今にも泳ぎ出しそうなガラスの金魚 命を宿す京都・深泥池の工芸作家、その“創作の源”は?
緻密で繊細、今にも泳ぎ出しそうなガラスの金魚を作るガラス工芸作家の網野篤子さん。地元の京都で20年以上にわたり、大好きな金魚をガラスで表現しています。
網野さんの作品はガラス工芸の博物館で開催された企画展「超絶技巧⁻硝子⁻」でも注目の的に。細部まで再現されたガラス細工の金魚は、まるで生きているような躍動感があり、まさに超絶技巧。夏の風物詩らしい涼やかな作品が評判になりました。
網野さんのアトリエは、網野さんが生まれ育った京都市北区にある深泥池のほとりにあります。そこでバーナーワークという技法を使い、色ガラス棒という素材を使って魚を作っています。作品は細部にわたるまでリアルに再現されており、品種ごとに異なるシルエットやヒレの微細な特徴まで、見事に表現。生きているかのような躍動感が特徴です。
作品制作は、まず様々な色のガラス棒をバーナーで溶かすことから始め、それを形にしていきます。溶けたガラスが垂れないよう、常に回転させ、温度を均一に保ちます。温度差ができるとガラスが割れてしまうのです。ガラスを継ぎ足し、先の細いピンセットで細部を形作り、様々な器具を駆使して本物に近づけていきます。時には金箔や銀箔を使い、美しく仕上げます。
日々、研究を重ねる網野さんは養殖場にも足を運びます。金魚の一大生産地、大和郡山で養殖のプロに話を聞き、様々な種類の金魚を見ることが創作の源になっています。今回の訪問のお目当ては「大阪らんちゅう」。江戸時代から大阪を中心に広く飼われた品種で、太平洋戦争の頃に絶滅の憂き目に遭いました。しかし、近年、愛好家たちの尽力により、見事復活。網野さんがガラス細工で「大阪らんちゅう」を表現します。
東京での展示会のオファーが舞い込んだ網野さん。新作のために挑戦するのは、「ピンポンパール」という金魚。その名のとおり、まるでピンポン玉のような金魚です。そこで、ピンポンパール専門店を訪ね、じっくり見学。創作のヒントを得て、作品づくりに取り掛かりましたす。初めて表現する「ピンポンパール」。はたして、納得のいくガラス細工に仕上がるのでしょうか。網野さんの作品づくりに密着します。
『LIFE~夢のカタチ~』は、7月12日 土曜 午前11時から放送。(ABCテレビ/関西地域で放送、TVer見逃し配信あり)
