日曜よる10時放送中! 堀田真由×萩原利久 この秋一番のピュアラブストーリー 「たとえあなたを忘れても」 再会を果たした美璃と空。 「好きな人のことは忘れませんか?」美璃の名台詞に涙…
ドラマ『たとえあなたを忘れても』は、夢を失った女性と記憶を失った男性が気持ちを通じ合わせる、切なくも美しいヒューマンラブストーリー。『神様、もう少しだけ』、『ラスト・フレンズ』などで知られる浅野妙子が執筆する、オリジナル作品となっている。
主人公は、音大を中退しピアニストになる夢を叶えられなかった河野美璃(堀田真由)。キッチンカーの店主・青木空(萩原利久)にほのかに恋心を寄せていた美璃だったが、ある日を境に空と音信不通になってしまう。その1か月後、偶然、空のキッチンカーを見かけた美璃はたまらず駆け寄るが、空は何も覚えていない。ショックを受ける美璃だが、空の幼馴染という藤川沙菜(岡田結実)から、空が脳の損傷を受けて以来、記憶をなくしてしまうようになったと教えてもらうのだ。
突然知った空の事情と、彼や沙菜たちの抱えているものの大きさにショックを受けた様子の美璃。美璃の気持ちを思うといたたまれないが、それ以上に沙菜の心情を察すると言葉にできない気持ちで胸がぎゅっと痛くなる。幼い頃から空と仲良しだったはずの沙菜は、自分を忘れられること=これまで何年越しに築き上げた二人の関係が根こそぎ崩れてしまうことを何度も経験しているわけで…。それでもずっとそばで支え続けた沙菜の想いの深さと一途さには心を打たれる。演じる岡田も、既存の明るい彼女自身のイメージをがらっと変えるようなたたずまいで、真摯な演技にも感動を覚えた。
記憶をなくし、そのたびにリスタートをしている空自身の生きづらさも第2話では描かれた。以前は就職していた空だが、記憶をなくしたことで退職を余儀なくされていた。当時の同僚がたまたまキッチンカーにやってきて「あれ?青木やない?」と声をかけるも、空は「?」顔で困惑する。相手はわかるが自分はわからない、これまでもそんな気まずさを体験してきたことが、萩原の繊細な目の泳ぎから伝わる。
一方、美璃はというと、空について思い悩む反面、自分のままならなさにも途方に暮れていた。アルバイト先の携帯ショップでは営業方針に賛同できず、ノルマの壁もあり、出勤できなかった。アルバイトを無断欠勤してバスに乗った美璃が向かった先は、空との思い出の廃墟だった。廃墟でピアノを弾き始めたところに、まるで音に誘われたように空がやってくる。「ドラマ的展開!!」と胸が高鳴るところだが、空は自分のスマホのカメラロールを確認してこの場所へ来たという。
「行ったことを忘れないようにこうして写真を撮るんですけど、忘れちゃうんですよね。でも、二度目、三度目に来ても、初めて来たみたいに新鮮で、いいなあって思うんです。好きなものは好きなんですよね。好きなもののことは、ずっと忘れない」と空は美璃に言う。思わず「人は、どうですか?好きな人のことは、忘れませんか?」とぐいっと迫る美璃。しばし沈黙をした空だったが、自分の記憶障害のことを美璃に話し始める。空の気持ちに寄り添った美璃は、自分たちが「友達」だったと教えると、空の顔には笑顔が広がる。「ありがとう、友達になってくれて。僕、友達いないから」という発言を受けて、沈んでいた美璃の表情にも明るさが戻る。
沙菜は空について、彼には過去や未来に思い悩むことはなく今だけがあるから悪いことばかりではないかもしれない、という持論を展開していた。となると、美璃と空がこうしてもう一度出会って恋に落ちること、改めて出会い直すことだって、もしかしたら悪いことではないのかもしれない。運命の相手なら、人は一度だけではなく二度でも、何度だって恋に落ちることができるのだろうから。第2話の最後に打ち上がった美しい花火のように、二人の恋のスパークを期待したい。
(文・赤山恭子)
【放送情報】
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