野球部コーチも務める熱血高校教師から、食堂で働くファンキーカップルまで! 過疎の村で唯一の“24時間営業コンビニ”に夜な夜なやってくる人々
和歌山の秘境といわれる龍神村。人口約2500人、65歳以上の高齢化率が46%を超える過疎の村に、2024年10月、コンビニエンスストア「ローソン 龍神村西店」がオープンしました。
おにぎりや揚げ物、スイーツまで都心部の店と同じ品ぞろえの店内にはおよそ3500品目がズラリ。独自に仕入れた地元の新鮮な野菜や、冷凍のお肉も並びます。
以前はこの場所に村唯一のスーパーがありましたが、人口減少が原因で経営難となり、2023年に閉店。「ローソン」が、買い物困難地域に「地域共生コンビニ」の出店を進めていたところ、和歌山市などで複数の店舗を経営する山田敦司さん(58)がオーナーとして手を挙げたといいます。
お店は24時間営業。夜にはどんな人が訪れるのでしょうか?
午後8時、やってきたのは田中秀光さん(27)。お弁当を購入し、さっそくイートインスペースで食事を始めた田中さんは、村の学校の先生。全校生徒わずか34人の県立南部高校龍神分校に5年前に赴任し、社会科を担当しながら硬式野球部のコーチも務めているそうです。
龍神分校の野球部は、2023年の全国高校野球選手権和歌山大会で2試合を勝ってベスト8に進出。スタンドには、村民100人ほどが大応援団を結成して駆けつけました。その中で太鼓を叩いて応援していた山田先生。村の人たちの温かいエールに「涙が出そうになって…」と胸が熱くなったことを話してくれました。
午後9時45分、和歌山のご当地ソフトクリーム「グリーンソフト」を買ったのは、深瀬甲奈さん(30)と岩橋悠さん(30)。龍神村で生まれ育った幼なじみで、5歳のころから仲がよく、中学では同じテニス部で活躍していたそう。
その後、21歳で村を出た甲奈さんは大阪で歯科衛生士として働いていましたが、9年後の今年3月、村に帰ってきました。現在は市内の歯医者さんに勤務。若いころは都会で遊びたい気持ちもありましたが、「年を取ったらこっちの暮らしがめっちゃいい」と甲奈さん。悠さんも「帰ってきてくれてうれしい」と喜んでいます。
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午後10時過ぎには、エプロン姿の男女が来店。近くの食堂で働く寒川貢一郎さん(48)と、田ノ岡あかねさん(41)です。龍神村らしからぬファンキーな風貌の2人ですが、ともに村の出身。貢一郎さんは大阪で、田ノ岡さんは千葉で長く暮らしていたそうです。
長年連れ添ったご夫婦にようにも見えますが、実は恋愛中のカップル。現在は、創業65年の「あさひ食堂」を、貢一郎さんの母・ふみゑさん(75)と3人で切り盛りしているそうです。
貢一郎さんは食堂の“後継者”。しかし、息子の生き方を束縛することなく見守ってくれた両親のおかげで、大阪で自由に生きることができたそう。今は愛する人と、愛する村でがんばっています。
そして日付も変わり、時刻は午前3時半。「ちょっと小腹が減って…」とおにぎりとカップ麺を買いに来たのは、土木関係のお仕事に就いているという藤田大輔さん(41)。
3年前まで滋賀県の飲食店に勤めていましたが、ギャンブルに給料を注ぎ込むなどお金にルーズな藤田さんを見かねた父親が「息子を改心させたい」と祖父母の故郷・龍神村に連れて来たとか。都会に住むと、ついパチンコ店などで「お金を使ってしまう」と反省しきりの藤田さん。今ではお金をちゃんと管理できるようになり、生活は充実しているそうです。
龍神村で唯一のコンビニに密着した『真夜中の定点観測』は、5月19日(月)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。
