布がない糸だけの不思議な“刺繍”。空間に浮かぶような唯一無二の技法を編み出した奈良・大和郡山の女性作家

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刺繍とは糸で布に模様を描く技術のこと。しかし、もし、あるはずの布がなかったら…? そんな布のない、糸だけの不思議な刺繍“透過刺繍”を編み出したのが、刺繍作家の田口ナツミさんです。唯一無二の技法で空間に浮かぶ絵画のような作品を生み出しています。

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古い町割や水路が残る奈良県大和郡山市にある自宅兼アトリエで作品制作に勤しむナツミさん。スケッチをもとに布に刺繍をした後、そのまま水の中へ。すると、布が水に溶け、残ったのは糸だけの刺繍。それが透過刺繍です。布がないため表裏がなく、どの角度からも楽しめるのが特徴。まるで糸だけが浮かんでいるような不思議な作品が、いま注目を集めています。

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作品のモチーフは身近な植物や動物たち。大和郡山市に引っ越してからは、名物である金魚の作品も増えました。2人の子どもと一緒に“金魚ストリート”と呼ばれる商店街を散歩しながら観察し、アイデアを得ています。

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奈良で育ったナツミさんは子供の頃から絵を描くのが好きで、美大に進学。しかし、作品を生み出せないスランプに陥り、大学卒業後は看護師の資格を取得します。夫とは僻地医療の勉強会で出会い、結婚。そんな彼女が再び作品作りに向き合うようになったのは、2019年からの2年間、僻地医療を担う夫と暮らした下北山村での生活がきっかけでした。

奈良県の最南部に位置し、人口およそ700人の下北山村。そこでの山々や新鮮な空気、清流など豊かな自然とのつながりがナツミさんの心を解きほぐしました。

しかし、村で唯一の診療所に勤務中だった夫は3月末で任期を終え、6年間にわたり勤務した診療所を離れることに。子どもたちを連れ、村にやって来たナツミさんも透過刺繍が生まれたこの地を感謝とともに後にします。

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4月に入り、大和郡山市での新生活がスタート。ナツミさんも新たな作品に挑むことにしました。通常より大きな枠を使って制作するのは牧場でスケッチした羊の「左耳黒蔵くん」。さて、どんな透過刺繍が完成するでしょうか?

LIFE~夢のカタチ~』は、5月3日 土曜 午前11時から放送。(ABCテレビ/関西地域で放送、TVer見逃し配信あり)

番組情報

LIFE~夢のカタチ~
毎週(土)午前11時

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