技術をさらに研ぎ澄まして、今後に向けて準備していきたいです。いずれは自分のお店を出せると良いですね!

©️CHEF-1グランプリ2024

「CHEF-1グランプリ2024」エントリーテーマは「ハンバーガー・サンドイッチに革命を起こせ!」まずはエントリーすることから始まります!アイデアのある方はいますぐチェック!

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