神戸市灘区にある阪急王子公園駅の駅前に佇む揚げパン専門店の「あげパン屋　るん」には揚げパンを求めて、ひっきりなしにお客さんが訪れます。昭和の中頃、学校給食に登場した揚げパンは子どもたちに大人気でしたが、今ではあまり見かけなくなりました。そんな揚げパンに再び脚光を当てたのがオーナーの西川かずよさんです。

　「あげパン屋　るん」の看板商品は“きなこまみれの揚げパン”。たっぷり贅沢にまぶされたきな粉が人気の秘密です。お店の自慢でもあるきな粉は、親子三代に受け継がれる秘伝の配合で作られたもの。きな粉の揚げパンは、祖母から母、母から娘へと伝わる優しいおやつなのです。

　兵庫県内に８店舗を展開するかずよさんは「できれば揚げたてを食べてほしい。揚げたてが一番おいしい」とそれぞれの店を回り、自らも揚げパンを作ります。揚げパンを懐かしむ世代をはじめ、知らない世代の間でも評判となり、どの店舗も行列ができるほどになりました。お客さんを飽きさせないよう、定期的に新作を発表し、春をイメージした桜餅の揚げパンも試作中です。

「あげパン屋　るん」の原点といえるのは王子公園の店舗で共に働くのはお母さんのみちさん。子どもたちがまだ幼い頃に離婚したみちさんは、二人の子どもを女手ひとつで育てるため、昼も夜も働きどおしでした。そんな中、子どもたちを癒やしたのが、母の手作りの揚げパンだったのです。幼い頃、かずよさんを癒やした揚げパンで苦労をかけた母親に楽をさせたいと店を開きましたが、母もまだまだ現役です。

さらには、店舗に来られない人たちにも揚げパンを食べてもらいたいと移動販売車を入手し、販売だけではなく、あるボランティアにも関わるようになりました。

『LIFE～夢のカタチ～』は、3月15日 土曜　午前11時から放送。（ABCテレビ/関西地域で放送、TVer見逃し配信あり）