大阪・門真市にあるアレクサを駆使する人情食堂 孫が好きすぎる、おばあちゃんが77歳でオープンさせたお店とは?
大好きな孫に手料理を食べさせるために食堂をオープンしたおばあちゃん。開店から3年、今では孫だけではなく、多くの若者の胃袋をしっかりつかむ“パワフルばあば”に密着しました。
大阪・門真市、大阪国際大学のすぐそばにある食堂「母の味アゲイン」。ひとりで切り盛りする店主の中島テルさんは御年80歳です。朝、開店前に訪ねると、テルさんは仕込みの真っ最中。「アレクサ、タイマー3分!」と、なんとスマートスピーカーも使いこなしながら、ひとりでお惣菜を作っていきます。
開店早々、やって来たのは若い男性のお客さん。注文したのは「豚しそチーズフライ定食」。青じそを挟んだ豚肉の大きなフライが2枚にサラダ、お惣菜の小鉢が3つに味噌汁、そして、マンガのように大盛りのご飯がついて850円! 安いうえに、味も「最高です!」と男性はニコニコです。
お店の常連という男性。学生さんかと思いきや在宅勤務中の社会人で、お店に通い始めた当初は「黙って食べていた」のですが、徐々に話をするようになり、今ではテルさんとのおしゃべりも大きな「楽しみ」になりました。
【動画】「アゲイン」のメニューはほかも魅力的。人気のチキン南蛮定食や、おかずや味噌汁もついたカツカレー定食もすべて850円です。
お昼が近くなると、店内は学生たちであっという間に満席に。カウンターに座る男子学生3人組は「週に4日くらい来る」とか。「おいしいし、安いし」「あと、ばあちゃんがかわいいから!」とうれしいことを言われ、「せやな(笑)」と目を細めるテルさんは、3人におかずをもう一品サービス! まるで家族の食卓のような、にぎやかであたたかい時間が流れます。
そんな「アゲイン」がオープンしたのは3年前。当時77歳だったテルさんが食堂を始めた動機は、なんと「孫のため」でした。大阪国際大学のラグビー部に所属している孫の中島優也くんに「お腹いっぱい食べさせたい」と、大学のそばにお店を開いたのです。
結婚10年で夫を亡くし、女手ひとつで3人の息子を育て上げたテルさん。息子たちが大人になると、愛情は孫の優也くんへ。毎日手料理を振る舞い、一緒にお出かけするなどベタベタだったそうです。
ところが、高校生になった優也くんが高知の強豪校にラグビー留学し、会えない日々が3年も続くことに。そして3年前に優也くんが大阪国際大に進学すると、溜まりに溜まっていた愛情が爆発!「アゲイン」の開店に至りました。
そんな最愛の孫・優也くんがお店にやってくると、テルさんは「おかえり〜」とうれしそう。おばあちゃんが大学のそばに食堂を開店すると聞いたときは「めっちゃうれしかったし、ありがたかった」と優也くん。お腹が空いたらすぐに来られるのがうれしいそうです。
本日おすすめの「豚しそチーズフライ」をはじめ店内のメニューは、実は優也くんの大好物ばかり。新メニューのアイデアをもらうこともあるそうで、ハンバーグの味つけをポン酢からデミグラスソースに変えたのも優也くんのアドバイスから。「息子の言うことは絶対聞かんけど、孫の言うことはすぐ聞く」とテルさんは笑います。
日曜日はお店の定休日。“孫ラブ”なテルさんは休日も優也さん一色! この日は優也くんが出場するラグビーの試合の応援に。見事にゴールを決める孫に「やった!」とうれしそうに拍手を送ります。
さて、そんな優也くんも来年は大学を卒業。「アゲイン」はどうなるのでしょうか?テルさんによれば、卒業後は店を辞め、優也さんと2人でハンバーガー店を開くのが夢でしたが、「今日(店に)来た子に“あと2年やって”って言われて」迷っているそう。食堂に来る学生たちがすっかり“新しい孫”になってしまったようです。
いっぱい増えた孫たちに囲まれ、楽しそうに料理を作るテルさん。笑顔が絶えない人情食堂「アゲイン」は今日も元気に営業中です。
おばあちゃんが孫のために始めた食堂は、7月17日(木)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。
