新たな道を共に歩き出した二人 でも、空の記憶が再び失われ… 日曜よる10時放送中! 堀田真由×萩原利久 この秋一番のピュアラブストーリー「たとえあなたを忘れても」第7話
ドラマ『たとえあなたを忘れても』は、夢を失った女性と記憶を失った男性が気持ちを通じ合わせる、切なくも美しいヒューマンラブストーリー。『神様、もう少しだけ』、『ラスト・フレンズ』などで知られる浅野妙子が執筆する、オリジナル作品となっている。
主人公は、音大を中退しピアニストになる夢を叶えられなかった河野美璃(堀田真由)。美璃は従兄妹で心療内科医の遠山保(風間俊介)の病院で、ピアノのミニコンサートを開き成功させる。ピアノ講師に復帰できた美璃は携帯ショップでのアルバイトを辞め、レッスンの空き時間に青木空(萩原利久)のキッチンカーで働き始めるのだ。
過去の記憶を取り戻した空は、美璃との将来を描くためにもダブルワークに精を出す。しかし、また記憶を失ったら…という新たな悩みも生まれていた。病院に行った空は、ストレスはよくないので無理をしすぎないように保からアドバイスを受ける。空は思わず「記憶が戻ってから楽しいことも多いけど、苦しいことも多くなりました。過去を知らない間は未来のことも考えんかった。でも、今は未来のことをよく考えます」と、胸にとどめていた不安を吐露するのだ。
「こんな自分のままで大丈夫なんやろか。経済的にも、それから健康の面でも。それってけっこう苦しいんですよね」と、ありのままの自分を空は保にさらけ出す。記憶障害さえなければ、空は就職していた会社で何不自由ない生活を送れていたのかもしれない。少し先の未来を見つめると、今の空は27歳の社会人としての焦りがのしかかっているのだろう。
そんな彼の気持ちをよそに、美璃は恋に恋していた。「空と二人でこのキッチンカーで年取るまで世界中回れたらいいな。夢みたいだけど。世界中は無理でも日本中だったらできるかな、一生かけたら」と口にする。未来どころか明日の自分の保障もできないと思い込む空は、「そやな。一生かけたら」とやや上の空で返す。夢を見ている美璃と、ままならない現実を直視している空。両想いになった途端に、もう一度立ちはだかる壁。誰のせいでもないからこそ、どうしようもない現実に歯がゆさを覚える。
その後、空は母・理佐子(檀れい)の家に向かい、理佐子が自分の親だと名乗らなかったのはなぜかと聞く。理佐子は「また忘れられるのが嫌やったんちゃうかな。せっかく思い出してもらっても、また忘れられたらつらいやんか。それならもう思い出してもらわんくてもいいかなって」と答える。空は「忘れられるってそんなつらいんやな…」と涙を浮かべ、ことの重大さを改めて痛感する。理佐子がどんなに大丈夫、信じてると言葉を重ねても、空の心には届かず、自分のことを信じることができない。空のよるべなさが浮き彫りになる。また記憶を失う事が頭によぎり、大事な人をまた傷つけてしまうかもしれないという葛藤が、萩原の繊細な演技ににじみ出た。
ラストシーン、毎日の日課とでもいうようにいそいそとキッチンカーに向かう美璃は、空の姿を見つけ「おはよう」と声をかける。きょとんとした空は「おはようございます。何にしますか?」と他人行儀に美璃に尋ねる。空が懸念していたことが現実に起こってしまったことに、「まさか」と「やはり」の気持ちが重なる。ショックで言葉が出てこない美璃。短いスパンで二度目の忘れられる経験をした彼女は、はたして乗り越えていけるのだろうか。交錯するそれぞれの想い、今作のフィナーレに向け、一筋の光を見出したい。
(文・赤山恭子)
【放送情報】
毎週日曜よる10時
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TVer: https://tver.jp/series/sr2z8fq7fk
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