雌100%のコロッケ!? 神戸・長田にある黒毛和牛“一頭買い”にこだわるお肉屋さん 牛すじ肉が入って108円!
街のおいしい店に潜入し、店主の人柄からにじみ出る人気の秘密を発見するシリーズ「実録!人情食堂」。今回は、地元で人気のこだわりのお肉屋さんを取材しました。
神戸市長田区にある「笹山精肉店」は黒毛和牛の雌牛専門の精肉店。肉自体が香ばしく、甘みがある雌牛を一頭買いし、お店で自ら捌いたものしか売らないーーこれが3代目店主・笹山明夫さん(57)のこだわりです。
親戚の下原美智代さんと切り盛りするお店の一番人気は、ホクホクのじゃがいもに牛すじ肉が入った108円の手作りコロッケ。牛だけでなく豚も雌を一頭買いし、捌いた後に出た牛脂と豚脂は合わせてコロッケの揚げ油に。「雌100%の脂で揚げてるコロッケというのは、(世の中にほかに)あるんかな?」と笹山さんはちょっぴり誇らしげに笑います。
そんな、こだわりにこだわり抜いたコロッケを買いに来たのは、長年の常連という母子。娘さんはもちろん、お母さんも「幼稚園のときから」よく食べていたそうで、「もう間違いない!」とコロッケの味に太鼓判を。おばあちゃんから託されたメモを手にお使いにやってきた幼い姉妹も、おいしそうにコロッケにかぶりつきます。
【動画】「笹山精肉店」はプロも虜に。コロッケは北野坂のパン屋さんのコロッケバーガーに使われているほか、こだわりの黒毛和牛を求め、お好み焼きのご主人やイタリアンのシェフなどが来店します。
そんななか、来店した女性は古くからのお馴染みさん。揚げたてを「おいしい」「昔と変わってない」とうれしそうに頬張る彼女は、なんと笹山さんが生まれる前、創業当時から“笹山のコロッケ”のファンなのだそう。
長年愛されるコロッケのルーツは、今からおよそ76年前。笹山さんの祖母が牛すじ入りのコロッケを作り、行商で売ったのがそもそもの始まりとか。その3年後、笹山さんの父・稔さんが牛の捌きを修業で学び、家族で精肉店を開業しました。
幼いころはお店が遊び場だった笹山さん。牛を捌く稔さんの姿がとてもかっこよく見え、「俺もやりたい」とせがんでいたそう。そうして背中を追いかけ続けた父、そしてやさしかった母・篤子さんも、ともに3年前に他界しました。
「商売のこもと(基本)は一頭買いや」とよく口にしていた稔さん。さらには亡くなる直前、すでに話すことができなくなっても、指を1本立てる仕草で「一頭買い」をこれからも継承するよう笹山さんに懸命に伝えようとしたといいます。
笹山さんはそんな父の最後の言葉を守り、自ら市場で吟味し、競り落とした黒毛和牛の雌牛の「一頭買い」を貫いてきました。捌きの作業が深夜にまで及ぶこともしばしばですが、気がつけば時間を忘れて夢中になってしまうそうで「没入型アトラクションや」と笑う笹山さん。
さらには、1か月も冷蔵庫で風を当て続け、適度に水分を抜くことで旨みと香りをアップさせた「熟成ロース」作りにも余念がないなど、常に肉のことで頭がいっぱいの笹山さんを、こちらで肉を仕入れる料理人たちは敬愛の念を込めて「肉の変態」と呼びます。
自分の店のお肉が「“あれ何なん?”“むっちゃおいしいやん!”みたいに言われるとうれしいよな」とほほ笑む笹山さんは、亡き父の言葉を胸に今日も一頭買いの牛と向き合い続けています。
「実録!人情食堂」は、1月26日(月)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。
















