『ポツンと一軒家』かつて里子養育きっかけで家庭内離婚に…危機を救った、83歳女性家主の大胆行動とは
群馬の山奥にポツンと佇む一軒家には、83歳の女性が1人で暮らしている。幼少期に両親が離婚した彼女は、20代で結婚し、男児2人を育てながら、養育里親として14年間で6人の子どもを育てたのだとか。かつて彼女は、里子がきっかけで離婚危機に陥ったそうで……!?
【動画】里子と生活した幼少期……。“ポツンと一軒家”83歳家主の実子、当時の思いを明かす

“ポツンと一軒家”の83歳家主の半生は波乱万丈だ。3人兄妹の長女として石川で生まれた家主は、1歳で東京へ。その頃に両親が離婚し、母親が経済的に自立するまで、兄妹は別々の場所に預けられた。母子での生活が始まったのは、家主が小学1年生の頃だったが、それまでの生活について本人は、「わりと朗らかな子だったから、辛いという感じはなかった」という。

家主は、28歳のときに2歳年下の男性と結婚。彼女に転機が訪れたのは、「自分の生い立ちに似たようなところがある」ということで連絡した、地域広報誌の里親募集だった。そのときすでに、彼女には息子が2人いたが、「1人も10人も(育てるのは)同じ」という感覚だったのだそう。家主は、反対していた夫を1年かけて説得し、38歳で里親になった。


家主が育てた里子の人数は、14年間でなんと6人! 「最初に預かった子だけは大変だった」らしく、当時限界を迎えた家主は、その子どもを施設に返そうとまで考えたという。これに彼女の夫は、「君と別れてもその子を育てる」と反論。夫婦関係に亀裂が入り、「家庭内離婚みたいな感じになった」そうだ。
当時家主は、子どもたちに悪影響を与える夫婦関係をなんとかしたく、「ちっちゃなことで切り替えようたってできない」ということで、大胆な行動に。それは、夫を残して実子2人と里子3人と一緒にフェリーで四国へ渡り、自転車で東京の自宅に帰ってくるという、超過酷な旅だった! 移動総距離は、なんと1360キロ! 最年少は小学2年生だったが、テント泊をしながら、見事全員で完走したそうだ。

家主いわく、その頃夫は夫なりに考え、寺で座禅していたという。それぞれの地から帰ってきた夫婦は、互いに謝罪せず、会話は「ただいま」「おかえり」くらいだったが、関係は修復されたらしい。
ちなみに、母子の長距離自転車旅行は、当時新聞や雑誌に取り上げられて話題に。家主はその2年後に、家族以外の参加者を含む総勢19人で、北海道から東京までの2600キロの自転車旅を決行したという。この長距離自転車旅行は、その後も夏休み恒例行事となり、4年間も続いたというのだから驚きだ。

子どもたちが巣立ってからは、留学生のホストファミリーになった家主。人々のために尽くした彼女は、「山の中で静かに暮らしたい」「自分の時間がほしかった」という思いから、55歳のときに夫を東京に残し、群馬のポツンと一軒家を購入して移住したのだった。

「それぞれ好きなことをしましょう」と、単身移住を了承した夫も、ポツンと一軒家を気に入り、たびたび訪れていたという。その夫は、今から6年前に他界。現在ポツンと一軒家には、1週間に3日ほど息子がやってくるが、家主は自由気ままに1人暮らしを楽しんでいる。

なお、家主の波乱万丈な半生と、彼女の独特な家族形態は、4月13日に放送されたバラエティ番組『ポツンと一軒家』(ABCテレビ)で紹介された。同放送回のスタジオは、終始驚きで包まれ、「かつてないほどユニークな方」「すごい物語」「実写ドラマ化されてもおかしくない物語」といった声があがっていた。
