「夫婦の会話がリアル」中村アン・小澤征悦 「ちょっとでも時間があれば二人でボソボソと」ドラマ『こんばんは、朝山家です。』インタビュー

現在放送中のドラマ『こんばんは、朝山家です。』(ABCテレビ・テレビ朝日系列 毎週日曜夜10時15分)で、主人公の朝山朝子を演じる中村アンと、朝山賢太を演じる小澤征悦へのインタビュー。前編では、このドラマに向き合う姿勢や、お互いのキャラクターについて、台詞量が膨大な撮影現場の苦労話などを、笑いたっぷりに語ってくれました。

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――『こんばんは、朝山家です。』の台本を読んだときの感想からお聞かせください。

中村アン(以下、中村):ものすごく面白かったです。家族の話なのですが、綺麗事だけでなく……いえ、もはや綺麗事がないですね。

小澤征悦(以下、小澤):はい。

中村:リアリティしかなくて。「この作品を撮り終えたときに、私は何を思うのかな」と思いながら読み終えました。

小澤:いいことだといいね(笑)。会話がリアルだなと思いました。会話劇の経験はもちろんありますが、これほどテンポ感が大事で、息を合わせて構築していかなければいけない芝居をするのは初めてだと思います。相当チャレンジングだなと思いつつも、内容がいいので世界観に引き込まれていくという感覚がありました。

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――撮影がすでに折り返したと聞いています。現場はいかがですか。

中村:楽しいです。

小澤:確かに楽しい。苦しいけど(笑)。

中村:この世界中で小澤さんと私の間でしか分かり合えないのではないかと思うくらい大変です(笑)。でも楽しくて。今まであまり感じたことのない経験をしています。

小澤:お互いに台詞を言い始めると、1人で勉強していたときの感覚とは違うシーンになるんです。目に見えない何かが合ってくると、(自分たちがこの作品に描かれている)「生活」の一部になっていく。これは足立紳さんの脚本のすごいところだなと思います。

中村:そうですね。

小澤:まあ、ね。演じている2人が素晴らしいからなんですけど(笑)。(台本と俺たち2人の)相乗効果っていうかね。

中村:小澤さんはいつもこうやって笑わせてくださいます(笑)。でも本当に掛け合いの量が多いので、ちょっとでも時間があれば2人で練習しています。

小澤:現場でね、2人でボソボソと。それをやるとやはりすごくよくなるというか、(役が)生きてきます。テンポもよくなって。

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――夫婦喧嘩をはじめとする掛け合いは、一字一句台本通りですか? それとも多少のアレンジはよしとされていますか?

小澤:足立さんが「台詞は自分の言いやすいように」という方なので(アレンジしています)。例えば、「今日俺は」を「俺今日は」にしてもいい。会話って元々そうじゃないですか。自分が言いやすいからそう言っているわけで。

中村:足立さんの脚本は句読点があまりないんです。

小澤:あ、そうだよね!

中村:初めに1人で読んだだけではリズムがつかめなくて。あと、誤字も多いですよね(笑)。

小澤:そう! 誤字脱字がすごいんですよ! 昨日もすごかったよね。「あんた頑張りなさいよね、この『ドラマ』作りたいんでしょ」という朝子の台詞が台本に書いてあるんです。アンさんが気づいたんですけど、「あれ? これ、『映画』じゃないですか?」って。

中村:劇中で朝子さんは、賢太の脚本を「映画」の企画としてテレビ局に持っていって通すんです。それが台本では「ドラマ」となっていて。そういう間違いがよくありますよね。「ほっときなよ」が「ほっときなしよ」と書いてあったり。

小澤:そう! 「ほっときなしよー」って、朝子がクロちゃんの真似をしなきゃいけないのかなと思ったよね。

中村:そうそうそうそう(笑)。そういう誤字脱字も笑いながら、基本私は小澤さんに聞いています。「これどっちだと思います?」って。

小澤:賢太は足立さんをイメージした役なのでね。足立さんに「これどうなんですか?」と指摘すると、ず〜っとヘラヘラ笑っています(笑)。

中村:そういう現場です(笑)。

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――中村さんは今回「キレる妻」を演じています。キレる芝居にはどのような気持ちで臨んでいますか?

中村:基本的に全部にキレているので、怒りを全て賢太にぶつけています。初めの頃はやはりテンションの上げ方がちょっとわからなかったんですけど、だんだん本当にイラついてきて。「ご自身で気づかれてます? どんどん(キレ方が)強くなってますよ」と言われました。

小澤:あ、言われましたか。

中村:はい、メイクさんに。1話のときはまだ遠慮したり、探ったりしていたんでしょうね。そこがだんだん晴れていきました。

小澤:そしてどんどん(賢太に)ムカついてきた。

中村:そうですね(笑)。「台詞の量が多いよ本当に!」というのもあります。晃子さん(足立紳監督の妻で、朝子のモデル)が、「それを作品に、小澤さんにぶつけてください」と言ってくださったので、どんどん自然にキレています。

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――小澤さんは、中村さんのキレっぷりについていかがですか?

小澤:すごいですよ。一番台詞が多いので、一番大変だと思います。アンさんが朝子という人間をちゃんと自分のものにして、ゼロスタートからどんどん朝子を構築していく過程を目の当たりにしているので、素晴らしいなと思います。ま、俺のおかげですけどね(笑)。

中村:そうなんですよ。そこはしっかりと書いていただけたらと思います(笑)。

――わかりました(笑)。小澤さんは「残念な夫」の賢太に共感する部分はありますか?

小澤:特にはないですが、やっていて「あ、俺もこういうとこ、確かにあるな」と思うことはあります。あそこまでひどくはないですけど、男にはやはり、弱い部分が少なからずあると思います。甘えているんでしょうね。

中村:そうですね。

小澤:奥さんであったり、朝子であったりに。そもそも大前提として、賢太には脚本家としての才能がある。それを自分でもわかっているから、ちょっとくらい甘えても許されると思っている節はあると思います。

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――ムカつきますね(笑)。

小澤:俺のことじゃないですよ!

中村:結局のところ、朝子さんがやってあげちゃうんですよね。

小澤:優しいんだよね。

中村:朝子さんは根本のところで彼の才能に惚れてますから、負けですよね。そこは悔しくもあり。

――小澤さんが演じる賢太の魅力は、やはりちょっと憎めないところでしょうか。

中村:そうだと思います。微笑ましいダメさといいますか。実際足立さんもすごく愛されている方なので。結果を出す前から晃子さんと二人三脚で歩んできたので、信頼関係が築かれているなと思います。

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来週後編公開【「アサイーボウル食べてるイメージ」 中村アン・小澤征悦 おしどり夫婦対談インタビュー】

ドラマ『こんばんは、朝山家です。』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜よる10時15分放送。TVerでも見逃し配信中。

番組情報

こんばんは、朝山家です。
毎週日曜よる10時15分

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