わずか15分で満席 採算ラインギリギリで「揚げられるものは何でも揚げます」という、地元を愛する親子が営む商店街の“人情串カツ屋さん”

大阪・天神橋筋商店街に安くておいしいと評判の串カツ屋さんがあります。お客さんも「串カツ揚げさせたら日本一」とうなるお店を支えるのは地元を愛する親子でした。

大阪・天神橋筋5丁目にある「串カツ 七福神」は1998年創業。父・柴坂仁さん(74)と息子・耕平さん(44)の親子で切り盛りしています。生地にすりおろした山芋をたっぷりと加えた串カツのメニューは、なんと45種類も! れんこんなどの野菜は1本143円、牛の串カツは3本385円と手頃なお値段も魅力です。

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この日の開店は午前11時。カウンター14席の店内は、オープンからわずか15分で満席に。生ビールは最初の1杯が100円(税込110円)とあり、昼呑みを楽しむお客さんでにぎわいます。注文に応じ、手際よく串カツを揚げていくのは“店長”の耕平さん。メニューの中にはおでんの牛すじや卵を揚げた変わり種も。「揚げられるものは何でも揚げます」と笑います。

仕入れを担当するのは父・仁さん。天満の馴染みの店やスーパーを回って肉や野菜を仕入れますが、今、最も苦労しているというのが「めちゃめちゃ高くなった」という“牛スジ”。2000年ごろは1本(20g)17円ほどでしたが、今は50〜60円に。なんと3.5倍に値上がりし、3本495円のお店の名物・どて焼きは、調味料代などを含めると「トントン」のお値段なんだそうです。

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どて焼きに使う白味噌ベースのタレのレシピは門外不出。「全部自分でやらな気がすめへん」という仁さんが作ります。そんな父を尊敬しながらも、「ちょっとぐらいこっちに何か回してや(笑)」と笑う耕平さん。小さいころから大好きなお父さんにベッタリだった耕平さんは、仁さんが串カツ店を始めると決めたとき、すぐにお店に入りました。

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【動画】「七福神」の隣には、10年前にオープンした「七福神 天五店」が。こちらはテーブル席メイン。串カツ定食715円、ロースカツカレー600円など平日のランチメニューも人気です。

仁さんは“脱サラ組”。小売りの酒店で50歳まで勤め、営業活動で知り合った「七福神」の先代から店と味を受け継ぎました。そんな「七福神」は今、全部で11店舗。かつて本店で修業したスタッフや、脱サラして店を持ちたいと仁さんから教えを受けた人が営んでいますが、“がんばる人を応援したい”とロイヤリティは一切取っていません。

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お店が定休日の夜、耕平さんは家族と外食に出かけます。妻の愛子さん(44)、高校2年生の香胡さん(16)、中学1年生のノ鷲くん(12)とこの日に訪れたのは、仲よしの蜷川裕規さん(52)が営む天満のお好み焼き店「千草」。

一週間の労をねぎらいながら食事が進むなか、妻の愛子さんがスマホで魅せてくれたのは、去年の「天神祭ギャルみこし」を撮影した動画。実はこの年、ギャルみこしに香胡さんも参加していたのです。

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今年の天神祭のギャルみこしに香胡さんは不参加でしたが、ロープを持ってみこしの後を追い、“警備”に励む耕平さんの姿が。「商店街で商売をさせていただいてるんで、少しでも何かのお手伝いができれば」と20年ほど続けているそう。愛する町のために、耕平さんは毎年進んで汗をかきます。

おみこしが「七福神」の前を通ると、待ち構えていたのは地元の常連さん。耕平さんの姿を見つけると「店長!」と声援を送ります。お客さんを大切に、地元と共に生きる「七福神のスタイル」でこれからも「ずっとやっていきたい」という耕平さん。仁さんも「(店に)死ぬまで行ってるんちゃいますか」と笑います。

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今日も明日も、お店を愛してくれるお客さんのために“人情串カツ屋さん”は元気に営業中です。

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親子が営む大阪・天神橋筋商店街の串カツ屋さんは、7月31日(木)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介 見逃し配信はYouTubeから。

『newsおかえり』YouTubeチャンネルで配信中

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