大阪・新世界の名物「ホルモン」 継ぎ足して継ぎ足して80年!「焼肉店とは全然違う」味を守る70代兄弟に密着
街のおいしい店に潜入し、店主の人柄からにじみ出る人気の秘密を発見するシリーズ「実録!人情食堂」。今回は、70代の兄弟が営む大阪・新世界の人気店を取材しました。
大阪市浪速区、新世界市場のアーケードの出口付近に店を構える「ホルモンうどん権兵衛」は、4人掛けのテーブルが2つとカウンターだけの小さなお店。名物のホルモンとキャベツが焼きうどんの上にドーンとのった「ホルモン焼きうどん」。ホルモンの旨みがだしに溶け込む「ホルモン汁うどん」も人気です。
店を切り盛りするのは、鉄板での調理を担当する兄・泉谷俊樹さん(77)と、ホルモン作りを担当する弟・啓二さん(75)さん。戦後まもない80年前に両親が始めた店を、40年ほど前に兄弟で継いだといいます。
そんな「権兵衛」の1日に密着してみました。オープンはお昼12時。開店の40分前に現れたのは啓二さん。まずはホルモンがたっぷり入った大きな鍋に火を入れます。
自慢のホルモンは、生の状態から2回煮込んで柔らかくし、下味をつけたら大鍋の中へ。創業時からずっと「継ぎ足し」を続けて変わらぬ味を受け継いでいるそう。両親の時代から継ぎ足すこと80年! このホルモンは、まさにお店の魂です。
【動画】もとは新今宮駅の高架下にあった「権兵衛」。西成の名物店となりましたが、立ち退きにより2021年に新世界のこの場所に移転しました。
朝に食材の買い出しを済ませた俊樹さんも現れ、準備を進めているともう開店20分前。お店の前にはすでにお客さんが集まり始めていました。一番乗りは愛知県からやって来たという男性5人。人気店とあって「油断してるとすぐ(満席で)座れんくなっちゃう」と早めに来たそうです。
実は彼ら、去年来店したときには麺が売り切れで、お目当てメニューが食べられなかったそう。「リベンジ」に来たという今年は、念願だった焼きうどんと焼きそばを食べることができ、「うまい!」「本当に幸せ!」と満面の笑顔です。
店内には、常連という親子連れも。かつては2人そろって来ていましたが、息子さんが結婚して独立してからは、それぞれが1人で来るように。今日は久々の“親子飲み”とあり、2人ともうれしそう。たまにこうして一緒に飲み、阪神タイガースの話に花を咲かせる時間が「活力」になっているそうです。
午後2時、啓二さんがホルモン焼きそばを持って店を出ました。向かったのはすぐそばの立ち飲み屋さん。ここで飲むのが好きという常連さんへの特別な“出前”でした。
さらに店内には、最近増えているという海外からお客さんも。「スープ?ウドン?ソバ?」「スープオンリー。OK!」と啓二さんは英語で接客。「適当です。単語を並べてるだけ」と笑いますが、言葉がわからなくても気持ちでしっかり通じているよう。
夕方6時、新今宮に店があったころから何十年も通う常連さんがやって来ました。注文はホルモン焼きとビール。「焼肉屋さんとはまた全然違うから。このホルモン焼きとか煮込みはね」「そらもうむちゃくちゃ食べたくなるよ」とクセになるホルモンの魅力を話してくれました。
夜7時、閉店の時間です。一日の仕事を終えた2人に今後の目標を聞くと、「今でもしんどいから、ちょっとキツくなってるから、現状維持でできたらいいなと」と俊樹さん。啓二さんも「今のままで、体動いてる間ね、仕事できたらいいなと思ってます」と気取らない雰囲気が何とも心地いい「権兵衛」らしい抱負を話してくれました。
「実録!人情食堂」は、11月24日(月)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。


















