イスラエル首相を裁くICCは「テロリストと一緒」!? トランプ大統領が制裁に及んだ背景は…。大国が敗戦国を裁く図式に「戦争に負けることは罪なのか?」の疑問
ニュースのミカタを徹底解説する情報バラエティ番組「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」(ABCテレビ)。久保光代アナウンサーが進行役を務める配信コンテンツ「正義のミカタチャンネル」では、生放送には入りきらなかった話題も深掘りし、ゲストが熱いトークを展開!
今月配信がスタートしたのは、「正義のミカタ」生放送でも取り上げられた「ICC・国際刑事裁判所」をめぐるトーク解説だ。
8月、トランプ政権は、ICCのトップである赤根智子所長らを制裁対象に指定したと発表。赤根所長にはアメリカの銀行口座やクレジットカードの使用停止といった影響が生じたほか、アメリカ企業との取引やAmazonなどのサービス利用ができない可能性も…。
日本人がアメリカから“経済制裁”を受けた、異例の事態。この驚きのニュースを通じて、ICCの名を初めて知った人も少なくないだろう。
“人”の行為を裁くのがICC・国際刑事裁判所
弁護士の野村修也氏は、国同士の争いを裁く国際司法裁判所とは違い、ICCは「個人を裁く」と説明する。「国際法上、絶対許されないと思われるような犯罪行為を行った人を裁きにいく組織」で、捕虜の取り扱いなど「戦争でのルール」を定めた条約に反する罪を犯した人物や、大量虐殺を国内で行なったようなケースも対象になる。
自衛隊で統合幕僚長を務めた河野克俊氏は、ICCを「戦争の勝ち負けではなく、行為自体に目を光らせる考え方」だと説明。第二次世界大戦後にGHQが日本を裁いた「東京裁判」のように「勝った国が負けた国を裁く」形では、戦勝国側で戦争犯罪に類する行為をとった人物は見逃されてしまう。対して、個人の行為を罪に問うICCを「設立の趣旨は非常にいいと思う」と評価。しかし…
警察組織を持たないICCは、加盟国の警察に「逮捕して」と頼むしかない!
「大国が小国の指導者を裁く」旧来の図式から一歩も抜け出せず…
河野氏は「運用の仕方、実効性」と、ICCの弱点を指摘する。
「例えば、プーチン大統領を訴追したら誰が逮捕しに行くんだ?と」。
その話に聞いて「ICCには警察組織がないんですよね?」と問う久保アナに、
野村氏は「そうです。ICCには刑事組織、警察組織がないので、結局その加盟国の警察にお願いをして『逮捕してください』ということになる」と説明する。
「逮捕状を出したとしても、加盟してない国の警察は捕まえてくれません。まさにプーチン大統領がそうですよね」と野村氏。また、プーチン大統領が加盟国に訪問した際には、その国の警察が捕まえることもできるはずだが「現実にはなかなか難しい」とも。自分の国の人間ではない大物を独断で逮捕すれば国際問題に発展しかねないため「実際に加盟国に行っても捕まってない」という。
過去には、逮捕状が出ているイスラエルのネタニヤフ首相がICC加盟国のハンガリーを訪問した際、ハンガリーはネタニヤフ首相を捕まえることをせず、それどころかICCからの脱退を表明。「そこまでして国際社会での対面を保つ状況」が起こっていると、野村氏は語る。
現在、ICC加盟国はわずか125。非加盟国にはアメリカ、中国、ロシアといった“大国”が並ぶ。こうなると「機能しないのは目に見えている部分がある」と野村氏。
実際にICCが制裁を加えたのは、国際的にあまりパワーを持たない小さな国に限定されてきたという。
「結局、大国が小さい国の指導者を裁く。この図式から、一歩も出てないっていう状況なんです」(野村氏)
トランプ大統領のロジックでは「ICCの行為はテロリストと同じ」!?
野村氏によると、アメリカはICC発足時から一貫して、ICCが非加盟国のトップの行動に文句を言うことを“越権行為”とみなしているとか。
2002年には、ジョージ・ブッシュ大統領の下で「もしアメリカ人や、同盟国のトップが(アメリカの認めない形で)逮捕・拘留されたら、武力行使をしてでも取り返す」という法律を作っているほどだと説明した。
今回、トランプ政権が経済制裁に踏み切った背景には、トランプ政権の基盤である「福音派」の存在があるとも、野村氏は指摘する。
保守系キリスト教の一派でトランプ大統領を熱狂的に支持している「福音派」は、「イスラエルの人たちと強く近しい関係にある」。
イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したICCに制裁を加え、自身の支持者向けにアピールする意図もトランプ大統領にはあるという。
2025年に大統領を発令し、これまで麻薬組織やテロリストなど悪質な犯罪者を載せて経済制裁していたリストに、ICCの関係者も掲載できるとしたトランプ大統領。
トランプ政権のロジックでは「権限がないことをやっているICCはテロリストと一緒」と、驚くべき整理の仕方がなされているようで…。
配信コンテンツでは、赤根所長への支援やICCで裁けない拉致問題、東京裁判で思い悩んだオランダ人判事の逸話など、さまざまな角度からこの問題を深掘り中。
トークの全容はTVerの「正義のミカタ」番組ページで!










