皿洗いで食事代が無料!? 学生にやさしい人情サービスが大評判! 75歳「王将」の元名物店長が腕を振るう京都の餃子屋さんに潜入!
街のおいしい店に潜入し、店主の人柄からにじみ出る人気の秘密を発見するシリーズ「実録!人情食堂」。今回は、京都にある絶品餃子のお店を取材しました。75歳の店主が始めた、若者に大評判の一風変わったサービスとは?
京都市上京区・出町柳の出町商店街で見つけたのは、“絶品餃子”という大きなのぼりが目印のお店。店頭にある貼り紙は、とても気になることが書かれています。
「めし代のない人 お腹いっぱいただで食べさせてあげます。但し食後30分間お皿洗いをしていただきます」
なんと、皿洗いをすれば食事代がタダに? そんな太っ腹なサービスで有名なこちらのお店は「いのうえの餃子」。御年75歳の店長・井上定博さんが2年半前にオープンさせました。
井上さんが70歳を過ぎてからお店を開いたのには理由があります。人気チェーン店「餃子の王将」の店長を20代前半から50年も務めた井上さん。「王将」出町店の店長時代に「皿洗いをすればご飯無料」のサービスを始め、多くのメディアに取り上げられて一躍有名人となりました。
そして70歳のとき、年齢による契約終了で店を閉じましたが、人気者の井上さんにまだまだお店をやってもらいたいと願うファンはいっぱい。そんななか、不動産屋さんが現在の店のある土地を紹介してくれ、オープンに至りました。
ところで、なぜ井上さんは「お皿を洗うと無料」のサービスを始めたのでしょう?お金がなかった若いころ、年上の知人たちにご飯を食べさせてもらった恩が忘れられない井上さん。当時の自分のように困っている人にご飯を食べてもらうことは、今はもうこの世にいない知人たちへの「恩返し」なのです。
【動画】「王将」時代から大切にしている“お礼ノート”には、井上さんのサービスでお腹いっぱいになった学生たちからの感謝のメッセージがギッシリ!
午後、この日最初のサービス利用者がやって来ました。初めての来店という若い女性は大学院生。勉強が忙しくてアルバイトもなかなかできないそうで、店の前を通るたびに貼り紙が気になっていたとのこと。
メニューを選ぶ彼女に「何を食べんねや?」「足らんかったら私がごちそうするから」とやさしく話かけて世話を焼いてくれるのは、たまたまお店にいた馴染みのお客さん。常連さんも井上さんと同じく情に厚いようです。
大学院では“映画”の勉強をしているという彼女。「食事を3回抜いたら映画が1本観られる」と食費より映画代を優先しているそう。冷たい「梅カツオ冷麺」をおいしそうに食べ、自分が食べたお皿を洗って大満足で帰って行きました。
午後6時、超満員のお店には、ボリューム満点の定食がお目当ての学生さんや、あっさり味のラーメンを楽しむ年配のご夫婦、アメリカからやって来た外国人観光客も!フル稼働で料理を作り、接客する井上さんは大忙しです。
そして午後7時、閉店まで1時間となったところで、今日2人目のサービス利用者となる若い男性が来店。注文は「餃子定食1人前」でしたが、「2人前食べや」という井上さんのオススメに「ではいただきます」とニッコリ。ご飯も餃子も大増量の2人前をいただくことになりました。
近くの京都大学に通う友だちを訪ねて来たという彼は、北は北海道から南は沖縄まで、全国を旅しながら暮らしているとか。定食をキレイに平らげて自分が食べた皿を洗い、「大将、ありがとうございました!」としっかりと挨拶をするさわやかな若者に「感じのええ子やったな」と井上さんも笑顔です。
翌日は11時の開店からいきなり団体客が。京都大学で学ぶ中国からの留学生だそうで、母国にはないという“焼き餃子”に「とてもおいしい」「日本に来るなら食べる価値あります」と感激しきり。今日も大忙しの「いのうえの餃子」は、とても素敵な人情食堂でした。
京都で人気の「人情食堂」は、9月15日(月)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。
