でんでん 「楽に見せようと思ったら、やっぱ力んでないとダメ」 相田みつをさんの言う「力を入れて、力まず」が好きな言葉
桐谷健太主演ドラマ『いつか、ヒーロー』(ABCテレビ・テレビ朝日系列 毎週日曜夜10時15分)で、謎の大家さん・大原要蔵役を好演している、でんでんインタビューの後篇です。デビューから45年の歩みや、75歳を迎えた現在の健康法、座右の銘など、なかなか聞けない名優の素顔に迫ります。

——1980年に、『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ)で芸能界入り。翌年、映画『の・ようなもの』で俳優デビューされました。45年間で、お仕事への向き合い方は、どのように変化しましたか。
その時々で、いろいろな人に、いろんなことを教わって、少しずつ変わってきた感じかな。70歳を過ぎて変わったのは、好きに…って言ったらおかしいけれども、後悔がないようにやろうと思うようになったこと。だから、「やり過ぎだ」って思われるくらい思い切りやって、ダメを出されたら、こうやってニコニコする(笑)。年取ってるから、向こうも許してくれるところがあると思うんですよ。そういう厚かましさみたいなものが、70過ぎて出てきたのかなと。
——70歳を過ぎて、攻めの姿勢になってきたと?
そうね。攻めるっていうか、ちっちゃく攻めてる感じかな。コツコツと(笑)。
——山田洋二監督や黒沢清監督といった名監督たちとお仕事をされてきました。特に学びの大きかった方を強いて挙げるとすれば?
いやぁ、みなさんから学びをいただいてるから、この方って特定するのは難しい。山田洋次監督には山田洋次監督、森田芳光さんには森田芳光さんとの思い出があるし、黒沢清さんには、長回しで3分ワンカットで撮ったとか、そういう気合を入れた喜びの記憶もあるし。『いつか、ヒーロー』の監督も面白いですね。
——アベラヒデノブ監督?
はい。優しいんだけど、ピッと、良いダメ出しをしてくれる。監督はやっぱり、1人1人面白いですよ。

——お忙しいと思いますが、気分転換にされていることはありますか。
ホッピー飲むことかな(笑)。
——ホッピー(笑)。
「卓球やってる」って言おうと思ったんだけど、面白くないだろうと思って、ホッピーって言っちゃった(笑)。まじめに、卓球はやってますね。
——卓球は昔から?
ええ、やってます。まあ、本格的じゃないんだけど。
——「健康の秘訣は?」とお聞きすると、やはり卓球ですか?
それと、歩くことかな。最近、歩く機会が増えて健康になっています。
——歩くときは、どれくらい歩くんですか。
1日1万歩以上歩きますね。最近、観光しながら2万歩、次の日も1万歩以上歩いて。そういうときは、足が吊るから用心した方がいいですよ。

——『いつか、ヒーロー』のキャッチコピーは、「人生、死ぬまで敗者復活戦」。でんでんさんが好きな言葉は?
「一期一会」に近いんだけど、「袖すり合うも多生の縁」という言葉は好きですね(注・道で偶然袖が触れ合うようなささいなことにも前世からの縁があるという意味)。あとは、「ちからをいれて りきまず」。相田みつをさんの言葉なんだけど、力を入れてやってるんだけど、「自然体でいいね」って言われるような。
——でんでんさんのお芝居みたいです。
そういうふうに心掛けています。
——人生100年時代と言われますが、今後はどのように歩んでいきたいですか。
頂いた仕事を、一所懸命楽しんでやりたいなと思っています。一緒にやった人に、「でんでんで良かったな」と思ってもらえるような仕事をしたい。それには頑張って生きていかないとですね。それと、仲間を大事に、仲間に嫌われないようにね(笑)。
——『いつか、ヒーロー』を、視聴者にはどんなふうに楽しんでほしいですか。
今の社会情勢を映し出した、問題提起の作品だと思ってるいんです。自分も社会の一員なんだという自覚を持って、人任せにしないで、いろんなことを考えてみる。大袈裟な言い方かもしれないけど、その起爆剤になるようなドラマになれば。描いていることより、さらに深いものを感じ取ってもらえる作品になるといいなと思っています。

ドラマ『いつか、ヒーロー』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜よる10時15分放送。放送終了後、TVer、ABEMAで見逃し配信。
取材・文/泊 貴洋
ヘアメイク 小林真由〔MARVEE〕
