“心を閉ざしがちな高校生”を演じる山下幸輝 「今考えるとかなり受け身ですよね」
恋の終わりを描く切ないラブストーリー「すべての恋が終わるとしても」(ABCテレビ・テレビ朝日系列 毎週日曜夜10:15)。変わりゆく環境で生きる2人を中心に、男女8人の人間関係が丁寧に描かれる。高校の同級生で卒業式の日に付き合い始めた由宇(葵わかな)と真央(神尾楓珠)は、大学進学を機に遠距離になり、次第にすれ違っていく……。このドラマで、由宇と真央が通っていた高校の後輩・蒼を演じる山下幸輝さんにご自身の10代のころの思い出や意外なリラックス方法を教えてもらいました。

――さまざまな恋物語が描かれる本作で、高校生の淡い恋愛をする蒼を演じていますが、どういう人物だと思いましたか?
蒼はすごく穏やかで本好き。意外と僕に似ているんですよ。僕はダンスをしていたのでちょっと派手に思われやすいのですが、結構クラスでも静かなタイプだったんです。だから、高校生当時を思い出しながら演じていました。
――蒼は1人でいることが多いですが、その辺りも似ていたのですか?
教室での過ごし方も似ていると感じました。僕も基本1人でいて、話しかけられたら話すけど自分からはなかなかいけないという感じで。ダンスや洋服とか共通の趣味がある子とだけ話していたので、周りからするとギャップがあったかもしれないです(笑)。相手が興味を持ってくれないと話すことができないって、今考えるとかなり受け身ですよね。でも学生時代ってどこか人との壁を感じることが多くて、入れそうで入れないという感覚が常にあったのを覚えています。
――人との壁は今も感じますか?
大人になってからは感じないようにしています。ドラマのお仕事だと3カ月だけご一緒するという方々も多いので、自分から話しかけないとあっという間に時は流れていってしまうんです。なので、なるべく自分から話しかけようと心がけています。せっかくお会いできたからには話さないともったいないですから。それは色んな作品に出させてもらうようになってから少しずつ分かってきて、今も人見知りではあるのですが、前ほど壁を感じないようになっている気がします。慣れなのかもしれないですけどね。

――今回は蒼のクラスメイト・沙知を演じた大塚萌香さんとのシーンが多かったですね。
ほぼ2人っきりでした(笑)。萌香ちゃんとは以前、別の作品でご一緒したのですが、そのときから明るく元気がいい印象で。今回も若いエネルギーをいただきながらお芝居をさせていただきました。彼女は集中力が素晴らしいんですよ。1シーンごとにものすごい集中力で臨む姿を端から見ていて本当にステキだと思いました。ただ、ステキとばかり言っていられないという気持ちもあって……。萌香ちゃんは年下なのですが、自分より年下の方が現場で頑張っている姿を見ると、自分も頑張らなきゃと焦るんですよね。昔は現場ではいつも自分が周りより年下だったのですが最近はそうでもなくなってきて、これまで自分に接してくださった先輩方みたいに自分がなれているのか不安です。
――理想の先輩像はありますか?
現場を動かす人かな。言葉も空気も全身で現場を動かす人はすごいと思います。そのためには現場を俯瞰し、把握していなければいけないのでなかなかできることではない。今はまだどうしても役に集中しがちですが、いつかは現場全体を見られるようになっていきたいと思っています。
――山下さんは俳優だけでなくアーティストとしても活躍されて毎日お忙しいと思いますが、どのようにリラックスしているのですか?
毎日寝る前に20cmくらいのお香を焚いているんですよ。それがちょうど消えるぐらいまでの間は、目を閉じながら明日のことをいろいろ考えています。それが自分にとっての心の切り替えになっているような気がします。

――どのようなことを考えるのですか?
基本、未来のことです。目を閉じていると、やりたいことがどんどん見つかってくるんですよ。それは大きなこともありますが、すごく些細なこともたくさんあって。明日、現場に入る前にあのお店に寄っていこうみたいなことだったりもするのですが、それを考えることで、頭の中に詰まっていたものが整理整頓されるような気がします。僕にとっては欠かすことのできない時間です。ちなみに香りは変えずに白檀の香りが多いです。いつもと同じ香りでよりルーティーンになっているのかもしれないです。
――登場人物の色んな恋が描かれている本作ですが、最後に見どころを教えてください。
時間経過がすごくある作品ですが、キャラクターの歩んできた道のりが行動やセリフ一つから垣間見られて、本当にその人たちが実在するような感覚になってきます。そんな登場人物に共感しながら、物語の世界にどっぷり浸ってください。

ドラマ『すべての恋が終わるとしても』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜よる10時15分放送。放送終了後、TVerで見逃し配信。U-NEXT、Prime Videoでは全話配信。
取材・文/玉置晴子



