『ポツンと一軒家』元主は享年104。かつて1歳の養子を引き取り、妻は42歳で死去、その後再婚…「難儀な人生やった」
岡山県の険しい山奥にポツンと佇む一軒家には、今は誰も人が住んでいない。この“ポツンと一軒家”は、9年前に104歳で亡くなった男性が、1人で山を切り拓いて建てたものだ。元主のドラマのような人生エピソードの数々に、思わず感動してしまう……。
【動画】9年前に無人になった岡山県の“ポツンと一軒家” 享年104の元主がすべて手造りした家の中は……!?
ポツンと一軒家のかつての主は、岡山県出身の男性だ。男性は、かつて開拓民として両親と北海道へ渡り、第二次世界大戦で徴兵され、中国で終戦を迎えた過去がある。帰国後に故郷へ帰ってきた彼は、33歳の時に1人で山を開拓し、自力でこのポツンと一軒家を建てて家族と暮らした。
ポツンと一軒家の長男は、実は養子だ。生まれて間もない頃に実父がこの世を去ったため、1歳の時にポツンと一軒家の主に引き取られ、その事実を中学卒業まで知らなかった。当時は終戦直後で貧しかったが、主たちは自分の食べ物を分け与え、長男を大切に育てたのだろう。現在82歳の長男は、子どもの頃を振り返り、「こっちの親の方が実の親以上」と笑顔で語った。
出会いがあれば別れもある。なんと、ポツンと一軒家の主の妻が病気を患い、42歳という若さでこの世を去ったのだ。しかし、主はその1年後に再婚。再婚相手には娘がおり、家は親子4人で賑やかになった。
それから年をとっても、暮らしが不便でも、ポツンと一軒家の主はこの地を離れなかった。倉敷市に移り住んだ長男が声をかけても、「ワシはここがええ」の一点張りだった。自分が開拓して、家族の思い出が詰まった、このかけがえのない場所から離れがたかったのだろう。主は、亡くなる直前までずっとポツンと一軒家で1人暮らしだった。
最終的に隣町の病院に入院し、長男に見守られながら、「最期は眠るように息を引き取った」というポツンと一軒家の主。「亡くなる何日か前に、『お前もワシも難儀な人生やったな』と話した。苦労が多かったなって」と、長男は主との思い出を語った。
9年前に主が亡くなってからは、長男が毎週片道2時間かけてポツンと一軒家に通い、管理している。主が残した畑で、野菜を育てるのが長男の今の楽しみだそうだ。長男には子どもも孫もいるが、彼いわく将来的にこのポツンと一軒家は、「なるようにしかならん」とのこと。しかし、「いったん手放したらもう二度と手に入らない」くらい魅力的な土地なため、100歳を超えても元気だった父に負けじと、なるべく長く通い続けたいという。
なお、ポツンと一軒家の主の波乱万丈な人生は、3月2日に放送されたバラエティ番組『ポツンと一軒家』(ABCテレビ)で紹介された。
【動画】中学卒業後に実家を出て農業研修、ゴム製造会社勤め、鉄鋼会社で70歳まで勤務。その後は養父の介護……。岡山県の“ポツンと一軒家”長男の人生も波乱万丈
