ヤユヨ、Hakubi、ネクライトーキー! ABCラジオ『ミューパラ』イベント・ライブ丼(ボウル)レポート

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ABCラジオで月曜日から金曜日、よる10時から放送されている深夜の音楽バラエティ『ABCミュージックパラダイス』通称ミューパラ。1991年から18年間人気を博した音楽番組である。惜しまれつつ2009年に放送を終了したが、2021年にパワーアップして再始動。そんなミューパラが初となる主催イベントを立ち上げた。

その名も『ライブ丼(ボウル)』。ミューパラのパーソナリティ、スタッフが「今こそ目撃して欲しい!」と太鼓判を押すアーティストや、ミューパラと縁のあるアーティストをピックアップ。“ここでしか味わえない極上の一杯を提供する”をコンセプトとしたイベントだ。その記念すべきVol.1が2024年1月19日(金)に、大阪・心斎橋MusicClubJANUSにて開催された。

出演アーティストはヤユヨ、Hakubi、ネクライトーキー。ミューパラが放送されている関西圏出身、そして女性ボーカルのバンドという共通点がある3組だ。ヤユヨのVo,Gtリコは番組スタートから1年半水曜日のパーソナリティを務め、Hakubiはミューパラの前身番組である『下埜正太のショータイムレディオ』から、今のミューパラに至るまでメンバー全員で何度も番組に出演、そしてネクライトーキーはミューパラ内のプレゼントコーナーで『オシャレ大作戦』をテーマソングとして使用していた。実はミューパラスタート時に、番組プロデューサーが「おしゃれさとポップさを兼ね備えていて、ミューパラの番組イメージを決めるにあたってまず浮かんだのがネクライトーキー」と挙げていたバンドだ。そんな縁深い3組が記念すべきライブ丼vol.1に集結。第1回目にして早くもピークと言わざるを得ない程、思い入れの強い対バンとなった。

開場すると、足早に駆けていく人々によって最前列が瞬く間に埋め尽くされ、気がつくと会場は人で溢れかえった。見渡すと肩にバンドタオルをかけている人、バンドTシャツを着た人、中にはスーツ姿、制服姿の人も。各バンドのファンが、そしてミューパラのファンが今日を心待ちにしていたことが伝わって来た。

19時にライブがスタートすると、MCとしてミューパラ月曜日パーソナリティの“まりねぇ”こと田淵麻里奈と、木曜日・金曜日パーソナリティの“しもしょー”こと下埜正太が登場。しもしょーが「ライブ丼vol.1始まりましたー!」と叫ぶと拍手が巻き起こる。まりねぇが本日の出演バンドを1組ずつ読み上げると、会場一体から「フー!」と大きな歓声が上がった。「こういうの好き」と顔を綻ばせるしもしょー。オーディエンスの「このライブを楽しむぞ!」というエネルギッシュさが溢れ出た瞬間だった。

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そんな暖かい空気の中、トップバッターで登場したヤユヨ。Vo,Gtのリコが登場した瞬間バンっと銃を撃つようなジェスチャーをし、早くもそのキュートさでオーディエンスの心を鷲掴みにした。Ba,Choのはなが微笑みながらちらっとメンバーとアイコンタクトをとり始まった『愛をつかまえて』エモーショナルな曲調にゆっくりと身体を揺らすオーディエンス。Gt,Choのぺっぺが交互にギターとキーボードを弾く姿に釘付けになった。

「大阪のバンドヤユヨです!よろしくお願いします!」と自己紹介から2曲目『うるさい!』へ。リコがハンドマイクで歌い踊りながら「大阪こんなもんですか!?」と煽るとクラップが起こる。「今年初ライブ!めちゃくちゃに気合い入っています!」と気合い十分に『ここいちばんの恋』を畳み掛けた。「心斎橋JANUSでライブやってます。超楽しいー!」とリコが叫ぶ。早くもフロアに熱気が溢れた。

ピンクのライトにステージが照らされ、しっとりとスタートした『アイラブ』で会場は一転して柔らかい空気に。間奏の可愛く、だが切ないキーボードの音色に胸がきゅっと締め付けられる。「まりねぇが好きと言ってくれた曲をやります。今日みたいに寒い日の帰り道にぬくもりになれるように」とリコが語り披露された『君の隣』。雪の夜のような青と白の照明がステージを照らす中、リコが儚く歌ったかと思うと束の間のブレイクのあとに力強く歌い上げ、アウトロではなとぺっぺのコーラスが優しく響いた。

「金髪で帰って来ました。不良娘です」とリコが言うと会場からは笑いが。オープニングでしもしょーが「ミューパラ時代は黒髪だったのに、今は金髪で東京の風に吹かれたのかな」というトークを受けてのものだ。アーティストとして確実に力強く歩むヤユヨはなんと今月2024年1月に結成5周年を迎えた。こんな記念すべき日にライブができて嬉しい、しかし初心は忘れてはいけないと語るリコ。

「センスの良いあなたたちに分かって欲しい恋の歌!踊りましょう!」と、ヤユヨ初期の代表作でもある『さよなら前夜』で会場がまた一気に盛り上がる。そして最後の曲『Stand By Me』へ。リコが「今日も素晴らしい日になった!」と歌い上げるのに思わず頷いてしまうぐらい、一組目からとんでもない充実感だった。

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Vo.片桐が「Wowー!」と声をあげ、歓声が沸き起こる中始まった2組目Hakubi。スポットライトに照らされた片桐のシルエットが浮かぶ幻想的な雰囲気の中『光芒』からスタート。賛同するかのようにフロアでは続々と拳があがる。続く『ハジマリ』ではDr.マツイユウキの骨太な低音が深く響く中、片桐が「自分らしく生きろよ」と力強く歌い上げる。

「ライブ来たこと無い人も沢山いると思う。教えてあげてくれ!ライブの楽しさ!」と叫び、Ba.ヤスカワアルがお立ち台に上がりクラップを煽りスピード感溢れるアッパーチューン『Eye』へと繋げる。

「Hakubiのことを知らない人もこのサビで一緒に跳べますか?」と片桐が言うと、フロア全体がジャンプをして応える。きっとHakubiのファン、Hakubiを初めて観る人、ライブに来たことがない人が入り乱れるこのフロアだが、そんなのは関係なく一体になって全体が飛び跳ねる光景は圧巻だった。

演奏を終え一息つき「もう一回声聞かせてもらえますか?」と問いかけると「いえーい!」とテンション高く答えるオーディエンスの盛り上がりに思わず「やった!」と声が漏れた片桐。ずっとやりたかったイベントと聞きました。私たちも全力で歌うので最後までよろしくお願いします。最高の景色を一緒に目撃してくれてありがとうと話し『最終列車』へ。青いライトが光り夜のような落ち着いた空気が漂った。

はぁ、はぁ、と何度も息を短く吐き呼吸を整えた後、片桐がゆっくりと大切に一言ずつ紡ぎ出した。

顔が見えないまま、本名も知らないまま、心もわからないような文字列が並んでるだけの温度がないSNSが凄く苦手で、傷つけあったりするのを見るのも嫌だし勝手に傷ついちゃう自分も嫌だ。それと比べて顔も見えない、名前も分からない。でも近くにいるような気がする。どこの誰かも名前も分からない人のメッセージが読まれてあったかい気持ちになったり、同じように苦しんだり。そんなラジオが私は凄く大好きです。

言葉の持つ力を真っ直ぐに伝えた後に披露した『灯』。何度も何度も思い出す後悔の歌と紹介し、大切なあの人にもう言葉を届けることができないと歌う『拝啓』へと続く。

鬼気迫る空気の中、誰の心の中にもそっと残るわだかまりや、やるせない気持ちをすっと取り出され見つめ合っていたような気分だった。

覚悟の歌と称して披露した『mirror』、ラスト『辿る』では「今日の一番を見せてくれ!」と煽り、盛り上がりはピークを迎えた。

ねぇ、特別な日になったかい?ずっとずっと忘れないでいよう。心からの言葉は声色でわかる、きっとわかるよ。それがライブ。掻き乱して私たちの音楽を届ける!

そう高らかに宣言した後、京都Hakubiこんなバンドです。これからもどうぞよろしく。と颯爽と締めくくった。

Hakubiの真っ直ぐな歌や想いは、その場にいた個々人の心のど真ん中にずどんと突き刺さり、生きてここに来てHakubiのライブを味わった自分に拍手を送りたくなるような時間だった。「絶対に負けない」というHakubiの覚悟が痛いほど伝わって来たライブだった。

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Hakubiの熱気がまだフロアに充満し、オーディエンスの興奮さめやらぬ中、転換が進むステージから聞こえるピコピコ音。そわそわとワクワクが今にも溢れ出しそうな中、3組目ネクライトーキーが始まった。

「ようこそ!」と歌うSEに合わせて弾けるように飛び出して来たVo,Gt.もっさ。

『めっちゃかわいいうた』でスタート。「かわいいうた!」と叫び歌うもっさに、Gt.朝日がこれでもかと激しくギターを掻き鳴らす。途中でテンポががらっと変わるなど早くも盛り沢山のてんこ盛り。

朝日の雄叫びを皮切りに『北上のススメ』へ。イントロでメンバー全員が首を振るのに合わせて、フロアでも一緒に首を振る人がいたり、クラップがバチバチに揃っていたりする光景に、ミューパラ放送内でしもしょーが「ネクライトーキーのお客さんはまるで強豪サッカーのクラブチームのサポーターぐらい一糸乱れない」と話していたのを思い出し痛快な気分になった。

「ヤユヨ、ハクビ、ネクラ。今日は3文字縛りバンドだね」というもっさのMCに「そんな短かったけ?」とBa.藤田から鋭いツッコミが入る。ライブ丼、三色丼で大盛りやから食べ切るまで帰られへんで!と煽り、ライブ前日のミューパラの放送内で初解禁した新曲『ちょうぐにゃぐにゃ』を披露。どこまでも壮大に広がる宇宙のようなイントロから始まり、Key.中村郁香が鳴らす特徴的なシンセサイザーの音に惹かれる一曲だ。続く『あべこべ』はこれまでのポップでロックな音に加え、夕方の帰り道のようなどこか懐かしく哀愁漂う雰囲気に、ネクライトーキーの底知れぬ音楽の広がりを感じた。

もっさが「メンバー紹介します!」と言うと、Dr.カズマ・タケイのソロに、ベース、キーボード、ギターが加わり、最後にもっさのギターが合わさってゴリゴリにかき鳴らしていく。なんてかっこいいんだ…と見惚れていた矢先に『ランバダ・ワンダラン』

摩訶不思議なメロディに、「シャバダバダ」というスキャットが入る。なんだか急転直下のジェットコースターのように“ネクライトーキーの遊び心”に振り回され、どんどん虜になってしまう。

ヤユヨ、Hakubiとは初対バンのネクライトーキー。「Hakubiとは挨拶を昔にしたことあるけど対バンは初めて。ヤユヨとは〇〇ラジオの…あっ!」となんと他局の社名を言ってしまうもっさ。「おい!」「今日どこのラジオのおかげでライブできてると思ってるねん!」「やばいよ」とメンバーから次々とブーイングが起こる。

「ABCラジオのミュージックパラダイスの皆さんありがとうございます!」ともっさが立て直した後に『bloom』のイントロが始まると、待ってましたと言わんばかりに歓声と拍手で沸き上がるオーディエンス。

5!4!3!2!1!と朝日がカウントし、キラーチューン『オシャレ大作戦』へ。ドラムソロ、キーボードソロ、両腕を振り上げながら煽る朝日に合わせ、フロアは最高の盛り上がりを見せた。ラスト『遠吠えのサンセット』をぶっ放し全てたいらげてしまったかのような勢いで締め括った。

3組の熱演が終わりMCのまりねぇが再登場。もっさの失言を受け「ABCラジオ」と強調しフロアが笑いに包まれた。本日のライブ丼は“おかわり”が可能だと告げる。

このライブ音源は1月24日(水)、25日(木)、26日(金)よる10時からの『ABCミュージックパラダイス』でOAされる予定だ。「お腹いっぱい。ごちそうさまでした」と言いたくなるほど三者三様の熱いライブの様子をお聴き逃しなく。

Text:冨永 陽香

『ライブ丼(ボウル)vol.1』セットリスト

【ヤユヨ】

1.愛をつかまえて

2.うるさい!

3.ここいちばんの恋

4.アイラブ

5.君の隣

6.さよなら前夜

7. Stand By Me

【Hakubi】

1.光芒

2.ハジマリ

3.Eye

4.最終列車

5.灯

6.拝啓

7. mirror

8. 辿る

【ネクライトーキー】

1.めっちゃかわいいうた

2.北上のススメ

3.ちょうぐにゃぐにゃ

4.あべこべ

5.ランバダ・ワンダラン

6.bloom

7.オシャレ大作戦

8. 遠吠えのサンセット

【番組概要】

番組名:ABCミュージックパラダイス
放送:毎週月曜~金曜 よる10時~深夜0時30分 
放送局:ABCラジオ(AM1008・FM93.3/radiko)

番組公式ホームページ:https://abcradio.asahi.co.jp/abcmp/

番組公式X:https://twitter.com/abcmp1008933

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番組情報

ABCミュージックパラダイス
ABCラジオ 毎週(月~金)よる10:00~

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