認知症を患い『ポツンと一軒家』通いをやめた亡き夫…その後の“形見”の行方に妻感動「お父さん喜んでいる」

岐阜県の山奥には、無人の一軒家がポツンと佇んでいる。この一軒家は、とある男性が23年ほど前に、自力で建てた別荘だ。今は亡き家主が別荘に残した、こだわりの遺作とは? 別荘と共に朽ちようとしていた遺作の行方に、家主の妻は感動した。
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現在83歳の妻いわく、家主は75歳まで自ら車を運転して別荘に通い、「草刈りもやって、何もかもやっていた」ほど元気だったという。しかし、あるとき家主は認知症になり、運転ができなくなったために別荘に通えなくなった。その後、「家で転んだか何かして歩けなくなって。それから、(症状が)カタカタと悪くなった」という。

家主は、6年前に78歳で他界。現在妻は、麓町の一軒家に54歳の長女と暮らしており、夫の死後一度も別荘を訪れていない。そんな妻が、久しぶりに別荘へ。彼女にとってこの別荘は、家族でバーベキューや流しそうめんをした思い出の場所だ。しかし、今は屋根の色が落ちて苔むし、内部は少々荒れ、家主を失ってからの長い年月を物語っていた。

実はこの別荘は、家主が巨大な壁画を作りたくて自力で建てたものだった。家主の遺作となったその壁画は、平和を象徴する折り鶴がモチーフ。木目が美しく出る欅材を1つ1つ組み合わせて作られており、半立体的に仕上がっている。生前に家主は、実際に折り紙で鶴を作り、構造を観察しながら壁画の制作にあたったのだとか。


生みの親を失い、朽ちていく別荘に寂しく飾られていた壁画の鶴……。そんな壁画の鶴は、「もったいない」「形として残ったものを残せるのは、もう『これしかないな』と思った」という理由で、56歳の長男に引き取られた。今や壁画の鶴は、長男夫婦が暮らすオシャレな一軒家の玄関で再び羽を広げ、家族を毎日見守っている。

長男のこの行動に家主の妻は、「お父さん喜んでいる」と感動。壁画の鶴について、「別荘でできただけでも喜んでいたけど、まさか長男の家に来てもっと長生きするとは思わなかった」「別荘であのまま朽ちていくかなと思っていた。苦労して作ったのにもったいないと思って。良かった」などと、しみじみ語った。

別荘の今後について長男は、「自分に時間の余裕があったら、キレイにしてもいいかな」「多少なりとも直して使うことができるのであれば、やってみようかな」と思っている。彼の思いを知った家主の妻は、「そう思ってくれるだけでもありがたいですね」と嬉しそうだ。

かつて楽しい思い出ができた別荘には、また笑い声が響く日が来るかもしれない。その日が来てくれることを楽しみに、天国で家主は家族を見守っているだろう。なお、この別荘と家主一家の感動物語は、5月11日に放送されたバラエティ番組『ポツンと一軒家』で紹介された。
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